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Data Informed(データインフォームド) に関する考察

このテーマ(Data Informed : データインフォームド) に関しては、所属する会社のブログでもあれこれ書いているのですが、こちらのnoteでは、極めて個人的な考察を書き散らかしておく次第です。
いわゆる、昨今流行りの「所属する会社・組織の意見を代表するものではありません」という奴です。よろしくお願いします。

なお、会社ブログはコチラ

データが無くても、意思決定するでしょ?

そもそも、データ(Data)があろうとなかろうと、僕たちは意思決定をしないといけません

職業柄、僕も「経営にまつわる意思決定」をとりあげがちですが、家を買う、車を買う、というような個人レベルでの大きな話も意思決定ですし、どの映画を観るか、どの本を読むか、どの洋服を買うかという日常の小さな話も同じです。

もっともっと細かな意思決定、例えば、どのコンビニに行くの?どのおにぎりを買うの?どのジュースにするの?というようなことも、意思決定だと言えます。

人生を左右する、就職・転職や、引越し、結婚などのイベントに関しても、意思決定がありますね。

そう考えたときに、Data Informed であるかどうかは別にして、Decision Making(意思決定)をできるだけ正解に近い形で行いたい、というのは至極当然のことです。

意思決定は論理的であるべきだ

できるだけ正解に近い意思決定、と、言葉で言うのは簡単ですが、言うは易し行うは難しというやつで、なかなか実行に移すのは大変です。

そもそも、正解がわかんないんですよね。やってみないことには。

じゃぁ、どうするか。それが「論理的に考える」ということであり、また「再現性の観点を持つ」ということです。

意思決定は、未来に対して行います。そのため、多くの不確実性があります。とても卑近な話で言えば、「今夜は鯛の刺身を食べるために、スーパーで鯛を買う」と意思決定したとします。で、スーパーに行きました。鯛が売っていませんでした。ということが起こり得ますよね。自分の中で何かを決めたとしても、必ずしも、その通りに行くわけではないんですよね。

したがって、できるだけ、論理的に考える事が求められます。
・鯛の旬はいつなんだろう?→ そもそも、入手しやすい時期?
・最寄りのスーパーって、高級魚の扱いは強かった?→ スーパーで買うって現実的?無理なら、少し遠くまで行って探す?
・近所の和食やさんって、刺身は豊富だったかな?→ 外食という選択肢はある?
・お寿司屋さんはどうだっけ? → ツマミとして出してくれるタイプの寿司屋であることが前提だが、可能?
みたいなことは、普通に思いつきますよね。できれば、もう少し、体系的に整理された状態で、条件を洗い出しておく方がよいですが、まぁ、今日のところは一旦「ちゃんと考えないとね」ってお話です。

なお、上記については、調べたとしても、答えが無いものもあります。鯛の旬は調べればわかりますが、近所のスーパーの魚の品揃えは普段の記憶に頼るしかありません。(ご近所の奥さんに電話して聞く、などの手段はあるかもですね)

こういう時は「割と、魚は扱っていた」という記憶をベースにして、最寄りのスーパーに鯛があるだろう、という仮説をもって突撃するわけです。で、無い、と。これが再現性の観点です。は?何言ってんの?って思いました?思いますよね。でも、そうなんです。

この最寄りのスーパーに「鯛が無い」という事象は、単に「そこに鯛が無かったという事実」ではないんです。

あなたがスーパーに行ったのは、「たまたま鯛がない(普段はある)」なのか、「普段から、高級魚の取り扱いがない(魚はある)」なのか、「そもそも、魚をほとんど扱っていない」なのか、を確認する作業なんです。

これが分かれば、次回から、鯛の刺身が食べたいときに、そのスーパーに行くべきなのかどうかを決められます。今回、鯛があったか無かったか、はもちろん大事なことですが、「次回以降、どうしたらいいか?(事象を再現できるか?)」が、意思決定においては極めて重要なポイントです。

論理的でありたければ、データを用いた方が良い

上記のように、論理性を持って意思決定に臨み、その次、あるいは、その次の次の意思決定に向けた再現性の観点を持って行きたいと思うのであれば、データという武器を持つべきです。

データは、嘘をつきません。ドライで客観的な存在です

データから読み取れる内容を用いれば、実際にその場に行ったり、誰かに聞いたりしなくても、多くの仮説を検証(つまり、その仮説が正しいのかどうかを確認)できます。

先ほどのスーパーで鯛の刺身を買う話であれば、そのスーパーの
・お刺身の入荷量
・お刺身の販売数量
・お刺身の販売単価
・お刺身の販売時間
・お刺身の販売時の割引率
などが分かれば、どういう品揃えで、どういう風な販売をしているのかを類推することができます。

その際、例えば、「高い刺身もかなり仕入れている。高い刺身は夕方以降に多く売れている。高い商品は割引販売になるケースが多い。」ということがデータから読み取れた場合、「鯛の刺身もありそうだ。夕方以降に割引になってから売れる傾向があるので、早い時間なら確実に手に入るんじゃないか」という風に、仮説の精度を高めることができるわけですね。

尚、上記のデータだと、1人前の刺身と、3人前の刺身の区別がつかないので、可能であれば「鯛のお刺身」「ヒラメのお刺身」「お刺身盛り合わせ(トロ入り)」などの商品単位の区分がある方が望ましいのですが、スーパーのPOSシステムにおいて、そこまでの管理をしていない場合も多いので、上記から「類推」することが必要になるんですよね。

この「類推」していくという作業が、まさに「データインフォームド」な思考ということになります。

データに踊らされないために、能力を磨こう!

今後、世の中はどんどん「データインフォームド」な世界に変化していくでしょう。多くの企業の、多くの業務が「データ」によって補強されていくはずです。

しかし、目的はあくまでも「正しい意思決定」です。データを用いるのは手段です。

例えデータが存在しない時にも、仮説思考に則って、初期仮説を出し、検証可能な範囲で検証して、物事を把握し、その時点で最善と考えられる判断を下す、というアプローチしかありません。

データは極めて強力な武器ですが、データが無いと何もできない、なんていうことにならないように、自分自身の実態把握能力と判断能力を磨き続けることが、データをうまく使うためには大切なんですよね。

これは、データ云々と関係なく鍛えられる能力ですから、ぜひ、日々の研鑽を継続していただければと思います。

お知らせ:データインフォームドに関する本を書きました。


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