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『もの忘れ顛末記 #31』このごはんいくらですか

おじい77歳    ミラクルと魔法のような時間


【31話  このごはんいくらですか 】


本日のおじい

野菜炒め  ほうれん草  もずく酢  みそ汁・・・テーブルに並びはじめると
おじいはやってくる。
夕食のはじまりです。

今日は めずらしくすぐに席につかず 食事の支度をながめている。相方(妻)さんの顔をじっと見つめて
おじい「お値段はいくらですか」   相方「ん なに?」   おじい「いくら払ったらいいんですか」   相方「どういうこと?」   おじい「お金を持ってないから 払えないかもしれん」   相方「それじゃあ どうする」

相方さん 内心びっくりしているのを隠しながら話を合わせてみた

おじい「お腹すいたな」   相方「どうぞ」   おじい「お金持ってない」
相方「無料です」   おじい「無料で食べられるの?」   相方「どうぞ」
おじい「誰がお金払ったの?」   相方「あなたのお金です」   相方さん少しふざけています。


おじい「まだ お金払っていない」   相方「もういただきました」   おじい「だれが?」   相方「あなたから」   おじい「払ってない」   相方「いただいていますから 遠慮なく召し上がってください」   おじい「ふざけるな!馬鹿にしてるのか」顔を真っ赤に 目から2、3滴なみだを流して怒ります。

相方(妻)さんの顔をわすれて2カ月くらい


数日後
おじい「お金が無くなった」   相方「どこにも出かけていないのに?」
おじい「おかしい 無くなった」   相方「財布の中みた?」
おじい「無くなった」   相方「財布をもってきて」

相方さん 財布の中を確認すると確かに朝入れた枚数から一枚だけ減っている

相方「あれっどこにいった?どこかに持っていった?」   おじい「しらん」相方「ポケットの中は?」   おじい「ポケットって何?」  相方「ポケット」おじい「どこ?」   相方「今着ている服のポケット その中」
おじい「どこ?」   相方「ここと ここと そこ」

朝に一枚渡すと 夜に一枚無くなっている。家の中のどこかにあるはずなのにこれが全く見つからない。   まさかトイレに流してないよね


夕食が終わり お風呂を出て 布団を敷いてもらうのを待つ

おじい「すみません」「あの誰かいませんか」   相方「もうちょっと待ってすぐに布団敷くから」   おじい「もうそろそろ家に帰ります」   相方「もう寝ますか」   おじい「家に帰るので電話してください」   相方「ここがあなたの家ですよ」   おじい「冗談やめてください 家に帰ります」
相方「ここです」   おじい「早く家に帰らせて」   相方「正真正銘 ここがあなたの家です ゆっくり寝てください」
おじい「ふざけるな!馬鹿にしているのか」

おじい涙を流して怒り狂ってます。   そして眠りにつきます。

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