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ブランド広告はいらない?! 広告は誰のものか考えてみよう!
「ブランド広告」というカテゴリーは必要か? そもそも広告は誰のものか?:顧客視点で捉える広告の役割
「ブランド広告」とは一体何か?
広告業界で頻繁に耳にする「ブランド広告」。しかし、その定義は曖昧で、人によって解釈が異なります。企業は「顧客創造」を目的として活動しており、広告は顧客に製品やサービスの「意味」を伝える役割を担います。では、顧客視点から見た時に、「ブランド広告」とその他の広告を区別する必要があるのでしょうか?
優れた企業は、製品やサービスの価値を顧客に対して明確に示し、顧客との価値観を共有することで、支持と共感を増幅し、自らの価値を高める活動を行っています。 本当に効果的な広告とは、顧客に「意味」を伝え、共感を得られる広告です。
ブランド広告はいらない?! 広告は誰のものか考えてみよう!
Appleの「Crush!」キャンペーンの検証
Appleの「Crush!」キャンペーンは、iPad Proの革新性と薄さを強調し、製品の独自性を視覚的に伝えるために制作されました。従来のクリエイティブツールが工業用プレス機で押し潰される様子は、新製品の機能を象徴するものでした。
しかし、この広告は視聴者や広告関係者、マーケターから「創作・Creativeそのものへの敬意が欠如している」と批判を受けました。Appleはこれに対し謝罪を発表しましたが、一方でSystem1の調査によれば、Appleユーザーからの評価は高く、コアなAppleファン層からは革新性を称賛する声が見られました。
この事例は、「ブランド広告」の定義の曖昧さを浮き彫りにしています。Appleは一体何に謝罪したのでしょうか? それは、新製品導入における機会ロス、つまり、より多くの顧客を開拓する機会を逃したことへの謝罪だったと考えられます。
「Crush!」キャンペーンは、広告の評価者が顧客であることを示す好例です。業界からの批判は、広告の本質的な価値とは無関係です。重要なのは、顧客がその広告を通じて製品の価値を理解し、共感できたかどうかです。
UNIQLOの「LifeWear」の検証
UNIQLOのテーマ「LifeWear」は、全ての広告表現で徹底されています。TVCMで展開されるキャンペーンは、顧客の生活をより良くするための服作りというブランドの価値を伝える広告です。UNIQLOは、HEATTECHやAIRismといった機能性商品の効果をストーリーテリングで表現し、日常生活での具体的な価値を訴求しています。
有名タレントの起用はあくまで「メッセージの一部」として扱われ、服が顧客の生活体験を豊かにするツールであるという位置付けを示しています。
Apple同様顧客解像度の高いUNIQLOにおいては、ブランド広告やセールス広告という区分けはありません。提供されるブランドは一つで、顧客と価値を共有するための話法を媒体も含めたTPOで使い分けているのです。「らしさ」の管理が徹底されており、ユニクロは顧客との関係を強化し、ブランド価値を向上させる方法を熟知しています。
広告の評価は顧客が行う
広告の良し悪しを判断するのは、顧客自身です。広告が良いか悪いかは、広告関係者や業界内での評価よりも、顧客がその広告から価値を感じるかどうかにかかっています。顧客が広告を通じて企業が提供するプロダクトの意味を感じ、自身の生活に関連付けることができるならば、それは「良い広告」です。逆に、どれだけ美しい広告であっても顧客に響かなければ、広告の本質的な役割を果たしていないことになります。
全ての広告は顧客のために
Appleとユニクロの事例は、「ブランド広告」と「その他の広告」を区別することの無意味さを示しています。顧客視点で製品の価値を伝え、ブランドと顧客との関係を築くことこそが、広告の重要な役割です。
広告代理店は、「ブランド広告」の名の下に華美な広告表現を目指すのではなく、顧客が製品やブランドの価値を実感できる広告制作に注力すべきです。広告で高めるべきは、企業が提供する製品やサービスの「意味」であり、広告代理店のクリエイティビティを礼賛することではありません。
広告の成否を決めるのは顧客です。全ての広告は顧客のためにあります。
顧客中心の広告こそ、真に意味のある広告
この記事では、「ブランド広告」という概念に疑問を投げかけ、顧客視点の重要性を強調しました。広告代理店は、自己満足的な評価基準から脱却し、顧客価値の創造という本質に立ち返る必要があります。
顧客が求めるものは、美しい広告でも、話題性のある広告でもありません。彼らの生活を豊かにし、問題を解決してくれる、意味のある広告です。
全ての広告活動は、顧客のために存在します。
ヘッダーにはUnsplashのTobias Mooreが撮影した写真を使用しました。
ありがとう!Tobias Mooreさん!
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![森 浩昭 / Hiroaki MORI](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/113076488/profile_de33d8f419c0b526b8fd185a6be50c72.jpg?width=600&crop=1:1,smart)