本の感想 森口佑介(2019)『自分をコントロールする力』
これまで、
「したくないけれど、しなければならないことをする」
「したいけれど、してはいけないことをしない」
という責任を果たすように勇気づける、とならってきました(野田俊作(2016)『パセージ・プラス』2.0、21-R)。
この本を読んで、それって「実行機能」という非認知スキルのことだったんだな。と納得しました。
ただ、よくわからないところがありました。
この本では、実行機能を2つに分けています。「感情の実行機能」と「思考の実行機能」です。
感情の実行機能は、目標のために欲求や感情をコントロールすること(アクセルとブレーキ)であり、思考の実行機能は、目標のためにくせや習慣をコントロールすること(ハンドル)であると、この本では説明されていました(p.64-88)。
でも、「感情」と「思考」って、そんなに明確に分けられるものでしょうか?
たとえば、本書では「頭の切り替え」は思考の実行機能として説明されています。「目標を保持しながら、頭を柔軟に切り替えられる力」だそうです。それでは、「自分の思い通りにいかなかったことに、いつまでもくよくよして、めそめそ泣く」というのは、「思考」の実行機能が低いということなのでしょうか?
他方で本書では、感情の実行機能が子どもの問題行動とかかわるとして、「感情の実行機能が低い子どもは、怒りやすく、クラスメートとトラブルになりやすかったり、友達との共同作業が苦手で孤立しやすかったりします。」と書かれています(p.212)。「自分の思い通りにいかなかったことに怒る」と、それは「感情」の実行機能が低いということになるのでしょうか?ちがいがよくわかりませんでした。
この本にかぎらずですが、『パセージ』や『パセージ・プラス』を学ぶと、「感情」と「思考」という語句の使われ方に敏感になります。そして、日本は「気持ち」や「考え」をごちゃまぜにする文化なのだなあと、あらためて思います。(=この「思います」自体、「気持ち」でしょうか、「考え」でしょうか? 笑)
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