地方国公立大学はオワコンか?

 一連の変化が地方国公立大の首を絞める。難関・準難関の国公立大を狙う学力優秀層の受験生は、今まで通りしのぎを削り続けるだろう。しかし、それ以外の地方国公立大においては、学力中位層の受験生が難化する共通テストを避けたがり、個人出願によって高校側が生徒に出願を促すパワーも落ちていく。年内学力入試という軽量化された学力試験の選択肢が加わって、首都圏からの地方国公立大の受験生はますます減り、それどころか地方から首都圏に流れていく。

 ルートマップマガジン社が首都圏135塾に実施したヒアリング調査で「北関東の国公立大に合格できる学力を持ち、年内入試で東洋大に合格した塾生における進学先の予想」についてたずねたところ、回答者の62%は「そのまま東洋大学に進学し、北関東の国公立大は受験しない」と予想している。

 中堅受験クラスの共通テスト離れと国公立大離れ。これが25年度入試以降に起こり得ることだ。では実際に25年度入試の受験生はどのような動きを見せているのか。

ダイヤモンドオンライン

太字部分が重要だ。私が大学入試センター試験を受験した頃は、今とは大違いだ。当時は、社会は文系でも1科目で良かった。そのため、私は世界史しか受験していない。理科も、1科目で良かった。そのため、私は生物しか受験していない。情報なんて無い。英語はリスニングテストが無かった。

今の共通テストは、文系の場合は社会2科目、理科も基礎の場合は2科目必要だ。さらに、情報が加わる。また、数学で「悪問」というべきものが出題されている。数学そのものの問題というより、読解力が必要な「国語」のような問題が出題されているのだ。そういうのは、二次試験(大学個別試験)でやればいい。センター試験や共通テストは、あくまでも「基礎・基本」を評価する試験であるべきだと思う。そうでないと、ダイヤモンドオンラインにも書かれている通り、中堅以下の国公立大学志望者には負担が重すぎる。

さらに、インターネットの情報のせいで、田舎の自称進学校の教師がごり推ししてくる地方国公立大学は、東京や関西、名古屋圏の私大と就職実績で大差がないことがバレてしまった。さすがに、旧帝大・神戸大・大阪公立大・名工大などは別格だが、三重大学理系クラスだと、近畿大学や名城大学の理系と大差ないだろう。三重大学文系だと、もはや大東亜帝国クラスかもしれない。。。(三重県庁は強いが)。もちろん、学費は国公立大学のほうが安いのだが。ただ、理系の場合でも、古文・漢文や英語リスニング、社会に嫌気がさして、私立理系で「英語・数学・理科」に絞りたい人は多いだろう。一定の世帯年収がある家庭の受験生はそうなると思う。

インターネット出願(要するに個人出願)のせいで、教師が「国公立大学へ出願しろ」と圧力をかけることもできなくなった。

また、年内入試の影響もある。主に中堅以下の私大で、年内に定員の多くを確保しようとする動きがある。人間、緊迫した精神状態を長く継続するのは難しいのだ。年内入試で合格してしまえば、たとえ国公立大学の入試が後に控えているとわかっていても「もう、やめてしまいたい」というのが普通の人間だろう。もちろん、旧帝大など一流大学はこの限りではないと思うが。

国立大学の独立行政法人化も大きい。旧帝大には無縁かもしれないが、地方国立大学は年々、予算を減らされて、施設がボロボロのところも多い。それよりは、東京都立や大阪公立、または東京の私大のほうが予算が多く投入されている可能性すらあるのだ。東京都や大阪府・大阪市は潤沢な予算があるし、MARCH関関同立や四工大ならばそれなりに規模が大きいし就職実績も良い。無理して多くの科目を勉強する必要はないと思ってもしかたがない。

地方国公立大学は、知恵を絞って、「個性」で勝負するしかないだろう。私立大学だが、近畿大学は水産・養殖分野で強い。そのような専門特化した個性や、学生を大切にするなど、何らかの特色を出さないと受験生を集めるのが困難になっていくだろう。すでに、地方国公立大学の中には河合塾全統模試の偏差値が40代のところも多い。

※参考

教育学部 45.0、工学部 47.5

工学部 35.0

理工学部 42.5

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