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『救世主へのアシスト』

『救世主へのアシスト』 No.001

まさか君が最初に捕らえられるなんて…
誰よりも慎重でいつも先を読む性格
どうやら僕はそこに惹かれているようだ
数人の仲間たちも近くに潜んでいるだろう
この鬼は、カラダの大きさのわりに動きが素早い
君が捕まるくらいだから、油断はできない
意気揚々と辺りを見渡し、次の獲物をじっくりと探している
僕は不法投棄された車の陰に身を潜めた
息を整え、車体の下から覗き込む
奴は君を捕らえている場所からゆっくりと離れ始めた
救出に向かうタイミングは君からまだ出ない
鼓動は徐々に激しさを増してゆく
いっそのこと僕も捕らえられれば君の近くに…
いや、そんなことをすれば君はきっと僕を軽蔑するだろう
ダメだ、今は君をあの場所から救いだすことだけを考えろ
誰かが助けてくれるのを待つなんて、もうごめんだ
必ず僕が行く、そうテレパシーを送る
君と目が合い、行動の印を受け取った
靴ひもを結び直す君からのアシスト
このチャンスを無駄にはしない
充電したエネルギーを足へと送り込む
絶対に君を救い出す
風を味方につけた救世主
臆病なチキンヤローなんかじゃない
疾風に気づいたハンターは、まさに鬼の形相で戻ってくる
君は僕を信じ、直ぐに走りだせるよう身構えていた
僕とヤツの距離が詰まってくる
魂の叫びを上げながら一点を目指し、突っ込む
あちこち歪んだ小さな円柱を捉えた
全ての力を込め、思いっきり蹴り飛ばす
“封印の象徴”は空高く舞い上がっていった…


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