いろとりどりの真歌論(まかろん) #2 若山牧水

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ


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 31音しかないと、歌の解釈に困ることが多々ある。特にそれが現代語でない場合。必要なだけの文法知識がさて自分の脳内に残存しているか、となる。知っていることは知っているとわかるが、本気で忘れてしまったことは、忘れたことにも気づかない。

 この歌を初めて読んだのは中学生の頃か。

 「白鳥」を「ハクチョウ」と読んでしまったのはさておき。「かなしからずや」の「や」を詠嘆だととった。だから、白鳥は白におもねるでも青におもねるでもなく、己自身として突き進んでいるんだな、かっこいいな、という全体解釈となり、いい歌だ。と、そのときは満足する。

 しかし、高校生のときに授業でこの歌が取り上げられたさい、「かなしからずや」は反語だから、「悲しくないのだろうか、いや悲しいはずだ」と解釈すると教わった。

 ……え、だっさ。自分なりに志あって孤立(孤飛?)してるんじゃなくて、誰かとつるみたいのにぼっちなん? え、だっさ、と。そのせいで、いまだにこの歌を見るたびに「あ、友達がいないことをくよくよ悩むだっせえ白鳥」となってしまう。今、この文を書きながらも思う。

 誤読のほうが趣を感じた場合、とても気まずい。


☆反語……ハンゴ。言いたいこととは逆の言いかた+αで、言いたいことを匂わせる手法。

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