【第3話】『BTS Monuments: Beyond The Star』
苦しみを成長に変え、世界へ
誰もが苦しんだ2018年を乗り越え、超長期に渡るLY/SYワールドツアーに全力を注いだ2019年。
ユニセフスピーチやグラミー賞プレゼンターを経て、BTSがK-POPアイドルからグローバルアーティストへ脱皮していった期間であると同時に、「Love Yourself」とは何だろうか、とそれぞれが向き合った時期であるようにも見えます。
このツアー中は「BRING THE SOUL: THE MOVIE」「BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」とも被っているので、一緒に見ると興味深いんじゃないかと思います。
感想:第3話「幸せを追い求めて」(2018~2019)
契約更新を前に、深く悩んでいたメンバー達。
2018年にメンバーと行った旅行が、流れを変えるきっかけになった、とSUGAとジミンちゃんが語っています。
「旅行の後、また楽曲づくりを始めた(SG)」
「皆が幸せそうで、僕も幸せになった(JM)」
という言葉に、感情の持っていき先の違いが出ていて、興味深いですね!
旅行の発案者はテテだったよう。観光や釣りやイチゴ狩りを楽しんだ様子が、写真から伝わってきます。
この時の映像は、センイルツイートとかインスタとかでちょこちょこメンバーが共有してくれてたと思うんですが、こうやってまとめて見られるのは嬉しい( *´艸`)
このテテのセリフが好きすぎて、曲まで作りましたw
かつてはやんちゃ担当でヒョンどころか同期にまでお世話されてた小猿が、「待ってて、僕が幸せにしてあげる」って……!(悶絶)
解散まで考えたという試練の時期は、こうして終息していったようです。
詳細は当人たちしかわかりませんが、煩悶の中で、BTSとしてのアイデンティティを「僕たちをステージに立たせてくれるARMYのために歌う」こと中心に立て直し、再度結束を固めた様子が窺えます。
この苦しい時期に於いても、バンタンのリリーススピードが落ちなかったことは驚愕に値します。
『Beyond The Story』でも、実際リリースの危機があったらしいのですが、「誰か休んでもおかしくない時も、練習やレコーディングには皆来ました。やることはやるんです」ってホビが語っていて、何があっても練習してARMYにいい姿をお見せする、という信念すら感じられます。
飛行機でオークランドに向かうバンタン。「Love Yourself World Tour」で2018/9/12にオークランド公演をしているので、その時期ですね。
「4か月の間に2回も一位を獲った」って嬉しそうに言いながら、グクがオレオを食べてます。飛行機のクラスも待遇もどんどん向上していく中、相変わらずお菓子大好きなトップスター、推せますw
途中のインタビュー番組で名前が出ていたジョン・シナさんは有名なARMYだったようで、記事がたくさんありました。1つ置いときますね。
昨年に続いての招待を受け、ビルボードミュージックアワードへ向かうバンタン(2018/5/15)。
この後2021年までずっと出演し続け、2017年からは5年連続で「Top Social Artist」賞を獲得しています。
この賞はファン投票、及びストリーミングやSNSでの活動などを総合的に評価して決定されるため、BTSの受賞は彼らの音楽的成功だけでなく、グローバルなファンベースの強さと、SNSでの影響力の大きさを示していますね。バンタンとARMYが一緒にもらった、私たちらしい賞ではないでしょうか。
ちなみに5年で連続記録が止まったのは、2022年からこの賞が廃止されたためです。廃止されなければ連続受賞記録が延びていたかもしれませんね。
『FAKE LOVE』の初披露はこのステージでした。緊張しながらも「応援してくれるARMYが誇れるように」と奮起するバンタン。メイク濃いめのテテ、目が座ってて気合を感じますw 頑張れ!
余談ですが、バンタン動画の字幕見てて、日本語とちょっと使い方違うなと感じる言葉ってないですか?
「韓国的な情緒があります」とか「たくさんの関心をお願いします」とか、一見日本語に見えるけど日本語の感覚ではあまり出てこない言葉があって、和訳でも吸収しきれない言語の溝を感じます。面白くて好き。
閑話休題。『BEYOND THE STORY』の著者であるカン・ミョンソクさんが、「バンタンは家族も同然、彼らの成長に少しでも寄与したい、その気持ちが多くのARMYの人生を変えたと思う」と言っています。
「大好き!」と感情を弾けさせるだけでなく、もう一歩踏み出して影響を与え合おうとする、良い意味での関係性の近さが、ファンダムにARMYという個性を与えたように受け取れました。
国連総会会場でのユニセフスピーチ(2018/9/24)や、TIME誌インタビュー(2018/9/26)での映像など、国際的に認知されていくバンタンの様子が、描かれていきます。
「America's Got Talent(2018/9/11)」や「Good Morning America(2018/9/26)」にも次々出演。
人気の拡大に伴って、海外からの評価が本国へ逆輸入され、国内での評価も高まっていき、大韓民国大衆文化芸術章授賞式(2018/10/24)では、花冠文化勲章を受章するまでに至りました。
グラミー賞プレゼンターになったことを祝い(2019/2/10)、ホテルで大騒ぎしている様子はいつものバンタンなのに、彼らを取り巻く状況は目まぐるしく変わっていきます。
これまで先輩たちの背を追ってきたのに、いつの間にか先頭に立ち、次々と「韓国人初」の称号を手に入れていく毎日に、ゲームをクリアしていくような面白さを感じているホビ。
しかし、誰も経験したことのない高みへ一気に引き上げられていくような感覚は、彼らの中に喜びだけではない葛藤を生み出します。
「Love Yourself 承'Her'」のCD隠しトラックに収録されている『BTS 'Skit: Hesitation & Fear(ためらいと恐れ)'』の中で語られる心情は、胸を打ちます。
栄光の最中にいても有頂天にならず、上がった分だけ落ちることを想像してしまうバンタン。
韓国の誇りと呼ばれ勲章を得ても、彼らは過去を忘れて上だけを見ることができず、毎回自分がどこから来たのかを思い出してしまうようです。
バッシングされた悔しさや、批判を恐れ動けなくなった日の汗の冷たさ。今称賛を送っているのは、いつか声高に批判を繰り返した声かもしれないという痛み。
自分たちの歌を歌うバンタンは、その時々で生まれた感情を歌にして、何度も振り返るため、そういった棘がいつまでも風化せず残り続けるのかもしれません。
一方、テテは当時を振り返り、仕事ではなく環境が辛かったと語っています。
ホテルと会場への往復を繰り返し、規則正しいとはいえるけど、個人としての面白みはない日々。
確かに、この時期のバンタンは一年以上続いた(公演期間日数431日)巨大ワールドツアー中で、本当に移動が多かったようです。
移動→現地でテレビなどに出て、リハーサルして、本番→移動、の繰り返しだったことがスケジュールからもわかりますし、Weverseライブもホテルからの配信が多いですね。
少し外へ出たくても、マネージャーヒョンやボディガードの人を煩わせると思うとできない、という発言は「BRING THE SOUL」でも聞かれましたね。
実際、ほとんどの時間をホテルで過ごしていたそうです。感覚としては、コロナ期間中に自宅待機していた頃の生活に近いんじゃないでしょうか。
ラップラインは楽曲制作、ジン君はゲームと時間を注ぎ込む先がありましたが、マンネラインはそれだけでは物足りなかった様子。
ここでジン君が、アンチコメントとの付き合いについてコメントしています。編集の流れからすると少し浮いていて、気になりました。前後にそういう話があったのかもしれませんね。
仕事は充実している。自分たちに生きる意味を見出している人たちは、思ったより多い。けれど、個人としての人生には満たされないものを感じる。
というのが、この時期のバンタンの共通した状況であったように見えます。
映像の中では触れられていませんが、ツアーから帰っても、この感覚は続いたようです。彼らは有名になり、これまで以上の注目を浴びるようになり、韓国でさえもお忍びで出歩く楽しみが制限されるようになりました。
パンPDの言葉が興味深いですね。
BTSと成功を共有し、共に世界が一変する経験をしていながら、管理側としてアーティストとは違う目線から物事を見ているパンPD。彼の言葉には、立場は違えど同志としての共感と、自分が選んで旅出たせた子ども達への責任を感じます。
この後ジミンちゃんが「できることを続けていたら、道が開けたような気がする」と言っているので、先が気になります。どう開けたんでしょう。
2019/4/29、仁川国際空港から旅立つバンタン。
2019/5/1の「2019 ビルボードミュージックアワード」の後、5/4から「Speak Yourself World Tour」のアメリカ編が開始されていますので、2019/10/29のツアー最終日まで、半年に渡って世界を巡る旅の始まりですね。報道陣や追っかけアミの多さに、改めて驚かされます。
「BREAK THE SILENCE」から、ローズボウルでの映像も挿入されてます。BIGHIT全面協力の動画提供ぶりがすごい。初期と違って映像資料が豊富になっているので、参考資料が多くて私も嬉しい悲鳴です。ついあれこれ見ちゃって進まないw
そして舞台はイギリス・ウェンブリースタジアムへ(公演は2019/6/2~3)。
少し前の「夢のステージ」は韓国のオリンピック競技場でしたが、今はクイーンやマイケル・ジャクソンなど、伝説的なアーティストが公演してきたウェンブリーです。出世のスピードが桁違い。
改めて、BTSが文化や言葉の差を乗り越えグローバルアーティストになったのだなと、感慨を深くしました。
次々ステップアップしていく会場規模に、「このまま火星に行きそう」って笑ってるSUGAがかわいい( ;∀;)
そしていよいよ本拠地・ソウルへ戻り、2019/10/26から3日間に渡るソウルオリンピックスタジアムでのFinal公演!
ラストコメントでのジン君の涙と、ナムさんの号泣が印象的だった回ですね……。バンタンが誇る長男とリーダーが泣いたら、もうARMYも全員もらい泣きするしかないのよ……。
『Mikrokosmos』が響く会場を彩るドローンのライト、花火、そしてアミボムの光。何度見ても心を打たれる美しい光景に、メンバーたちの達成感に満ちたコメントが重なります。
大きな物事を成し遂げ到達点に辿り着いたことを示唆する姿に胸が熱くなりますが、見ている私たちは彼らの行く手に「兵役」問題が、そしてこの時にはまだ姿を現していない「コロナ禍」が待ち受けていることを知っています。次が気になります……!!
今3話目で2019年後半……意外と進行が速いですね。8話までどういう配分で行くんだろう、と余計なことが気になっています(/ω\)