『相棒と伴侶』
『相棒と伴侶』 No.027
俺はこの町に用がない、はずだった
君を救い出す前までは…
今は通りすがりの無法者
以前住んでいた東の町ではヒーロー扱い
それも遠い昔に感じる
保安官として正義感に燃えていた俺は消えた
全て奪っていった奴ら…
俺が信頼出来るのは自分の腕と正確に弾くこの“相棒”
流れ着いた町の裏通りで襲われていた一人の女
相棒が、見過ごせないと火を噴いた
血がにじむ俺の腕に駆け寄る
腕の痛みと運命の視線が、稲妻の如く魂までも貫く
止まった時を君の吐息だけが漂う…
君は何十年もこの町を仕切る一家に仕えている
奴隷同然の扱いに俺の中の撃鉄がゆっくりと引きあがっていく
君は必至で俺をなだめ、憂いた
そして問いかける
女のピークはとっくに過ぎているのよ…なぜ?
不思議そうな頬に掛かる髪を俺の指が整える
君は女として引退するにはまだ早い
熱い抱擁に委ね、互いを求めあった…
夜明け前、教会の裏で君を待つ
朝霧の中、俺に近づく運命の人影
胸元と裾にフリンジの着いた黒いワンピース
馬の上から手を伸ばし、包み込むように引き揚げる
共に手綱を握り、新たな世界へ駆けだす
俺の手には、“相棒”を超える新たな“伴侶”
復讐に燃える旅は、今、終わりを告げる…
皆さまからのお心遣い、ありがたく頂戴します。 そんなあなたは、今日もひときわ素敵です☆