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迫力満点の音楽とダンスが伝える、現代への願い『ウエスト・サイド・ストーリー』【ネタバレあり】

ついに先日、観に行ってきました!!
スティーブン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』。
昨年9月に情報解禁されてから心待ちにしていた作品です。

鑑賞後、私の第一声は「とにかく音楽とダンスに痺れた」。
実際に鑑賞中、人間って本当に感動したときに鳥肌が立つんだなと実感しました。

本題に入る前に、まずは本作のあらすじを。

夢や成功を求め、多くの移民たちが暮らすニューヨークのウエスト・サイド。 だが、貧困や差別に不満を募らせた若者たちは同胞の仲間と結束し、各チームの対立は激化していった。 ある日、プエルトリコ系移民で構成された“シャークス”のリーダーを兄に持つマリアは、対立するヨーロッパ系移民“ジェッツ”の元リーダーのトニーと出会い、一瞬で惹かれあう。この禁断の愛が、多くの人々の運命を変えていくことも知らずに…。

https://www.20thcenturystudios.jp/movies/westsidestory 
ウエスト・サイド・ストーリー|映画|20世紀スタジオ公式 

今回は、私が観て特にゾクゾクしたシーン、是非注目して聴いてほしい曲を3つ選んで感想をお伝えしたいと思います。これから観ようと思っている方も、既に観た方もご参考になれば嬉しいです。

(ここから先、ラストには触れませんがネタバレを多く含みます。ご了承ください)

Prologue(プロローグ)

まず私が「あっ!」と驚いたのは、口笛と打楽器のみで演奏されていること。この斬新な楽器の組み合わせで、よりひっそりと、より緊張感を持って『ウエスト・サイド・ストーリー』の世界観に私は引き込まれました。
遠くから観察しているような画角から、少しずつ街の細かな様子にフォーカスしていくカメラワークも強く印象に残ります。

「次は何が出て来るのか?」とワクワクしていると、この物語で軸となるヨーロッパ系移民・ジェッツとプエルトリコ系移民・シャークスの2つの不良グループが現れます。それぞれのグループが街を踊りながら闊歩し、次第に闘争へ。この一連の流れの疾走感が、ジェットコースターに乗っているようで堪りません。

Mambo(マンボ)

『ウエスト・サイド・ストーリー』を知らなくても、この曲を一度は聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。

ダンスパーティーで、学校側が決めたダンスを踊るのに嫌気が差した一同。「自分たちでやったれ!!」と言わんばかりの勢いで踊り始めたのが、このマンボです。

よくよく見ると衣装はジェッツ側が青、シャークス側が赤。振り付けもシャークスはラテン系のステップで、ジェッツは回転が多め。両者譲らず圧巻のダンスは見応え抜群。踊り狂う集団の中を駆け抜けるような映像は迫力満点です。まさに文字通り「血が騒いだ」場面です。

そこから主人公トニーとマリアの出会いの場面に繋がります。一瞬、2人だけ時が止まって、お互いを見つめ合うシーンは、それまでの激しいダンスシーンとの対比が効いて「はっ」とさせられました。

America(アメリカ)

中盤、マリアの兄の恋人・アニータがアパートのベランダでご近所の方々と「差別もあるけど貧しいプエルトリコに帰らず、私はアメリカで生きていく」と気持ちを高らかに歌い上げる場面。住人を巻き込んで、外へ繰り出し、街中の人々と共に歌い、踊ります。

「タツツ、タツツ、タツ、タツ、タツ」と病みつきになるリズム。それに合わせる、一糸乱れぬ足さばき。ふわりひらりと衣装を翻すさまに、ただただ圧倒されました。最終的に、街の子どもたちもダンスの輪に加わっていたのは目新しいと思いました。

この曲は全体的にはリズミカルで明るい曲調です。しかし歌詞は、アニータたち女性陣が歌う明るく希望を持った詩に対し、合いの手を入れるベルナルド(マリアの兄、アニータの恋人)ら男性陣の部分は「アメリカは公害が多い、有色人種は差別される」など悲観的な言葉で揶揄が続きます。

ここに、彼らプエルトリコ系移民たちの複雑な胸中が凝縮されていました。
その真意に気づくと、切なく、いたたまれない気持ちになりました。

あとがき

1961年に『ウエスト・サイド物語』として映画化、公開され約60年。
『ウエスト・サイド・ストーリー』の中で描かれているのはニューヨークでの移民同士の闘争ですが、貧困や差別など現在にも通じるもの、未だ解決されていない問題、より深刻になっている問題も浮き彫りにしているのではないでしょうか。

圧倒的インパクトを与える音楽とダンスに乗せて、より多くの人のもとにスティーブン・スピルバーグ監督からのメッセージが届くと良いなと思いました。

是非、まだご覧になっていない方は劇場で観てください!

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