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IJN Kongo Class 1941 日本海軍戦艦 金剛型制作記 #1 (Fujimi 1/700 waterline kit)


1 はじめに

1-1.制作背景

 1941年の1/700のウォーターライン戦艦制作、日本艦の最後は金剛型です。榛名についてはすでにフジミの旧キットからの制作をお伝えしましたので、残りの金剛、比叡、霧島の出番です。
 1913年に金剛がイギリス・ヴィッカース社で、1914年に比叡が横須賀工廠で、1915年に榛名が川崎神戸造船所で、霧島が三菱長崎造船所で巡洋戦艦として竣工しました。その後1934年から40年にかけて第二次改装が実施されたので、1941年の開戦前はこの第二次改装後の姿ということになります。
 これまでの日本艦同様、大日本絵画「水谷清高図面集日本海軍戦艦スタイルブック艦橋・上部構造物」「モデルアート艦船模型スペシャル 太平洋戦争開戦時の日本海軍戦艦」に加えて2月に発売された「モデルアート艦船模型スペシャル 真・総ざらい4 金剛型」を参考にディテールアップしていきます。

1-2.使用キット

Pic.1-2 フジミの特シリーズとウォーターラインシリーズの旧キット

 榛名のみWLシリーズ初期に発売されたフジミの旧キットからの改造を行いましたが、それ以外の本艦はすべてフジミの特シリーズを使用しました。特シリーズでは特23 日本海軍高速戦艦「金剛」1944年10月、特25 日本海軍高速戦艦 榛名 1944年マリアナ海戦時、特37 日本海軍戦艦 比叡、特53 日本海軍戦艦 霧島 開戦時、特76 日本海軍高速戦艦 榛名 昭和19年(捷一号作戦)、特83 日本海軍高速戦艦 金剛 昭和16年1941年の6種類の金剛型がありますが、1941年時に揃えたいので、特37比叡、特53霧島、特83金剛を使用します。(参考のため、ウォーターラインシリーズの旧キットと並べてみました。)

2.艦体

2-1.キットの形状

Pic.2-1 艦体パーツの状況

 上から金剛、比叡、霧島です。金剛と霧島は、1944年時の特23金剛の艦体を流用していますが、比叡は別の金型で作られているので、形状がかなり異なります。
 A.舷窓:金剛と霧島は、舷窓の大部分が塞がれた状態となっているので開口の必要があります。比叡は、舷窓がすべて開口しているのでその必要はありません。
 B.副砲ケースメイト:金剛と霧島は、1番、2番と5番の副砲が撤去され塞がれた状態です。第二次改装後に1番は撤去されましたが、開戦時は2番と5番はそのままですので、復旧する必要があります。比叡は、塞がれていません。
 C.ホースパイプとベルマウス:金剛、霧島と比叡で大きさが全く異なります。比叡の仕様が異なるのかとも思ったのですが、他の日本艦に比べて金剛と霧島は小さすぎるので、作り変える必要があります。。
 D.バルジ:比叡は、最後に第二次改装を行ったため、他の3艦とバルジの形状が異なっています。キットでは、膨らみが若干足りないとの指摘もありますが、ある程度再現されているのでこのままとします。
 E.排水管:金剛と霧島の舷側の排水管が大きすぎるので、プラ板で小さく作り変える必要があります。
 F.舷外消磁電路:三艦とも開戦時仕様ですので、舷外消磁電路がモールドされています。ビスマルクのライン演習時である1941年5月の段階では、まだ舷外消磁電路は設置されていないと思われますが、他の日本艦同様そのまま生かすこととします。
 また、残念なことに比叡の艦体パーツにはかなりの「反り」が生じていました(G)。

2-2.艦底部の接着

Pic.2-2 金剛の艦体パーツ類

 艦底にボルト止め用の穴を開け、ナットを仕込みます。艦体と張り合わせたところ、金剛と霧島は艦底パーツがややはみ出し、削る必要がありました。一方比叡は、艦体が底に向かって広がっていて、艦底パーツのほうが狭くなったため、プラ板を貼る修正が必要でした。反りを修正するために圧をかけながら接着しましたが、接着・パテ修正・塗装後も合わせ目にはクラックが生じてしまいました。これは金剛や霧島でも起きていて、艦体パーツの横板による補強がうまくいっていないと考えられますので、注意が必要です。この後で発売された伊勢型では、艦体を左右パーツにし、補強パーツによる貼り合わせとし、艦底パーツが艦体に埋め込まれる形式に変更されているのは、この問題点を改善するためと考えられます。

2-3.副砲ケースメイト

Pic. 2-3  副砲とそのケースメイト

 前述したように金剛と霧島で、2番と5番の副砲が再現できるよう開口しなければなりません(A)。加えて、金剛、霧島の7,8番と比叡の2,7,8番は、舷側への砲郭の切れ込みが不十分なため、副砲の形状が中途半端な扇形で(B)副砲の砲身を舷側に添わせる位置にできないので、こちらも開口する必要があります(C)。さらに、艦体パーツの金型からの「抜け」の必要上、ケースメイトの左右が「ハ」の字になっている(D)ため、修正が必要です。
 確認のため、第二次改装後の金剛の写真(中央画像)をよく調べてみたところ、砲塔基部の高さ(E)は砲盾の高さ(F)と同じくらいあるのに気が付きました。また、副砲の上辺は甲板ぎりぎりのように見えます。
(ちなみに、ケースメイトの下に影があります(G)。艦舷より外側にはみ出ているのでしょうか? 宿毛湾で撮影された霧島の画像でも影が確認できます。)
 各キットの副砲パーツを比較してみました(右下画像)。特シリーズの金剛型の各キットの15㎝副砲(H)は砲盾の高さ1.4㎜で、伊勢型の14㎝砲副砲(I)の高さは1.8㎜です。このように金剛型のパーツは、伊勢型よりも底面積は広くなっていますが、砲盾が低くなっています。ちなみに、ピットロード日本海軍艦船装備セットの副砲(J)は砲盾と基部を合わせて3.4㎜となっています。
 さらに、艦体パーツの基部の高さは砲盾よりも低くなっています(K)。ケースメイトの高さが確保できないため、副砲を小さくしたようですが、その原因は、甲板の厚み(L)にあると考えます。実艦の写真のように副砲の上辺が甲板ぎりぎりにならずに、パーツを甲板の下に配置させてしまっているからです。
 「モデルアート艦船模型スペシャル 真・総ざらい4 金剛型」では、比叡の作例で、甲板を上げて接着するという思い切った改造が行われていました。ケースメイトの高さは、甲板の厚みがなければある程度稼げると思うので、これを参考に、なんとか実艦に近づけたいものです。
 さらに副砲と基部を高くする必要があります。榛名作成時には、旧フジミキットの舷側が高かったので、ピットロードの副砲をそのまま使用することができましたが、このケースメイトの高さではピットロードのパーツは大きすぎるので、手を加える必要があります。

2-3.副砲部分の修正

Pic.2-3 副砲部分の修正①

 艦体のパーツと艦底のパーツを貼り合わせた画像となっていますが。以下のように副砲ケースメイトの修正を行いました。
A.  金剛と霧島の2,5,7,8番、比叡の2,7,8番を開口する。
B.  ケースメイトの「ハ」の字を修正する。
C.  艦体パーツのケースメイトの上部を切り取る。 
D.  基部を除いたケースメイトの高さを3.4㎜とするために砲塔に当たる部分の甲板の裏を削る。 
E.  ピットロードの砲塔パーツの砲盾上部を削り、基部から上の高さを1.7mmとする。 
F.  Aで開口した砲塔基部のない部分は、円盤状のプラ板をピットロードの砲塔パーツに足し、基部の高さを1.7mmとする。基部のある部分は、ピットロードの砲塔パーツの基部と合わせて1.7㎜となるように調整する。
G.  Cで切り取った部分を、0.1㎜のプラ板に置き換える。
H.  砲盾の窓の高さを調整するために窓部分を開けたプラペーパーを貼り、基部の継ぎ目を隠すため、基部にもプラペーパーを周りに貼る。

Pic.2-3 副砲部分の修正②

 上の画像が金剛の副砲の修正後の艦尾側です。艦載機甲板は厚みがないので、厚みを増した副砲は容易に配置することができます。
 また、下の画像が比叡の修正後です。比叡の艦体パーツはすべて円形の副砲が配置できるようになっているので、甲板を削るだけで厚みを増した副砲を配置することができました。
 砲身は、榛名と同様、ピットロードの副砲パーツの砲身部分を切り取り、砲身カバーに0.4㎜径の穴をあけ、内径0.2mmの金属パイプに付け替えました。

制作2023年1月-2023年11月
スケールモデル祭り2023にエントリーしました(エントリー№29)
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