魔境?聖域? 企画性の高い「和室お笑いライブ」の実情に迫る
お笑い関連のツイートを見ていると、時々「和室」と言う文字を目にしませんか?ライブによく行く方でも、ルミネtheよしもと、座・高円寺、新宿バティオスには行ったことがあるけれど、「和室」となるとちょっと不安……と言う方も多くいらっしゃると思います。そこで今回は、謎の多い「和室ライブ」を『東京で考え中』が大解剖!まだまだお笑いライブの自粛ムードは終わりませんが、コロナウイルスの脅威が過ぎ去った後の楽しみに、和室ライブを選んでみるのはいかがでしょうか。
そもそも和室ライブって?
お笑いのイベントがよく開催されている和室というと、阿佐ヶ谷産業商工会館の地下にある和室を指す場合が多いです。アクセスはJR中央線阿佐ヶ谷駅から徒歩5分程度。それ以外に高円寺などにもライブを実施したことのある和室があります。皆さんが暮らす街にある公民館をイメージしていただくのが一番かと思います。
M-1グランプリファイナリストの馬鹿よ貴方は・新道竜巳さん主催の大喜利ライブが定期的に開催されているほか、以前取材させていただいたサツマカワRPGさんが新ネタを100本するライブを開催したことも。また、先日のR-1ぐらんぷり2020ファイナリストのメルヘン須長さんや、最近メディア露出急増中のラランドさんやムラムラタムラさんも和室でのライブに出演したことがあります。
意外と歴史のある和室ライブ
Twitterを遡って検索してみたところ、2011年には和室でお笑い芸人がライブをすることが少なからずあったようです。しかし当時はトークライブのようなものがメインで行われており、ネタライブが行われるようになったのはもう少し後からのようでした。少なくとも芸人さんの間では、古くからイベントを開催する場所の選択肢のひとつとして「和室」が挙げられていたようです。今ではテレビでお馴染みのメイプル超合金やトム・ブラウンも、かつては和室でその腕を磨いていたようです。
※読者の方から2009年には和室でお笑いライブが行われていたとの情報をいただきました。ありがとうございます!(参照URL:http://white-jazz.cocolog-nifty.com/shimotaka/2009/03/post-af88.html)
また、先日はプロダクション人力舎所属の竹内ズが、新型コロナウイルス流行の影響から和室での主催ライブを配信に切り替えて実施していました。今も昔も、芸人さんは和室とともに成長してきたと言っても過言ではありません。
劇場とは違う、特別な空間
他のライブ会場と一線を画した和室には、他にはない魅力がたくさんあります。
・芸人さんとの距離が近い
多くの劇場では客先から少し離れた所に舞台が作られていますが、和室ライブでは舞台と客席の区別がほとんどありません。長机などで仕切ることはありますが、芸人さんを信じられないくらい近くで見ることができます。普段は舞台の上のあの人がすぐ目の前に!ということもあるかも。
・畳!
和室と言えば床の畳!隣の人との距離が十分ある場合も多いので、おうちにいるようなリラックス感でライブを楽しめます。芸人さんも心なしかリラックスしているように見えることも多いです。
・企画性の高いライブが見られる!
和室で行われるライブの多くが、芸人さんご自身で企画・運営を行っているものです。そのため、芸人さんが今本当にやりたいライブが見られるのも和室ライブの醍醐味です。きちんとした設備のある劇場を借りようとすると、レンタル費用はかなり高額になってきます。お金のない若手芸人にとって、こういった「良い劇場」で頻繁に主催ライブを行うのは難しいのが実情です。でもおもしろいライブはやりたい!こんな企画をやってみたい!そんな思いを実現できるのはレンタル代が安価な和室だからこそ。例えば過去にはこんなライブがありました。
M-1グランプリ2019でアマチュアながら準決勝に進出したラランドさんはレッドブルつばささん主催の『男女コンビに"付き合ってるの?"しか聞かない最悪MCを皆でボコボコにする会』という名前のライブに出ています。名前だけでどんなライブか想像できますね…。
またUberEatsのアルバイトをしている芸人さんが集まってのトークライブ、『UberEatsライブ』が開催されたこともありました。確かに普通のお笑いライブとは一味も二味も違いますね。
こういった「規模は小さいけど、面白そうなライブをやっている」のが和室ライブ最大の魅力と言えます。ワラリー!でも一部検索はできますが、芸人さんのTwitterでしか告知していない場合もありますので、気になる方はこまめにチェックしてみてくださいね!
和室に行く前に知っておきたいこと
独特の魅力がたっぷりですが、いざ和室に行くとなるとやはり身構える方も多いのではないでしょうか。そこで和室ライブ経験者に注意点を聞いてきましたので、お出かけ前にぜひ参考にしてください。
・服装と靴に注意
畳なので、もちろん土足厳禁。和室に入る前に靴を脱ぐ必要があります。脱ぎ履きのしづらい靴は避けて、タイツや靴下に穴が空いていないか事前のチェックを!
また、座布団か、旅館の窓辺にあるような低めの椅子に座る場合が多いです。短いスカートや股上の浅いパンツだと落ち着いて見られない可能性もあるので、楽でリスクのない服装で出かけましょう。
・設備は不十分
基本は杉並区民の集会用の部屋なので通常の劇場のように複雑な照明・音響設備やプロジェクターなどはなく、漫才用のマイクの用意がないこともあります。だからこそ純粋にコンテンツの面白さで勝負している場合も多いですが、ライブ前の暗転や爆音の出囃子、豪華な大道具が好きでライブに通っている方には少し物足りなく感じるかもしれません。
・出待ちはお静かに
区民向けの施設ということもあり、阿佐ヶ谷産業商工会館は閑静な住宅地の中にあります。閉館時刻を過ぎると入り口は封鎖されます。ライブ後に芸人さんと話したい場合は和室の中で完結させるか、会場を出て大通りの方まで少し離れて待ちましょう。近隣住民の皆様にご迷惑をおかけすると会場の利用禁止にも繋がります。ルールを守って楽しみましょう。
和室の魅力を主催者に聞いてみた!
実際に和室ライブを主催している人はなぜそこを選んだのか、過去にはどんなライブが開催されたのか。気になってきた方も多いのではないでしょうか。そこで次回は、現在和室で数多くのイベントを企画している、ひかるぶんどきさんとレッドブルつばささんの対談を掲載予定。より濃く深く、和室の魅力に迫ります。
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