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職場の仮眠室での奮闘
午前1時35分、仮眠から起き上がり部屋の電気を点けてからほんの数秒、些細な違和感を覚えた。
睡眠状態から徐々に視界、脳が冴えていき、その違和感の正体が明らかになった。
パソコンから伸びるコード類の一つに、ひらひらと上下左右させる長い触角。赤みを帯びた腹の節。これ以上の特徴を書くと読む人を不快にさせてしまう。そう、正体はGである。
落ち着いて引き出しから駆除スプレーを探し出し、上下に数回振る。おや、中身が少ないな、いけるか。
不安を押し切り銃口を標的に向けた。
スー。
スプレーの勢いは通常のおよそ2割。Gは若干慌てながら机の裏へと去っていく。ちくしょう。逃げた方向へ噴射を続けるも、か細くムラのある音が虚しい。
カサカサという音が止み、これ以上の攻撃は無意味と諦めた。運良く死んでくれたらいい、と戦いを終えた。
つもりだった。
スプレーを直そうと引き出しに向かう視線の右端、箒の先にも、いる。先ほどの個体をGAとするなら、GB。GAの1.5倍の大きさ。我ながら素晴らしい観察力。
冷静に他のスプレーを探す。幸い、容量の多いスプレーを発見できた。
いざ、シューーー!!!!
ものすごい勢いで噴射し、GBは恐怖ドッキリでも食らったかのような完璧なリアクション。しかし、逃げ道を心得ていたのか棚とベットの隙間へと逃げていった。
反対側に回り込むと部屋の隅にGBの姿があった。
と思われたが、様子がおかしい。
数秒前にドッキリを食らったとは思えない冷静沈着さ。耳を澄ますと左からカサカサと音が鳴っている。なるほど、こいつはGBではない。新個体GCである。目の前のGCを今度は逃すまいと角に追い込みながら、
シューーーーーーーー!!!!
長い噴射の末GCは動かなくなった。
ベッドの方へ目をやるとGBが足を引き摺りながら木枠の隙間へと入っていくところだった。
これ以上の深追いは困難と判断し、後日バルサンを焚いた。
人間の中には一見理解し難い行動を取る者もいる。
しかし、話せばわかってくれることもあり、寄り添うことはできる。
しかしGは違う。寄り添うことなど不可能。仮眠中に何をされたか分かったものではない。
存在が生理的に無理、人の生活区域に立ち入るな!!
以上
寝起きに一部屋に3匹もGを見つけた経験はなかなかないだろうし、奮闘の過程をせっかくなので投稿することにした。