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デザイン制作におけるコンセプトの重要性

どうも、中村です!

今日は、デザイン制作においてなぜ「コンセプト」が大切なのか、そしてどのようにコンセプトが生まれ、デザインと結びつくのかについて、私たちが運営するトリミングサロン「sora to kaze」を例にお話ししたいと思います。

デザインとコンセプトの関係

デザインを制作する上で、コンセプトは言わば「軸」となります。単に見栄えの良いデザインを作るだけではなく、顧客に伝えたい価値や想いをしっかりと届けることが重要です。この「価値を伝わりやすくしたもの」がコンセプトです。そしてそのコンセプトをより多くの人に、自然に伝わるようにするための「手段」がデザインなのです。

「sora to kaze」のコンセプトが生まれた背景

僕はトリマーではないため、実際にトリミングの技術を持っているわけではありません。しかし、個人的に4匹のわんこと暮らしているので、トリマーという仕事はとても身近であり、信頼を置く存在です。「sora to kaze」を立ち上げる際、この信頼関係が「コンセプト」を生み出す大きなヒントになりました。

一般的にトリマーといえば、美しいカット技術が注目されがちです。しかし、トリマーの役割はそれだけではありません。わんちゃんの「美」を守ると同時に「健康」を支える仕事でもあります。わんちゃんの種類や体型、皮毛の状態を見極めて、爪切りや耳掃除といった全身のお手入れを行い、わんちゃんが快適に過ごせるようにサポートする――そのためには幅広い知識と豊富な経験が求められる、大変な仕事なのです。

さらに、わんちゃんは人間と違って言葉を話せません。だからこそ、トリマーとわんちゃんとのコミュニケーションが上手く取れていないと、トリミングがスムーズに進まなかったり、場合によっては危険が伴うこともあります。そういった危険を回避し、トリミング中にわんちゃんが感じるストレスを少しでも減らすために、私たちは「飼い主さまとわんちゃんの心と身体の健康を支えるサロンを目指す」というコンセプトを掲げることにしました。

「特別な日常ではなく、穏やかでずっと続く日常を」

このコンセプトは、穏やかでずっと続く日常の大切さを伝えるために生まれました。シアワセは、特別なイベントや出来事の中だけではなく、日常の中にこそ転がっているものです。しかし、目の前の出来事をシアワセと感じるためには、心と身体が健康であることが不可欠です。私たちが飼い主さまとわんちゃんの心と身体の健康を支えることで、穏やかでシアワセな日常がずっと続くことを願っているのです。

そのため、「sora to kaze」では初めてのお客様に対して、事前にカウンセリングを行うことにしました。いきなりトリミングを始めるのではなく、飼い主さまとわんちゃんがリラックスできるように配慮します。わんちゃんも人間と同じように心を持った生き物です。そのため、私たちは「わんちゃんファースト」を掲げ、彼らにとって最小限の負担でトリミングができるよう工夫をしています。

4K(きつい・汚い・危険・給料安い)問題と健全な働き方

トリマーという職業は外から見ると華やかなように見えますが、実は「4K」――きつい、汚い、危険、給料安い――といわれる現実もあります。サロンを開業してスタッフを募集した際、初めてこの業界の厳しい実態を知りました。初任給がとても安かったり、長時間労働が常態化していたり、ペットを大切に扱わない人がいたり……といった現実です。

トリマーさんたちは、大好きなわんちゃんのために仕事をしています。しかし、その憧れが過酷な現場で打ち砕かれ、やむなく業界を去る人も多いのが現実です。そうしたことを知り、sora to kazeではスタッフが心と体の健康を保ちながら働けるよう、相場より少し高めの料金設定にしています。

もちろん、料金を安くすれば多くの顧客が来てくれるかもしれません。しかし、薄利多売になれば、それだけ多くのわんちゃんをトリミングしなければならず、結果として一番負担がかかるのはわんちゃん自身です。それでは、私たちが目指している「飼い主さまとわんちゃんの心と身体の健康を支えるサロン」というコンセプトと矛盾してしまいます。だからこそ、利益よりもわんちゃんの心と体を優先し、健全な働き方ができるようなサロン運営を行っています。

コンセプトを表現するデザイン

「特別な日常ではなく、穏やかでずっと続く日常を」という私たちのコンセプトは、日々の些細なシアワセを大切にする飼い主さまとわんちゃんのためのメッセージです。このコンセプトをもとに、デザインの方向性も決まりました。

サロンの空間デザインには、わんちゃんと飼い主さまがリラックスできる落ち着いた色合いや温かみを取り入れています。

WEBサイトやビジュアルも、派手さや豪華さではなく、シンプルで柔らかなトーンを基調に、あたたかみが伝わるよう工夫しています。

また、ロゴデザインも「空」と「風」のイメージを取り入れ、自然の中でわんちゃんと共に過ごす穏やかな時間を表現しました。

ブランドムービー

何気ない毎日が特別な日であることを伝えるブランドムービー。
人の1年/365日は、わんちゃんにとっての7年/2555日。そう考えると、毎日はかけがえのない特別な日なんですよね。

まとめ

デザイン制作におけるコンセプトは、そのデザインが「何のために存在するのか」「何を伝えたいのか」を明確にするための軸です。

単なる視覚的な美しさや機能性だけでなく、その背景にある想いや価値観をわかりやすく伝えるためには、しっかりとしたコンセプトが不可欠です。

デザインはこのコンセプトを形にし、わかりやすく、自然に届くようにサポートする「表現の手段」です。だからこそ、コンセプトを大切にすることで、デザインは単なる「見た目の良さ」を超え、価値あるメッセージを持った「伝える力」を持つものに生まれ変わるのです。

それではまた!

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