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『ターミネーター0』台詞 日英対照表:Model 101

アメリカのクリエイター:マットソン・トムリンとProduction I.GによるSFアニメシリーズ『ターミネーター0』は、現在Netflixにて配信中である。

本作は日米共同制作ということで、ショーランナーを務めるマットソン・トムリンが脚本を執筆し、日本のスタジオがそのアニメーションを制作するというスタイルが採られている。
制作の過程は詳細には明かされてはいないが、恐らくマットソンの構想や脚本が日本語に翻訳され、それを基に日本でアニメーションが制作された後、それぞれの国で日本語音声版と英語音声版が収録されたと思われる。
日本語版へのローカライズ(Japanese localized Script)には、『攻殻機動隊 SAC_2045』シリーズなどの脚本に携わった大東大介氏がクレジットされている。

しかし本作は、ローカライズの過程で英語版から削除された台詞や付け加えられた台詞、全く意味が異なる台詞があり、箇所によっては根本的にシーンの意図や人物の性格が変わってくるほどのアレンジが加えられている。
しかし、日本国内でNetflixを視聴した場合、英語版音声に対する日本語字幕は存在しない(日本語音声をそのまま字幕にしたガイドのみ)。
そのため、ショーランナーであるマットソン・トムリンが本来意図した物語を掴むためには、英語版の台詞を知る必要がある。


以下、両言語で大きく意味が異なる台詞を翻訳する。
※エピソード中の一部の抜粋であるため、全体のストーリーの流れを知りたいのなら、配信中の本編を視聴することをおすすめする


1. 悪夢から覚めたマルコムのモノローグ

日本語版
(削除)

英語版
Malcolm: The nightmare grows more vivd each night. Time is running out. Soon, my nightmare will be real.
Something's coming. I know it's true. I can't start second-guessing my mind. Not now. Not when we're so close.
I know the fate we're destined for.
マルコム「悪夢は夜ごとに鮮明になっていく。時間はもうない。すぐに悪夢は現実のものとなる。
何かが来る。私には分かる。『まだだ、まだその時は迫っていない』などと思い悩んでいる暇はない。
私は、我々に定められた運命を知っているのだから」

2. マルコムとケンタの会話

日本語版
ケンタ「パーツが欲しかったんだ。先週末約束したじゃん。部品をたくさん買いに連れて行ってくれるって」
マルコム「仕事から帰るまでに直して…」
ケンタ「また仕事の話?」

英語版
Kenta: They had the parts I needed. I mean, what was I supposed to do?
You said you'd get me more components. That was last week!
ケンタ「欲しいパーツだったんだよ。じゃあ、どうすればよかったの? もっと部品を調達してくれるって言っただろ。それも先週だよ」
Malcolm: I want this fixed by the time I'm home.
マルコム「私が帰るまでには直しておくんだ」
Kenta: You have to work? It's Saturday!
ケンタ「仕事に行くの? 今日は土曜日だよ!」

3. ヒロに対するマルコムの台詞

日本語版
マルコム「ヒロ! 妹の邪魔をするんじゃない!」

英語版
Malcolm: Hiro! Do you see that I'm on the phone?
マルコム「ヒロ! 電話をしているのがわからないのか?」

4. 帰宅したミサキとマルコムの会話

日本語版
マルコム「今までどこに行っていた? ミサキ」
ミサキ「郵便局に行くようにと仰られたので、帰り道で…」
マルコム「もう9時過ぎだ。1時間前には戻っていろと言っただろう」
ミサキ「申し訳ありません。あの、私…」
マルコム「今夜は帰らない。恐らく明日も。子供たちは9時半までに寝かせるように」

英語版
Malcolm: And where have you been?
マルコム「それで、どこに行っていた?」
Misaki: Well, I went to the bank like you asked, and on the way back…
ミサキ「あの、言われた通り銀行に行っていて、その帰り道で…」
Malcolm: It's after 9. I asked you to be back an hour ago.
マルコム「もう9時過ぎだ。1時間前に戻れと言っただろう」
Misaki: Yes, sir. I'm sorry. I shouldn't have kept you waiting, but…
ミサキ「はい、申し訳ありません。お待たせすべきではありませんでしたが、でも…」
Malcolm: You're here now. That's all that matters.
…I won't be back tonight. Maybe not tomorrow eigther…
マルコム「今は帰ってきた。それで充分だ。…今夜は帰らない。恐らく明日も」

5. マルコムとレイカの会話

日本語版
レイカ「明日帰ってこないの? でも明日は…」
マルコム「お前たちがパークに行きたいのは分かっている。だが、今回はどうしても無理なんだ」
レイカ「……」
マルコム「すまない。だけど、大事なことがあるんだ」
レイカ「私たちとパークに行くより大事なこと?」
マルコム「別の日にみんなで行こう。約束だ」

英語版
Reika: You won't be home tomorrow? But tomorrow is Mom…
レイカ「明日帰ってこないの? でも明日はママの…」
Malcolm: I know you want us all to go the park. I can't do it. We'll all go together on another day. I promiss.
マルコム「みんなでパークに行きたいのは分かっている。だが、ダメなんだ。また別の日に一緒に行こう。約束だ」
Reika: …
レイカ「……」
Malcolm: I'm sorry… but I have to something very important to do.
マルコム「すまない。だが、私にはとても大事なことがあるんだ」
Reika: Something more important than taking us to the park, you mean.
レイカ「私たちとパークに行くより大事なことよね…」
Malcolm: It's just a few more days Reika. It's almost over.
マルコム「あと数日だけだ、レイカ。もうすぐ終わる」

6. コネコを返すように命じたマルコムの台詞

日本語版
マルコム「そのロボットは早く家から出すんだ。必ずな」
ミサキ「あの……承知しました」
マルコム「夜までには私のデスクに返品レシートを置いておけ」

英語版
Malcolm: And you…Get that machine out of this house today. Understood?
マルコム「そして君…その機械は今日中に家から出しておけ。わかったか?」
Misaki: I thought… Yes, I'll take it back.
ミサキ「あの……はい、返してきます」
Malcolm: I'll call from the office when I have a better sense of when I'm coming home.
マルコム「帰る時間がハッキリしたらオフィスから連絡する」

7. タクシー運転手とマルコムの会話

日本語
運転手「随分降りますね。嵐が来ますよ」
マルコム「分かっているさ」

英語版
Driver: Some weather, huh? There's a big storm coming in.
運転手「荒れた天気ですね? これは大きな嵐が来ますよ」
Malcolm: You have no idea.
マルコム「何も知らないくせに…」

8. マルコムと研究員ナツコの会話

日本語
マルコム「今日は8月29日だな」
ナツコ「はっ、はい。そうですが…」
マルコム「ロサンゼルスが29日になるまでには…」
ナツコ「あのその日に何が…?」
マルコム「答えを出さなければ」

英語
Malcolm: What is today, Natsuko? The date?
マルコム「今日は何日だ、ナツコ。今日の日付は?」
Natsuko: Today? Is August 29th.
ナツコ「今日ですか? 8月29日です」
Malcolm: That means it's currently the 28th in Los AngeIes.
マルコム「つまり、ロサンゼルスは現在28日だ」
Natsuko: Yes, that's right, what about--?
ナツコ「はい、その通りです。それが一体…?」
Malcolm: lt's not nearly enough time.
マルコム「あまり余裕はないな」

9. マルコムとココロの会話

日本語版
マルコム「おはよう、ココロ」
ココロ「おはよう、マルコム。今日は通常時より心拍数が上昇しているようですね」
マルコム「そうか」
ココロ「あなたは何かを恐れている」
マルコム「そうかもな」
ココロ「死への恐れ…ですか?」
マルコム「審判だ」

マルコム「そして、それを変えることができないとしたら…」
ココロ「運命…すでに道が定められていることへの恐れですか?」
マルコム「少なくとも、審判への道は幾度となく踏み固められてきた」
ココロ「あなたが見るという夢の話?」
マルコム「覚えているか? ココロ。初めて君と話をした時のことを」
ココロ「全て記憶しています」
マルコム「君の最初の質問は…」
ココロ「私の存在理由」
マルコム「ココロ、我々の前には定められた道などない。そう信じている。人類にはまだ戦うチャンスが残されていると。あと17時間以内に君をオンラインにできれば…。ココロ、君には我々を救う力がある」
ココロ「なぜあなたはそう考えるのですか? その確証は?」
マルコム「ああ…確証はない」
ココロ「マルコム」
マルコム「ココロ」
ココロ「始めましょうか。話すべきことがたくさんあります。答えを出すために」
マルコム「そうだな。始めよう、最終プロセスを」

英語版
MaIcoIm: Good morning... Kokoro.
マルコム「おはよう、ココロ」
Kokoro: MaIcoIm… You seem tense.
ココロ「マルコム…。緊張しているわね」
MaIcoIm: I'm fine.
マルコム「平気だ」
Kokoro: No. You're scared of something.
ココロ「いいえ、何かを恐れているわ」
MaIcoIm: Maybe.
マルコム「そうかもな」
Kokoro: MaIcoIm…What are you scared of?
ココロ「マルコム。何を恐れているの?」
MaIcoIm: Judgment.
マルコム「審判だ」

MaIcoIm: l'm afraid that, despite my best efforts, I can't change what's going to happen.
マルコム「私が恐れるのは、どんなに力を尽くしてもこれから起こることを変えられないことだ」
Kokoro: Fate. You fear the path has already been set.
ココロ「運命。あなたが恐れているのは、その道がすでに定められているということね」
MaIcoIm: It has been. If I'm correct, many, many times, this path to judgment has been walked.
マルコム「これまでずっとそうだった。もし私が正しければ、何度も何度も、この審判への道は歩かれてきたことになる」
Kokoro: But you also think you can change that path?
ココロ「でもあなたは、その道を変えられるとも考えているのね?」
MaIcoIm: I do. Do you remember our first conversation?
マルコム「そうだ。 私たちの最初の会話を覚えているか?」
Kokoro: l remember everything.
ココロ「私はなんでも覚えているわ」
MaIcoIm: So you remember what you asked me?
マルコム「では、君が私に尋ねたことを覚えているな?」
Kokoro: "Why am I here?"
ココロ「『私はなぜここにいるの?』」
MaIcoIm: Kokoro. I believe the path before us is not set, yet.
マルコム「ココロ。私は、私たちの前にある道がまだ定められていないと信じている。
I believe that humanity still has a fighting chance to save itself from what's coming.
私は、人類にはこれから来るものに抗い自らを救うチャンスがあると信じている。
And if l were to bring you online before tomorrow ends… then I believe…
that you have the power to change our fate.
そしてもし、明日が終わる前に君をオンラインにすれば、その時、私は…君に私たちの運命を変える力があると信じている」
Kokoro: You believe I have the power to save you. But how do you know that l will?
ココロ「私にあなたたちを救う力があると信じているのね。でも、なぜ私がそうすると思うの?」
MaIcoIm: I... I don't know.
マルコム「私には…私には分からない」
Kokoro: MaIcoIm?
ココロ「マルコム」
MaIcoIm: Yes, Kokoro.
マルコム「なんだ、ココロ?」
Kokoro: ShaII we begin? There is so much to discuss… and we are running out of time.
ココロ「始めましょうか。話し合うことがたくさんあるわ。それに、私たちにはもう時間がない」
MaIcoIm: lndeed. You're right, Kokoro. lt's almost time. Let's begin.
マルコム「確かに。そうだな、ココロ。もうすぐ時間だ。始めよう」

(第2話 Model 102へ続く)


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