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実際に作ってわかった、つまらないボードゲームを作るポイント
こんにちは、『Friedegg Games』代表のホソヤです。
「これさえ押さえておけば、絶対に楽しいゲームが作れる」なんてポイントがわかったら良いですよね。全ボードゲームデザイナーの悲願とも言えます。
ボードゲームを制作していて一番苦労するのはルール作りです。
ゲームとして破綻しないルールを作ることはできます。しかしテストプレイしてみると、つまらない。びっくりするほどつまらないルールが出来上がる。ゲームとして成立しているけど、プレイしていて全然ワクワクしないゲームが出来上がります。
今回は自省の意味も込めて、ババ抜きを例に、ゲームをつまらなくするポイントを紹介します。
※以降、ババ抜きはwikipediaに記載のルールに則って話を進めます。
1:プレイヤーの意思決定の場がない(少ない)
ババ抜きにおいて、もし相手の手札から1枚取るときに、「必ず左端から取らなければいけない」というルールになったらどうでしょうか。
何の判断も発生しない状況で、決められた動作を繰り返す、いわゆる”作業ゲー”になり、つまらなくなります。
実はこのルールに変えても勝率は自分の意思でカードを選ぶのと大差ないのですが、これで勝っても負けても全く盛り上がりません。自分の手柄/落ち度によらない勝敗にワクワクする人はいません。なので、必ずプレイヤーの意思決定の場を用意しましょう。
また、一見すると選択肢が多く用意されているように見えて、ほとんどは選択する必要性のないパターンも結構あります。これも避けるように注意しましょう。(意思決定デザインについては、ミヤザキ氏のこちらのノートに詳しいので、ぜひご覧ください)
とはいえ、ゲームから運要素をすべて排除するとチェスや将棋のようなソリッドなゲームになります。それはそれでハードなゲームができますが、カジュアルさを出すならば、運要素もバランスよく配合しましょう。
2:プレイヤーの意思決定がゲームの結果に影響しない
ポイント1を回避してプレイヤーに多様な選択肢を用意していても、それがゲームの結果を左右するものでなければ意味がありません。これはゲームの進行方法と勝敗条件のすり合わせがうまくいっていないと発生します。
もしババ抜きの勝敗条件が「最後の一人になるまでゲームを進めて、最終的に勝敗はじゃんけんで決める」になっていたら、誰も真剣にカードを取りませんよね。
「そんなアホなルールにしないでしょ」と思いますよね?僕もそう思っていました。テストプレイとルール修正を繰り返していると、製作者が気づかないうちになっていることがざらにあります。
3:早々に負けが確定するプレイヤーが出る
ババ抜きを「一度でもジョーカーを引いたらその時点で負け」というルールにすると、早々にゲームから離脱した人はヒマになります。せっかくみんなで集まって遊んでるのに、自分ひとり蚊帳の外なのは寂しいものです。
離脱させてくれるならまだマシで、最悪なのは「負け確定だけどゲームの進行上参加し続けないといけない」状況です。もはやボードゲームではなく、ただの罰ゲームです。こんな状況が発生しないように、勝ち筋の設計は慎重にやりましょう。
手っ取り早いのは、人生ゲーム終盤の「最後の賭けマス」みたいな、一発逆転の手段を用意することです。人狼ゲームにおいて、最初に処刑された人の救済ルールがどんどん追加されていった理由もこれでしょう。
もっと知りたい方へ
「じゃあ面白くするにはどうすればええんじゃ!」という方のために、「心を動かすボードゲームデザイン論」として、別にnoteにまとめました。長くなったので、パッケージ編、コンポーネント編、ルール編に分けてあります。
以下のマガジンから全編無料で公開中ですので、ぜひご覧ください。
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