見出し画像

Are you learning some sentences by heart?

How to make example sentencesの番外編のシリーズとして大事なことを書いておきます.これは英語教材執筆者や指導者が読んでもいいですが,本当は英語学習の初級者,それも入門者や超初級者に向けて書いています.ここでは具体的にCEFRのA1とかA2とかそういう話よりも,「できない(と思っている)」学習者は何をやったらよいのか見えないのでなぜ学習法を間違うのか,そこで,良かれと思って「できる(と思っている)」「親切な(と思われたい)」人たちが「この人たちは(本当の)勉強をしていない」と云って余計なことを云い,その言葉がまったく刺さらなかったり,全然違った方向へ導いてしまう問題を考えてみます.

ただ,英語(学習)全般に話を大きくしてしまうと,どうしようもない面もあるので,今回は「とてつもなくできない(と思っている/思われている)学習者」がいた場合,絶対的なインプットの不足から例文暗記(一定量の英語のセンテンスをとりあえず音と意味と一緒に強引に覚えてしまうこと)をする必要性があったとして何を覚えるべきか,という話をします.

ここでは,こういう勉強をするべきでないという考えはとりあえず傍|《わき》におくことにします.この強引な例文暗記をこの学習者がしなければいけないと思い立つ理由は,その他の勉強方法(「辞書を使ってコツコツ教科書を読む」「文法書を熟読する」「とにかくひたすら音読をする」」などが合わないか,続けられない,できないということからスタートしているので,そのうまくいかない方法に執着してもしょうがないからです.むしろ,ぼくがここから書いているのは,これらの「正当な」勉強方法のとっかかりになる例文暗記とは何か,という話をしているのですから.

さて,結論から書くと,無謀なことを云うようですが,その学習者ができれば英語学習ではないときに出会った印象に残るセンテンスを30なり50なりストックして自分が決めた数たまったら全部覚えるということをするべきです.中学英文法の文法書だとか入試英作文用の暗記例文集とかは間違っても使わないでください.洋画を見てたまたま字幕と音をつかむことができたもの(そんなにあるはずがない)でもいいし,動画で誰かが日本語でしゃべったなかでちょっと挿入された(おそらく正しいと思われる)英語のセンテンスらしいものとか,広告なり表示,看板などえ見るメッセージや注意書きの英語でもいいです.できれば,Wow!とかGreat!などのセンテンスになっていない間投詞的なもの(interjections)は避けていただきたいですが,区別できなければそれでもいいです.

とにかく30なり50なりのセンテンスを,❶英語のセンテンス(きちっとスペリングを間違えないように写してくっださい)❷日本語訳(自分がわかれば綺麗な日本語役でなくてもいい)❸自分がでくわした状況・文法・語彙などのメモ(書けなければ空欄でOK)をリストにしてください.そして,このような英語の音声読み上げソフトを使って正しい音を真似しながら,覚えてみてください.

初級者と書きましたが,勉強に行き詰まった(英語では(be/get) stuckという)中級者や上級者でも一定期間いまやっていることをやめてこれをやってみると,たぶん,30なり50覚えた時にはスランプから抜け出せることも多いと思います.

もちろん,このやり方だと,Google翻訳などを使って作られたと思われる企業の下手な英訳を覚えてしまうとか,そういうリスクはあります.でも,この方法を永遠にやることをぼくは勧めているわけではないし,そういう人もいないでしょう.ぼくは超初級者の学習のスタートや勉強に行き詰まった人のスランプ脱出方法として例文暗記をするならば,この方法がいま思いつく中でベストだと云っています.

はっきり書けば,ぼくはお金と時間があれば2週間から数ヶ月ぐらい短期留学するのがいちばんだと思います.でも,そんなお金はないし,ぼくは遊学としての留学がいけないとは思いませんが,いまの社会状況ならみんなそんなに留学するならばきちんと準備をしていって正規留学するのが普通だと思います.その代替案で比較的お手軽なのが,これなわけです.

実は,この例文暗記は短期語学留学でなんとか身につきそうな下の❶から❹の語学センスの獲得をこの作業を通じて身につけることが目的で,正直,個々の学習者が選ぶ英語の質は気にしていません.
❶とにかく暗記をする練習になる
❷何を暗記するのか自分で考える
❸音を使っての語学には不可欠なのに忘れがちな5感を総動員しての暗記の練習になる
❹思い出す上で文脈・場面を意識するから,単語や文法の暗記におけるこれらの要素への意識の向け方がなんとなくわかってくる

ぼくは教材を世に出していますが,教材というのはどんなに書き手が苦労しても,読み手を一定の型にはめることから逃れることはできません.もし,教材を離れてlearner authonomy「学習者の自立」をうながすならば,こういう方法性なんだろうな,と思います.ぼくは自分を教育者とは思ってないし,なりたくもないですが.

いいなと思ったら応援しよう!