いろとりどりの真歌論(まかろん) #8 北原白秋
君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
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短歌といえば57577だ。あまり短歌に興味をもったことがない人でも、なんとなく短歌らしい57577のリズムや音程のイメージだけはあったりするだろう。あまり短歌に馴染みがない人のほうがこの57577のリズムに縛られがちだが、短歌ガチ勢はその段階を越えたところにいる人もいる。破調や自由律というやつだ。
だが、待って欲しい。破調や自由律に行く前に、君は本当に57577をやり込んだと言えるのか? 君の目の前にある歌は、ほんとうに57577のリズムなのか?
57577はただの打楽器譜ではない。言葉が乗ることで、音程や微妙な起音タイミングの情報も乗っかる。言葉の意味、文章の意味上の区切れが57577と微妙にズレて重なるのだ。
「君かへす」「朝の舗石」「さくさくと」「雪よ林檎の」「香のごとくふれ」
「君かへす朝の」「舗石さくさくと」「雪よ」「林檎の香のごとく」「ふれ」
頭の中で読む場合、音読と違って複数の音声を同時にイメージすることができる。そうするとこの歌は、最初と最後のタイミングだけが合う、シンコペーションのような状態になる。このおもしろさは、声に出さず、頭の中だけで歌を楽しむ人だけの特権だ。
☆破調と自由律……ハチョウトジユウリツ。57577以外の短歌の形。77577とか。
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