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H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #4 (Pit-Road 1/700)
2.H.M.S.Valiant:ヴァリアントの制作(承前)
2-8.主砲
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主砲塔の横には短い梯子があり、付属のEP(PE6)を接着するよう説明書に指示がありますが、写真では、B砲塔とX砲塔には左舷右舷共に確認できる(A)ものの、A砲塔とY砲塔にはなかったようです(B)。
第二次改装後から大戦の初期には、B砲塔とX砲塔上には0.5インチ4連装機関銃が2基ずつ設置されていました(C)。この機銃は迷彩が施されるようになった大戦の中期には、エリコンの二連装に変更されましたが、1941年5月時は4連装機銃でOKです。
キットのパーツの4連装機銃のパーツ(D)は、エッチング製品(E)やFLYHORK製品(F)に比べるともったりとした印象です。エッチング製品とFLYHORK製品は他艦で使用する予定なので、ヴァリアントではキットのパーツの機銃部分を切り落とし、円形の基部を削って薄くして4連の手すりを切って貼り付けました(G)。何とか格好がついたと思います。
2-9.副砲の取り付け
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副砲は、他の装備品と同じく甲板や主要構造物のあとに取り付けましたが、説明書では甲板の接着前に取り付けるよう指示されています。艦首側の3基(A)は問題ないのですが、艦尾側の2基(B)は、前甲板がX砲塔部分まであるため前甲板と後甲板を接着してしまうとパーツのままでは取付スペースに嵌りません。そこで、パーツF17の旋回用の丸棒を短くして取り付ける必要があります(両舷合わせて4基分となります)。
2-10.クレーン
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QE級はクレーンの形状が艦によってすべて異なっているようなので注意が必要です。第二次改装直後のQE(A)では、クレーン中央部がストレートです。ヴァリアントは多くのパーツがQEと共通ですので、クレーンのパーツもこの形状となっています。しかし、前出(Pic.2-2)の第二次改装直後(B)や、迷彩が施されている大戦中のヴァリアント(C)では、クレーン中央部が屈曲しています。そこで、屈曲型であるレナウンのクレーンのEPが余剰となっていたので、これを使用することにしました(D)。
製品の設定年代と合わないので全く使用しないレーダー類より、クレーンのEPを用意してくれた方がありがたかったです。
2-11.レーダー
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ヴァリアントは、改装中に航空警戒用のType79Zレーダーが取り付けられ、1942年の1月から3月の間のアレクサンドリアでの修理中に、Type279に変更され、さらに5月にはType281に変更されとの記述がありました。画像のヴァリアントはPic.2-8と同じもので、主砲塔上に4連装機銃のある時期ですので、マストのトップにあるのは(A)Type79Zのようです。Type79Zはロドネイの制作で使用したType279とよく似ていますが、Type279の縦型のX形状のアンテナがありません。
1943年の写真では、マストの上部はType281のようですが、下部にはType273の特徴である円筒状の装置も見られます(B)。マストトップのレーダーの状況は、写真では中々分かりにくいのですが、この円筒形のレーダーは目立つので、QE級の年代を区別するポイントなりそうです。
また、キットの説明書では艦橋トップの高射指揮装置(キットのパーツF16)(C)に付属のEP(PE3)を付けることになっています。これはType285レーダーで1941年から各艦に順次設置され、この写真のヴァリアントでは設置されています(D)が、設置時期は不明です。この写真ではさらにパーツG12の上部にもType285に似たレーダー(E)が認められますが、型式は不明です。
さらに、艦橋横のパーツD8の円形部分にあたる所(F)には付属のPE4を付けるよう説明書に指示がありますが、これはポンポン砲の射撃管制装置に設置されたType282の八木アンテナです。Type282は、KGV級から順次各艦に装備され、イギリス軍がジブラルタルからマルタ島へ船団を輸送した1941年9月27日のハルバード作戦に参加したPOWが初めて実戦で使用しました。
このように、キットに付属しているEPのレーダー類は、1939年時には必要ありません。1941年5月時で設置されていたかは微妙ですが、この時期ヴァリアントは地中海で忙しく活動していたので、1942年の1月まで改修を受ける機会はなかったと思い、Type282とType285は採用しないことにしました。
その一方でType79Zはパーツ化されていません。しかたないので、Type279の形状に似せて、手すりのEPで自作することにしました。
2-12.艦載艇と艦載機
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"Royal Navyは奥が深い #7" に記載しましたが、士官の移動に使用されていた大型の機動艇は艦によって、また時期によって搭載している種類が異なり、1941年5月時のヴァリアントには、同時期のKGV級やマレーヤと同型の45tのfast motor boat(FMB)が搭載されていると判断しました。キットのパーツはQEと共通なので別の形式のFMBとなっていて、この型式のFMBのパーツはどのキットにも含まれていません。
自分で言い出したことなので致し方ありません。KGV級とマレーヤの分を含めて自作しました。船体のベースは余剰となっていたアメリカ海軍(ピットロードのコロラド級)の45ftランチを使用し、甲板から上の構造物をプラ板で作り(A)、構造物は白、甲板はウッドデッキ、船体上部は黒、下部は507Cで塗装しました(B)。
艦載機は、レパルスと同様、アオシマのアークロイヤルのソードフィッシュに九十四式水偵のフロートを履かせた機体(C)を作りました。また、"Royal Navyは奥が深い #3"にも記載しましたが、キット付属のデカールはtypeAで時期的に合わないので、typeBのデカール(D)に替えました。
ソードフィッシュを載せてから気づいたのですが、右舷の16ftFMB(E)やカタパルト近くの手すり(F,G:両舷共に)は、機の発進の邪魔になります。機体そのものがフロート状のウォーラスなら引っ掛からないかもしれませんが、ソードフィッシュの主翼下に2つあるフロートは、引っ掛かりそうです。一度は設置しましたが、FMBは撤去し、手すりは短く修正しました。
あとは張線、舵柄信号標、ホワイトエンサイン(少し大きいのが気になりますが)を施して完成です。
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