『もの忘れ顛末記 #33』家はどこですか
おじい77歳 心安らかに願います
【33話 家はどこですか 】
本日のおじい
おじいと相方(妻)さん 今日は朝からお買い物に出かけています つい数か月前までは自転車に乗って 週に2,3回買い出しにスーパーへ
今は おじい自転車を引退なので 二人で歩いて行きます 徒歩5分圏内に食品スーパー1軒 コンビニは2軒 自転車に乗るなら15分圏内には スーパー4軒 家電3軒 ドラッグストア4軒 デパート しまむら ワークマン ドンキ 役所 郵便局 銀行 学校 コンビニに至っては10軒はくだらない
自転車であれば片道15分で生活完成 でも今は徒歩
相方さんは主婦50年くらい この15分圏内のお店をフルに活用して 生活を組み立てる 食べ物ひとつから曜日や季節で使い分け これらのお店を一つの冷蔵庫のように扱います こんな感じで主婦役の任務を遂行していきます
一か所で全部買えばいいのにと思うんだけど それは50年の積み上げたもの
おじいが相方さんに 「あんた だれ?」 「おまえ だれ?」と言い始めて
数ヶ月 妻の顔をわすれて他人扱いするくせに 買い物には必ずついていく
事情を知らない近所の皆さんは二人仲良くお買い物にみえる
知るものからすると知らない女の人に行き先がわからないのにくっついて
ついていくおじい という光景
徒歩になってからは 家から5分の食品スーパーのみの一択 歩くスピードは日に日に落ちていく 片道5分は2回休憩 帰りは荷物が加わって・・・
だから留守番の提案をするんだけれどすべて却下 おこります
ある日 久しぶりの孫。近くに住む17歳 女子高生 お母さんと車で来訪。
孫「おじいちゃん 久しぶり」 おじい「こんにちは」 おじい絶対 孫のことわかってない 孫は自分が忘れられているとは思ってもいない 新たな登場人物におじいはパニック お構いなしに語り掛ける女子高生 知らない女の人が増えておびえるおじい
相方さんは待ってましたとばかりに車がやってきた 久しぶりに遠くまで買い物に行けるシメシメだ 孫を誘ってお買い物 こんな時でもおじいは留守番却下で一緒に出掛けていくのです 孫よまかせた
2時間後 帰宅
孫 現実を知る もう数ヶ月早ければ 名前で呼ばれたんだけれど それでもいいんです 皆さんそれぞれの日常があるのです
ちなみにおじい 家に戻るや第一声は「僕の家はどこですか?家に帰ります」と 涙を流しておりました。