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デワープの逆

VR動画を作っていると「デワープ」という言葉を知ることになる。
「デワープ」とは、VRカメラで撮影した映像を補正して通常のレンズで撮ったように歪みを無くす技術のことである。
VRカメラは、視野角180°全てが撮影できる超広角レンズを使って撮影している。この映像データを普通の2Dモニターでそのまま見ると、いわゆる“魚眼レンズ”で撮ったように丸く歪んで見えるのである。

デワープを使うと、こうしたグニャッと歪んだ部分が補正され、大きさにもよるが、普通の2D映像のように見ることができるわけだ。
GoProなどのアクションカメラが一般化したこともあって、広角カメラで撮影した映像を2D用に変換して使う人も多いだろう。デワープ機能はこうした人たちには大いに役立つものだ。

しかし、今僕が探している技術はその逆、普通のカメラで撮影した2D映像を広角カメラで見た時のように歪める技術である。

何故そんなことをするのかというと、2D素材をVR映像にうまく組み込みたいからだ。
VRの映像は、先述の通り、円形に歪んでいる。そこに2D素材をはめ込むこともできなくはないのだけれど、そうするとVR空間で見た時にはその素材は若干歪んだり曲がったりしているように見えるのだ。

VR動画『Sightseeing Spider-Gwen』の編集中の画面
(中央に2Dの写真を使用している)
実際に観た際のVR画面
(VR映像はデワープされているが、2Dの写真が視点に対して筒のように丸まっている)

これを防ぐためには、2D素材をVR画面内に配置する時点で、素材をすでに歪ませておく必要がある。
上記のシーンで見ると、空港の手すりが本来まっすぐなものであるから、同歪ませるべきかというのは比較的分かりやすい。

赤線の部分は本来はまっすぐになっている。

問題は、こうした歪みをどうやって適正に素材に付けられるか、ということだ。
画面全体が180°であることを考慮して、素材の位置を調整することで自動的に歪んでくれるような機能が望ましい。エフェクトで魚眼レンズ効果などを付け足すテストなどもしてみたが、やはり歪んだだけできちんとした補正とは言えないものだった。

他にも、3DCGソフトで2D素材を3D空間投影してからCG空間のカメラを180°設定で撮影、という手段も無くはない。しかし、あまりに手間がかかるわりに、素材の画質も悪くなってしまう。完璧に3DCGで統一するのでなければ、あまり効果的ではないだろう。

今のところはまだ見つけられてはいないが、デワープ映像⇔魚眼映像を交互に変換できるようなソフトやデバイスがあれば、この問題についても多少解決の糸口が掴めるかもしれない。
これが解決できれば、VRコンテンツが飛躍的に面白くなると確信している。なんとかしたいものだ。

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