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『赤い流れ星』

『赤い流れ星』 No.010

“…悪くないんだ…君は…絶対に…”

君と離れてから何も手につかない
気が付けば列車に乗り、流れる景色が夕日に揺れる
星が消えたこの都会できっと君を見つける
埋もれた想い出の轍
ただそれを頼りに足跡を辿る
遠くに君が見えた瞬間から甦るあの頃
気づいてほしいと願いながら立ち去った
期待と失望がせめぎ合う
僕の夢で君は指先を滑らす
君の胸で僕は安らぎを感じる
もう一度、君に逢おうと振り返る
不意に誰かと肩がぶつかった
謝る間もなく胸ぐらを掴まれる
睨みつける眼光と酒の匂い
顔をそむけると、相手の膝が腹部にめり込んだ
膝から崩れ落ち、男の足元に胃の中のものを吐き出す
数秒後、何本もの足が次々と襲い掛かってきた
体中が痛みでマヒし、意識が遠のく
誰かに抱え起こされた後、さっきとは明らかに違う痛みを腹部に感じた
重力に身を任せ、ぐったりと倒れ込む
そこには小型ナイフの持ち手だけが見えていた…

冷たい地面から身体がゆっくりと離れていく
まるで極上の羽毛布団に包まれているかのような優しさと温もり
見上げる星空の中に君の涙が降ってくる
何度も泣きながら謝る君の頬に触れると、赤い流れ星が煌めいた
君の苦しさは僕が誰よりも知っている
いつだって、どんな時だって、僕は君の味方
だから、“こう”言わせてほしい…


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