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Fairey Swordfish Mk.Ⅰ Tamiya 1/48 #2


2.制作ポイント(承前)

2-2.胴体

胴体の接着

 普通のパーツA13とクリアパーツのA9では剛性が異なるためか、貼り合わせで若干ずれが生じます。テープやクリップでしっかりと固定してあとから合わせ目消しをしなくてはいけません。すでに乗員を載せていますが(A)、このキットの一番の曲者はこいつらでした。パイロットは椅子に嵌らず頭が出すぎですし、機銃手は腰が浮いた状態でおさまりが悪く固定できません。結局、腕を外した状態で筆で塗装後、主翼の取り付け前に乗り込ませてから腕を接着しないとなりませんでした。

胴体各部のマスキング

 下翼の付け根(A)を胴体に付け、表面にフラットブラックに塗っておき(B)、左(C)、右(D)と下面3つ窓のクリアパーツを取り付けたら、窓、フラットブラック部、内部を見せたい部分(E)とコクピット回り(F)をテープでマスキングします。胴体接着前に内側から前部に突き出させた機銃(G)は、あらかじめガンメタルに、機体のへこんだ部分も機体色を塗っておき、マスキングします。
 水平尾翼(H)、垂直尾翼の方向舵(I)や上翼支柱(J)、下翼支柱のパーツA11とA12、後輪以外の機体後部下面のパーツ類D38、G1、G7を接着しました。
 ちなみに垂直尾翼の先のアンテナ線取付部分のテープ(H)は、破損防止のために貼っているもので、迷彩塗装の際にはは外します。

2-3.主翼

主翼の接着

 キットは主翼を展開状態か格納状態かを選ぶことができますが、飛んでいる姿にする予定なので、展開状態とします。
 下翼下面に後から爆弾架などを取り付けるための穴開け(A)を行ってから、各翼の上下パーツを接着します。
 しっかりとクリップで止めましたが、合わせ目に若干隙間が生じました。少量のパテを入れて合わせ目消しを施せば消える程度でしたので問題はありません。このあと主翼の根元の支柱パーツC9とC10、翼端側の支柱C7とC8を上翼にだけ接着しました。
 上翼の中央部を組み立てますが、まだ翼端とは接着しません。また上下翼の接着や主脚の支柱の取付も迷彩塗装後にします。 
 また、下翼のライト部分のパーツはG5とG6のみ接着し、その反射面のクロムシルバーは迷彩塗装後に塗り、ライト(G8)とカバーの透明パーツもあとから接着しました。

2-4.エンジン

エンジン

 画像左の現存機の正面からは、エンジンと(A)のリングと3方向に伸びた薄い三角形の支柱(B)が良く見えます。純正のエッチングセットにはこれらのパーツがあり、パーツD5に接着するようになっていますが、持っていないので、鍵などに使う二重ステンレスリング(B)を半分に切った物とプラ板で作り、D5と同色のフラットブラックに塗りました。指定色はセミグロスブラックなのでB2鉛筆を使って少し艶を出しました。
 エンジンのカウリングも半分内部が見えるようにクリアパーツ(D6)を使用し、見えない部分の内部は先にフラットブラックを塗り、この後の外側の塗装に備えて内部をマスキングしています。
 カウリング前部のD6と排気管のA16+A17は、説明書の指示ではメタリックグレイとなっていますが、現存機に合わせ錆びた銅色にします。D6の内側は先にフラットブラックに塗ってマスキングしています。

3.迷彩塗装

3-1.塗装図のバージョン

 キットの説明書には、A:第825飛行隊所属 E.Esmonde少佐機、B:ビスマルク追撃時 A.W.D.Beale中尉機、C:第823飛行隊所属機の3種類のバージョンで塗装図が掲載されています。中でもエスモンド少佐機については1/48原寸図が別紙で付属しています。

エスモンド少佐機

エスモンド少佐機バージョン
 ユージン・エスモンド少佐は、1909年3月生まれで1928 年にイギリス空軍に入隊し、その後海軍航空隊に転属して地中海で勤務しました。ビスマルク追撃時は、空母ヴィクトリアスの第825海軍航空隊に所属し、1941年5月24日の夜9機のソードフィッシュを率いてビスマルクを雷撃しました。このうち1発がビスマルクの右舷中央部に1発命中し、燃料タンクの破裂による燃料漏れを引き起こしました。この功績により少佐は殊勲勲章を授与されました。
 その後825航空隊は空母アーク・ロイヤルの所属となりましたが、1941年11月13日アーク・ロイヤルはU81の雷撃で沈没してしまいます。少佐は同艦が沈没する前に彼の中隊が乗組員の一部を空輸したことで、再び表彰されました。
 1942年2月12日のシャルンホルスト、グナイゼナウおよびプリンツオイゲンによるいわゆるチャネルダッシュ作戦時(阻止のためのイギリスの作戦名はフラー作戦)に、ドイツ艦の攻撃のため少佐は825航空隊の生き残ったたった6機のソードフィッシュで飛び立ち、ドイツの戦闘機に全機撃墜され、帰らぬ人となりました。
 この英雄の悲劇が良く知られているため、チャネルダッシュ作戦時の機体がイラストで描かれたり、モデル化されたりすることが多く、説明書の迷彩図もチャネルダッシュ作戦時と思われます。
 
 ビール少尉機バージョン
 エスモンド少佐の825航空隊の攻撃を受けたビスマルクは、その後英海軍の接触を振り切りましたが、5月26日に再び補足されてしまします。ヴィクトリアスに代わって今度はアーク・ロイヤルから2回攻撃隊が出撃しました。このうち第2次攻撃隊は、810航空隊の4機、818航空隊の4機、820航空隊の7機からなり、ビール少尉は810航空隊に所属していました。
 日没直前の20時47分ビスマルクに対する攻撃が開始されました。ここから資料によってまちまちなのですが、21時05分頃ビスマルクの右舷後方及び左舷後方に818航空隊のキーン中尉機(A) とモファット少尉機(5C) の、21時15分に左舷中央部にビール少尉機(2P)の魚雷が命中した(計3発)という説、キーン中尉機とモファット少尉機はいずれか片方しか命中していない(計2発)という説、ビール少尉機の左舷命中のあとに810航空隊のフォーセット大尉機(2B)あるいはパッティスン中尉機(2A)の魚雷が右舷後部に命中した(計2発)という説などがあります。
 いずれにせよビール少尉機はビスマルクの雷撃に成功し、同年9月に表彰されました。タミヤの説明書では所属不明となっていますが、ビスマルク追撃時は810航空隊の機体マーク2Pがビール少尉機となります。

 現代史上最も決定的な打撃
 アーク・ロイヤルのソードフィッシュの艦尾への雷撃により、ビスマルクは舵が左舷に12度傾いた状態で動かなくなり、これがビスマルク沈没の最大の原因であるとされています。今回のスケモ祭り2024への参加は、この一撃をジオラマ化したものにしかったので色々と調べたのですが、この艦尾への攻撃は右舷だったのか、左舷だったのか、魚雷を発射したのはどの機体なのか、上に挙げたように様々な説があり、真相は不明です。Wikipediaでも日本語版と英語版で解説が異なっています。
 魚雷の当たった箇所については、記載の多い右舷艦尾として、それをキーン中尉機の乗組員が見ていたという構図にすることにし、最終的にキットはタミヤの説明書通りビール少尉機として仕上げることにしました。

3-2.迷彩色

主翼の迷彩

 機体下面の指定色はスカイグレイです。内部用に調色したものに明灰白色を混ぜました(今まで書き忘れていますが、当造船所はタミヤカラーではなく、クレオスのMr.カラーを使用しています)。
 迷彩の一方はグレイバイオレットです。写真によるのですが、青っぽいものや明るいものとなっている機体が見られます。Mr.カラーのダークシーグレーに赤と青系を少し垂らしてみました。白黒の塗装図では濃いほうになっているのが不思議でしたが、実機の写真に近い暗い感じが出せたと思います。
 もう片方は、ダークグリーンです。最初は濃緑色をそのまま使おうかと思ったのですが、実機は明度が高く下面色に少し近い色合いです。濃緑色に明灰白色を混ぜてやや明るくしてみました。
 マスキングはせずに輪郭を細噴きする手法を試してみましたが、充電式のエアブラシでは難しいですね。塗装面も広く、そろそろコンプレッサー購入を検討しないといけません。

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