今日会社をやめた。
会社をやめた。
新卒のころから五年働いた会社。
正直ここ最近は、どう上司に反応されるかというストレスでずっと気持ちの糸が張っていた。
しかしおわってみれば、同僚や上司からの温かいさよならと頑張ってのメッセージばかりで、ほんとうに感謝しかない。
そしてお世話になった人たち、ひとりひとりに手紙を書いておいて本当に良かった。
私の同僚それぞれとの小さな「つながり」。五年という長い時間を経て、それらは私の想像以上に太く強い「つながり」になっていた。
そんな沢山の「つながり」の端々から記憶のかけらを汲み取る一日。同僚との昔の楽しかった時間。鮮やかだった日々が蘇る。
そして会社という枠組みを超えて、これからもその太く強い「つながり」は、細く長く、続いて行く。
今までのつながりの一つ一つにお別れを言えて良かった。
やめる日になって沢山の同僚兼友人たちとはなして思った。
皆ほんとうはそれぞれ色々な悩み、モヤモヤ、辞めてしまいたいという気持ちをかかえて働いている。
私の元に駆け込み寺のように、仲の良かった同僚たちが、じつは辞めたいとずっと思っている、今のままじゃいけないと思っている、と本音を私に打ち明ける。
辞める人には対しては、本音を打ち明けたくなるのが人の性なんだろうか。
(ちなみに私の会社は業界内ではかなりホワイトな方で、離職率も低い方だ。)
やめるまでの私はコンプレックスの塊だった。出世していく同僚、取り残されていく自分。
けれど、やっと自分のエゴが消えた。
私が幸せで、あなたも幸せ。それでいいじゃないか。お互いがお互いの幸せを願い合う。そんな当たり前なようで私には難しかったことが、最後の出社日になってやっとできた。
最後に出口へと降りるエレベーターから眺めるオフィスの住人と風景は、色褪せたように見える。挨拶を終え、会社の外に出てみると、そこから見えるのは大きな大きな木の箱。
今まであんなに思い入れがあったオフィスの建物も、今日は味気なく映る。やめる準備はとっくにできていたようだ。五年前の魔法はもうない。
完璧な職などない。好きなところもあり、嫌いなところもある。皆それぞれ折り合いをつけて進んでいく。
そしてそれぞれがそれぞれの信じる道を進むから人生は美しい。