【恋愛小説】迷恋と真爱(1)
※迷恋と真爱、は中国語の単語で日本語には訳せない恋愛のニュアンスがある、ので使わせて頂きます。
あらすじ
小学高学年のときから恋い焦がれる初恋の君へ。
またいつか、もしも再会できたら、君はどんな話をして、どんな言葉を紡ぐだろうか。
相馬美愛。彼女はただ一途な恋をしている、翻訳家になりたい夢見る少女だった。
すべての始まりと、すべての終わりは突然とある日にやってくる。
恋と、夢を。
どちらも手に入れる世界ではないと気づいたら。
恋か、夢か。
あなたは、どちらを選びますか。
中学卒業。私は卒業証書を片手に抱えながら、君を探した。
告白するためではない。晴れて卒業した事を言いに君を探すためでもない。
私と、君は、ただの同級生でしかないのだ。この想いの形は、誰にも言ったことはない。もちろん君にも伝えるつもりはない。言葉で、ね。
君との出会いは小学5年。同じクラスになった私たちは何の接点もないまま退屈な毎日を過ごす。はず、だったのだ。
君が、話しかけてさえこなければ。
私は帰国子女。英語が好きで将来はアメリカに行きたい君はそれを知った途端に近寄ってきた。
何を書いてるの?
もともと人見知りな私に君の日本語は伝わらず返事はなかった。私は怖ささえ感じた事を、今でも覚えている。
期待と希望に満ちた君の表情は、雲が横切る太陽のようで影が差した。君は、どこかへ歩いていってしまった。友達ができるかもしれない、とようやく気づいてしまった、でもそのときにはもう遅かった。
挽回したいと必死にクラスメイトの顔と名前を一致させてわかった。
君の名前は、半那侑玖。
この名前を、忘れてはいけない。
小学6年。一年観察しててわかったこと。
君は横顔美人ではないと思った。絵が下手で字も下手。習字はまあギリセーフだけど。漢字は読めないし算数も一番下のクラス。
勉強が得意ではない君にとって、一番好きな科目は体育だったな。バスケをやってる君は輝いてた。
だからわざと体育を休んで君に眼差しを集注した。嘘。私はただ日本の授業を好きではないだけ。
人気者というほどクラスの中心ではない君だけど、友達は多いほうだった。家もどうやらいいところに住んでるようだ。私の当てずっぽうだが、おそらくタワーマンションだろう。
高校が私立なのが頷ける。
中学1年。3年連続同じクラス。この時期だったかもしれない。君への想いの形を、気づく。青春時代を謳歌する、そんな時期。
あんなことさえなければ。
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