僕の友人のための原始仏教入門
はじめに
最近、仏教にハマっています。仏教が”アンガーマネジメント”にとても良いことを発見したからです。そこで友人たちに「仏教はいいぞ」と勧めているのですが、
「じゃあ仏教の本読んでみようかな」と思った人にオススメを伝えたい
リスクのありそうなもの(教祖ビジネス等)の注意喚起をしたい
と思い、この記事を書くことにしました。
これはあくまで素人が自分の友人向けに書くものですのでご了承ください。
自分のスタンス
仏教で心が楽になり、自分の人生が楽になれば良いなと考えています。
とくに原始仏教を学んでいます。原始仏教とは、ブッダが生きた時代に近い年代に書かれた仏典(経典など)の教えのことです。
輪廻転生などの神秘的な要素は信じていません。仏教の前提ではあるのですが、自分が納得できないものを無理に信じる気はありません。
大乗仏教(現代の日本の仏教など)や、上座部仏教(現代の南アジアの仏教など)、禅、マインドフルネスについてはよく分かっていません。
なぜ原始仏教なのか
原始仏典では心を鎮める極めて優れた知恵が素朴な言葉で語られており、「あぁ、そうか」と納得できることが多いです。また輪廻転生以外には神秘的要素があまりなく、教理もそこまで煩雑ではないので、親しみやすくて良いです。これはほぼ、僕の大好きな仏教学者・中村元(なかむらはじめ)からの受け売り。
原始仏典より、自分の好きな教えを5つ紹介します。
オススメ書籍
(1) 好きな入門本から入る
最初は自分の好みの仏教入門本などで仏教的な考え方に親しむと良いかもしれません。例として僕が良いと思ったものを挙げます。
しない生活 煩悩を静める108のお稽古 小池龍之介 (著)
一番親しみやすいところだと、日常生活の悩みに仏教の視点で答えるような本が良いと思います。この本は良かった。
原始仏典 (ちくま学芸文庫) 中村元 (著)
仏教学の大家である故・中村元先生による原始仏典ガイド。中村元の文章・語り口は明晰かつ素朴で心地よく、原始仏教の教えをしみじみと楽しむのにうってつけです。自分が原始仏教にハマったのはこの本の内容のラジオ講義からです。
またこの他にも、中村元の著作、仏典翻訳、講義音声などをamazonやインターネット上に沢山見つけることができます。どれも非常にオススメなので、ぜひ調べてみてください。
(2) ダンマパダ(真理のことば)が超オススメ
ブッダの 真理のことば 感興のことば (岩波文庫) 中村元 (著)
なんといってもこれです。少し仏教に親しんだら、原始仏典の一つであるダンマパダ(真理のことば)の翻訳を読んでみてください。ブッダの教えが端的かつ味わい深い詩句でまとめられており、原始仏教の教える心のあり方を楽しく簡単に学べます。はっきり言ってダンマパダを読むだけでかなりマインドフルになれます。中村元による翻訳も素晴らしく、何度でも繰り返し読みたい名著。
このウェブサイトでは、高名な仏教学者の佐々木閑さんによるダンマパダの紹介が読めます。まずはここを覗いてみるのも良いかも。
(3) もっと読みたくなった人へ
もっと仏教の教理について知りたくなった
仏教の教えとどう付き合うか真面目に考えたくなった
瞑想法を知りたい
という人向けのオススメ書籍は次の記事で紹介しています。
リスクからどう身を守るか
宗教である以上、仏教を学ぶことはカルトや教祖ビジネスに巻き込まれるリスクを孕んでいます。また瞑想にも一定のリスクがあるようです。ここでは、あくまで私見に基づいた注意喚起をしたいと思います。あくまで一素人の私見ですし、ここで想定しているもので救われている方々を否定するものではありませんので、ご理解ください。
(1) カルト、または教祖ビジネス
オウム真理教のようなものは最悪ですが、教祖ビジネスに経済的に搾取されるのも避けてほしいと思っています。お坊さんや長老として仏教を発信している有名人にも、一部注意が必要な方々がおられる気がしています。
例えば、YouTubeで良いお話をしている素敵なお坊さんがおられます。ただし、その動画概要欄には、彼をトップとする新興宗派のウェブサイトへのリンクがあり、そこでは高額な会費で会員を集めていたりします。また、百冊規模の大量の書籍やオンライン布施を通じて特定の教団へお金をつぎ込んでしまうような場合もあるでしょう。
Wikipediaのカルトの定義を参考に考えたのですが、以下のような特徴に気を付けるべきだと思います。
指導者のカリスマ性:魅力的なお坊さんや長老がバンバン露出し、本人のファンを集めていないか。
指導者の無謬性:瞑想本で有名なある南方仏教の長老は「仏教は物理的世界の理解についても100%正しく科学と整合する」と述べていますが、そんなことはあり得ません。また「自分はどんな他の哲学や宗教も論破できる」とも述べています。自然科学の領域で仏教の正しさを主張したり、他の立派な哲学や思想を否定するのは、少なくとも現代日本においては中道を外れていますし、独善的な指導者の姿がそこに見えるように思います。
思考改革:独りよがりな思想や、反社会的思想を押し付けていないか。特に瞑想とセットで思考改革を受けると危ないと思います。
経済的搾取:高額な会費などを取っていないか。
たとえ魅力的であっても、教祖ビジネスやカルトが疑われるものには近寄らないのが無難です。
(2) 瞑想(信頼できる指導を受ける、もしくはしっかり勉強する)
瞑想でマインドフルになって成功したいですよね。僕もそう思います。
ただし、瞑想にはトラウマを反芻してしまい精神状態が悪化するなどのリスクもあるようです。このリスクに対しては本人のモラル・倫理観が重要であること、また結局は仏教の倫理観がその良い指針となることを大谷彰さんは述べています。
このため瞑想は信頼できる指導者(伝統的な禅寺など)から学ぶか、信頼できる倫理観や瞑想法をしっかり学んでから取り組んだ方が良さそうです。
なお以下の本では色んな瞑想法(禅、テーラワーダ系など)の違いを指摘、自分に合った瞑想法を選ぶことの重要性や合わない瞑想にコミットする危険性を説いています。本格的に瞑想を始める前のガイダンスとしておすすめ。
(3) バランスを取る
結局は常識的なものでバランスをとって、健康なメンタルを作るのが大事だと思います。生活習慣、家族や友達と話す、運動や趣味をやる、働きすぎない、他の思想や知識も学ぶ、ひどい場合はカウンセリングや病院に行く、など。現実の問題を解決したり逃げたりした方が良い場合もあるでしょう。
仏教を学ぶ時も、情報源を偏らせすぎないのが無難だと思います。かくいう自分は中村元と岩波文庫をかなり信用していますが……判断は任せます。そもそも自分は本来こんなに語るべきではないんですよね。うーん。
自力でバランスよく学ぶのはけっこう大変なので、伝統的にずっと地元にあるお寺(新興や最近の流行り物でなく、歴史の長い宗派のもの)を頼るのも良いだろうなと思います。有害だったり極端なものは歴史の中で排除されている可能性が高いですよね。日本の仏教は日本人に馴染むはずだし、お坊さんや信徒さんと話ができるのも良いだろうなと思います。
まとめ
ダンマパダ(真理のことば)はいいぞ。
みんなが楽しく安全に仏教に親しんでくれることを願っています。
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