やりがいも待遇も求める教員は要らない
「教員はやりがいのある仕事です。」
採用一年目の初任者研修で、様々な講師からこのセリフを聞かされた。
その後も本やメディアの特集などで教員の仕事のやりがいについて語られているのを目にする。
やりがいとは、『仕事をすることで精神的に満たされる理由がある状態』ということだ。
例えば、業務を通じてスキルアップができるとか、
達成すべき目標があり、達せられたかどうかを確認することが容易あるとか、
上司や仲間と信頼し合える関係があるとか、
簡単には解決できない課題に取り組むなど、
やりがいも様々だ。
教員の仕事にはこういったやりがいは本当に山ほどあるだろう。
教員としての仕事が軌道に乗り始めれば、
授業する力や学級をマネジメントする力は、やればやるほど高まり、
教員としての力の高まりは、目の前の子どものリアクションや変容によって確認できる。
過酷な業務だからこそ教員達の結束は強まり、良き仲間もできる。
だから現場の人間の中には教員の仕事が好きだという者は多い。
労働とは本来、人が嫌がることを引き受けて対価を得るという側面があるという者がいるが、
そのようなやりがいのない、つまらない仕事を余儀なくされている者に比べたら、その点においては教員はとても幸福だと言えよう。
しかし、昨今問題となっているのは教員の過酷な労働環境である。
それが影響して教員不足、成り手不足が深刻化している。
この話題も、もう10年も前から言われ続けているが、未だ好転していないし、する気配もない。
一学級の定員を減らしたり
スクールサポートスタッフや支援員を導入したり
定額働かせ放題を可能とする給特法の改正など
様々な働き方改革や待遇改善の動きも徒労に終わりそうだ。
なぜかと言えば、その答えは難しくはない。
それは、原因と改善するポイントがズレているからだ。
私が考えるに、教員の待遇が改善しない一番の原因は『やりがい過多』である。
教員のやりがいが多すぎることが一番の原因なのだ。
そして、教員が一番反発するのは、やりがいを奪われることだということだ。
部活動の外部化
学校行事の廃止
修学旅行の廃止
組体操の禁止
小学校の教科担任制の導入
複数担任
実現すれば教員の待遇は改善するのは明らかなはずだが、こういった話は中々進まない。
保護者の理解が得られないという部分もあるが、一番の原因は抗う教員が多くいることだろう。
だから教員の待遇改善が進まないのである。
教員がやりがいを捨てることが、教員の待遇改善の第一歩なのだ。
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