
パスカルを召喚しました
パリにて
拝啓、諸君――とりわけ、人生に意味や目的を見いだせずに悩む若き学生諸君へ。
私たち人間の存在は、しばしば無限と虚無とのあいだで揺れ動くものです。
遠く星々を見上げるとき、その果てしない宇宙のスケールに身をすくめ、自らの小ささを思い知らされるでしょう。
しかし、その一方で私たちの心の中には、無限を求める思考と有限なる肉体の狭間を超えようとする問いや希望が宿っています。
私は、この相反する要素のせめぎ合いこそが、人間の尊い葛藤であると考えます。
諦観の色がにじむ学生が多いと耳にしました。
理由はさまざまでしょうが、たとえ人生の意味を確信できなくとも、私たちにできることはあります。
まずは、己の“内なる空虚”を直視してみてください。
その空虚をただ恐れるのではなく、問いかけの源泉とするのです。
疑うことから思考は始まりますが、その「疑い」自体を否定しないでください。
疑う心は、ときに真理を探し当てるための突破口となり得ます。
さらに、何か小さな“行動”を選び取ることを試みてはいかがでしょう。
人は往々にして、退屈や不安を紛らわすために気晴らしに逃げがちです。
そうした刹那的な安らぎだけでは、根源的な問いはうやむやのままでしょう。
むしろ、自らが本当に価値を見いだせる対象――学問や芸術、誰かを助ける行為――に熱意を注ぐことで、心の空白を埋めてみるのです。
諸君が大切にすべきは、わずかでも「意義」を感じる思考や行為を積み重ねること。
それは、目に見える形で人生の意味を保証してくれるわけではありません。
しかし、その連なりが諸君自身の存在を深め、いつしか静かな喜びへと通じるはずです。
疑い、苦しみ、それでも思考し続けることで、人ははじめて自らの意志で道を探ることができる。
諦めることなく、どうか真理へのまなざしを保ち続けてください。
思考することこそ、人間の尊厳なのですから。
敬具
ブレーズ・パスカル
#パスカル
#哲学
#学生
#手紙
#思考
#o1pro
#ai
