DKM Gneisenau 38cm/15" guns グナイゼナウ38㎝搭載型制作記 #1(Tamiya 1/700 waterline kit)
1 はじめに
1-1.製作背景
第一次世界大戦後に締結されたヴェルサイユ条約により、ドイツは旧式の戦艦や装甲艦などしか保有できず、その代替艦の建造の際も、排水量10,000t未満、主砲28㎝以下に制限されていました。この制限下で装甲艦の代替艦として1933年に建造されたのが、28㎝3連装砲を2基備えたドイッチュランド級装甲艦いわゆるポケット戦艦です。シャルンホルスト級は、最初このポケット戦艦の4、5番艦として計画されましたが、1936年に英独海軍条約が調印され、ドイツは英国の35%まで主力艦の建造が可能となり、同年には、仏海軍が33cm4連装砲を2基備えたダンケルク級条約型戦艦を建造していたので、これに対抗して、38㎝砲の搭載が検討されましたが、列強各国を刺激しない、38㎝砲の開発が遅れていたことなどの理由で、ドイッチュランド級で実績のある28㎝3連装砲が3基搭載されることになりました。しかし密かに、将来大口径砲(33、25、または38cm)の換装を可能にするようなバーベットが備え付けられていました。
海軍の計画より早くヒトラーが開戦してしまったため、 38cm砲への換装は実現しないまま戦争は継続し、1942年2月26日から27日の夜、キール港にてグナイゼナウは船首部分に英国空軍の500kg爆弾の直撃を受け、第一砲塔の推進薬に引火し爆発を引き起こし、船首と第一砲塔が破壊されてしまいます。しかし、修理可能と判断され、1942年7月に38cm砲への換装工事が決定されました。
計画では、砲塔大型化に伴う重量増加で、浮力が足りないことが懸念されたため、船首部を10メートル延長して245mとし、排水量は40,720tに達し、15cm砲と10.5cm砲も両用の12.8cmSKC/42砲に置き換えるとされました。また、マスト類などの上部構造の変更も含まれていました。
この換装計画を知り、試しにグナイゼナウにドイツ海軍艦船装備セットのビスマルク級用38㎝砲塔を載せてみると、見事にピタリと嵌るではありませんか。扶桑級の3番、4番砲塔のような窮屈さもありません。換装可能なバーベットはキットでも反映されていたという訳です。これでテンションがすっかり上がり1941年時のシャルンホルスト級(S&G1941)の製作と同時にグナイゼナウの38㎝搭載型(G改)を製作することにしました。
1-2.使用キット
タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.118 ドイツ海軍 巡洋戦艦 シャルンホルスト
ピットロード スカイウェーブシリーズ E-14 WW2 ドイツ海軍艦船装備セット1
ピットロード スカイウェーブシリーズ 日本海軍 艦船装備セットⅡ
フライホーク グナイゼナウ エッチングパーツ
ビスマルク、プリンツオイゲン及び2隻のS&G1941製作で余った2隻分のシャルンホルストのパーツを寄せ集めて使用しました。
3隻で共通する艦載機、艦載艇や装備類は、タミヤのキットとドイツ海軍艦船装備セットを使って標準化し、主砲はドイツ海軍艦船装備セットを、12.8cm砲は日本海軍 艦船装備セットⅡのB型改を使用しました。
フライホークのエッチングパーツは、S&G1941の製作の参考にしましたが、多くのパーツは実際には使用しなかったので、一部をG改に回しまし、手すり等は汎用のエッチングパーツを使用しました。
2. 改造ポイント
2-1 艦首の延長
艦体を10m延長するためには、1/700で14㎜ほど艦を長くする必要があります。そこで、古い2隻分の艦体を切断して貼り合わせることにしました。艦底は見えませんし、甲板部分はクラフト紙を貼るので、少々荒くなっても構いませんが、舷側はなめらかにしなければいけません。このため、曲線部分を避け、第1砲塔直前の少しストレートとなっている部分(A)を延長することにして、1隻はラインBで、もう1隻はラインCで、艦体を切断し、これを(D)のように貼り合わせました。艦底はラインBから少し艦首寄りにシフトした位置で切断し貼り合わせることで強度を得るようにしました。
2-2.艦橋上部
S&G1941の製作日誌でご紹介したように1941年のグナイゼナウの艦橋上部(パーツA19)は(A)の形状の張り出し部がありますが、1942年にはさらに(B)の張り出し部が追加されました。
2-3.艦橋下部
艦橋中部を取り付けるパーツA17は、全面フライホークのエッチングパーツで覆いました。艦橋下部構造上の測定機器の並ぶ仕切り(A)もフライホークのエッチングパーツを使用しました。
2-4.煙突
煙突の周囲の機関銃座(パーツC5)もフライホークのエッチングパーツを使用しました。このためC5から煙突部分だけ切り取る作業が必要です。
ここに取りけられていたマストは撤去されています。
煙突の形状も改造計画にあったようですので、あえて、S&G1941で使用しなかったクロス構造型のファンネルキャップのエッチングパーツを使用しました。
2019年2月- 2020年5月
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