アラブコーヒーの思い出
今朝、久々にアラブコーヒーを淹れた。
レバノンからのお土産というかお裾分けだ。
コーヒーとカルダモンの絶妙に混ざり合った匂い。あの家、あの人、あのスークを思い出す。
あの日は忙しかった。
暑い日だった。
ビデオグラファーのスザーンとジェニンからラマッラーへ向かった。
ラマッラーの劇場で撮影の仕事があったからだ。ジェニンとラマッラー100km満たない距離、国内。
しかし、入植地の前を通るためチェックポイントがあったり、この日はラマッラー近くでイスラエル軍と遭遇した。
緊張しながら、しかし車のスピードは緩めずに進む。白煙が上る。窓を閉め口元を布で覆う。催涙弾で喉をやられてしまうから。
そんな中をすり抜けてその日の仕事場へ到着する。
++++++
仕事が終わり、すっかり深い夜となった。
車で来た道を帰る。
『カフェでコーヒーでも飲もうよ。
『時間もないし、持ち帰ろう。通り道にカフェあったよね。そこでさくっと買おう。
『アラブコーヒー2つ。』
『ここはアラブコーヒーはなくて、コーヒーならアメリカーノ、ラテ、マキアート・・・』
『じゃあ、アメリカーノ2つね。』
私たちは車に戻って仕事終わりのいっぱいを楽しもうとした。
『ちょっと何これ!アメリカーノってこんなに薄いの?私アラブ人よ!ドカンとしたアラブコーヒーしか認めないんだから!
こんなのただの薄苦い汁よ!』
『まあまあ、落ち着いて。さ、帰ろう、ジェニンに。アラブコーヒーを飲みに。』
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