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サ終するMMOでメンヘラのゲイを生み出してしまった話

みなさんはイカロスオンラインというゲームをご存知でしょうか。
天地を駆けるファンタジーMMORPGが謳い文句の、2015年にサービスが始まったゲームです。


フェロー

このゲームはフェローと呼ばれる乗り物(FF14でいうマウント)
に力を入れており、フィールドに生息しているモンスターを捕まえて乗り回すことが出来ます。
謳い文句の天地を駆けるというのはそういう事ですね。


俺が16歳の頃、リア友に誘われイカロスオンラインを始めました。
初めてのMMORPGで、とてもわくわくしながらインストールしていました。

ですが、時は2017年 リリースから2年が経過していたこのゲームは既に過疎っており、フィールドは疎か主要都市にも人影はありませんでした。

始めてから1週間程経ち、フレンドはとっくに別ゲーに行ってしまった訳ですが、そんな中俺は1人で黙々とストーリーを進めていました。

そろそろコミュニティを広げてみたいという思いがあったので、ギルドのタブを見てみると、1つだけ募集を出しているギルドがありました。

選択の余地が無いため、そこに加入申請を出すとすぐに認証されギルドに所属することが出来ました。

ギルドマスターを務めるラビニさんは韓国人で、カタコトな日本語で歓迎してくれました。
メンバーリストを見てみると、ほぼ全員最終ログインが数百日前になっており、アクティブプレイヤーはラビニさんただ1人でした。

始めたばかりでメインストーリーを進めている事を話すと、ラビニさんはクエストの進行を手伝ってくれるだけでなく、様々なアイテムをプレゼントしてくれました。

それからは毎日、インしては一緒にストーリーを進め、フェローを捕獲し、時にはイベントを周回したりと、充実したイカロスライフを楽しんでいました。

そんなある時、ラビニさんが俺の事をサブギルドマスターに任命し、給料と称して沢山の課金アイテムをプレゼントしてもらいました。

貰ったアイテムを使い快適にストーリーを進め、欲しいフェローも粗方入手し、レベルも上がりきった辺りで満足していると、イカロスを誘ってきたリア友から「今度は黒い砂漠やろうよ」と別のMMOに誘われました。

正直イカロスオンラインは遊びきった感がでていたので、俺は黒い砂漠を始めることにしました。

そのリア友は昔から黒い砂漠をプレイしており、
色々教わりながらプレイしていたのですが、
イカロスオンラインとは比べ物にならない程面白く
それからというもの、俺がイカロスオンラインにインすることは無くなりました。


しばらくしたある日、黒い砂漠がメンテナンス中で
遊べなかった日がありました。

暇だな~どうしよっかな~と思い、ふとデスクトップに目を向けるとイカロスオンラインのアイコンが目に留まりました。

久々にインしてみるか、、、と思いイカロスを起動すると当たり前のようにラビニさんもインしていました。

挨拶の後に「なんでインしてなかったの?」と聞かれ黒い砂漠っていう別のゲームにハマってて~ と答えると「俺も始めるから教えてほしい」と言われました。

まあイカロスで色々手伝ってもらったから
ちょっとくらいならいいかな~と思い、メンテナンスが明けてから一緒に黒い砂漠にインしました。

チャットで色々教えていたのですが、ラビニさんからの反応は全く無く、送られてくるチャットといえば「テレポが無いからめんどくさい」だの
「乗り物の馬が遅い」だの文句ばかりだったので、
呆れた俺は”今日は落ちる”とだけ言ってログアウトしました。


次の日、黒い砂漠で遊んでいると、ラビニさんから密談と呼ばれる1対1の個人チャットが送られてきました。

本名が"かずと"なのですが、何故か”かずぐん”と呼ばれてました

以下書き起こし

ラビニ「自分の付き合いたい人って無理すぎな人なら、大変じゃない?」

 俺 「大変ですね」

ラビニ「たとえば、かずぐんが私の付き合いたい人になったら、
    私は自分の気持ちを押し殺すべきだよね」

ラビニ「昔は女が好きだったのに。。」

ラビニ「どうしてこいうことになるか。。。わからない」

ラビニ「だから、直す方法 がほしい」


俺の事が好き・・・ってコト!?


唐突過ぎてなんて返信すれば良いか分からず、
放置していると追加の密談がきました

ラビニ「かずぐん、私の言いたいことわかる?」

ラビニ「考えがうまく伝わることができないから・・・理解できないかも」

ラビニ「かずぐんが好きになってもいいの?
    普通の好きだけじゃない・・・」


普通の好きだけじゃないってなんだ・・・


急にめんどくさくなったので、無視することにしました。
するとまた密談がきました。

ラビニ「かずぐん、このまま好きになってもいいですか?」

ラビニ「すみません・・・ストレスを感じますよね・・・」

ラビニ「もしかし、もうわかりませんか・・・」

ラビニ「とても恥ずかしいことなので、わからないほうが
    いいです。」


いやわかるけどさ・・・(笑)


結局、返事をすることなくこの日はログアウトしました。


翌日、自分のYoutubeチャンネルで身内向けに
黒い砂漠の配信をしていたのですが、
そのチャット欄にラビニさんが現れました。

ラビニ「かずぐん、」

ラビニ「勘違いするかもしれませんが・・・」

ラビニ「・・・僕が嫌いですか?」

 俺 「なんでですか?」

ラビニ「いつもかずぐんにいろいろなことを話したので
    迷惑をかけたと思った。。。」

 俺 「はあ」

ラビニ「まだ、チャットで無視されたと思ったので
    嫌われたと心配してた」

実際、過去に色々相談に乗ってきました

ラビニ「いつも、かずぐんに、いろいろな悩み事を話したので」

ラビニ「たまに、自分はうるさいなひとだとおもいます。」

ラビニ「かずぐんも、わたしはうるさいなひとだとおもいますか?」

 俺 「うるさくはないですが内容が・・・」

ラビニ「内容は?」

 俺 「?」

 俺 「話さないとわかりませんか?」

ラビニ「なるほど・・・」

 俺 「察するということを覚えてください」

ラビニ「は~い」

ラビニ「だから、かずぐん、私が嫌いじゃないよね」

 俺 「嫌いだったらどうしますか?」

ラビニ「きえます。。。」

 俺 「好きと言ったら?」

ラビニ「生きる」

ラビニ「ゲームつづく」

 俺 「はあ」

ラビニ「まだ、ストレスもなくなる」

 俺 「?」

ラビニ「嫌いなら、だれでも私が嫌いので消えてもいい・・・」

ラビニ「すきなら、生活は続く」

 俺 「ちょっと何言ってるかわからないです・・・」

ラビニ「嫌いなら、死にします。」

ラビニ「好きなら、夢を叶えるために」

ラビニ「がんばります」

ラビニ「わかりますか」

ラビニ「嫌いなら、目標がなくなって、誰でも
    私が嫌いので、消えます。」

ラビニ「好きなら、夢を叶えるためにがんばります。」

ラビニ「わかりますか?」

 俺 「わかりますよ」

ラビニ「誰でも嫌いな人を死にしたいよね。死ねれば
    好きな人が幸せになるのは、いいじゃない?」

 俺 「その好きな人は私のことですよね?」

ラビニ「はい」

 俺 「自分が死ねば俺が幸せになると思ってるんですか?」

ラビニ「はい」

 俺 「無様ですね」

ラビニ「無様の意味、ちょっと調べます」

 俺 「どうぞ」

ラビニ「目障りな?」

ラビニ「目障りという意味ですか」

 俺 「まあそんなところですかね」

ラビニ「だから、かずぐんはどうおもいますか?」

 俺 「は?」

ラビニ「私が嫌いですか?あるいは、好きですか」

 俺 「どっちだと思いますか?」

ラビニ「はい」

 俺 「?」

ラビニ「どっちだとおもいますか?」

 俺 「まあ好きではないですよね」

ラビニ「きらいだよね」

 俺 「はい それであなたは死ぬんですか?」

ラビニ「わかった。」

ラビニ「しめます。ごめんね」

 俺 「しめる?」

ラビニ「もうかずぐんにじゃましないよ」




もうかずぐんにじゃましないよ




そう言い残して彼はいなくなりました。

それからしばらく経ち、再び黒い砂漠がメンテナンスの日がありました。
俺はラビニさんの事が少し気になっていたので、イカロスにログインしてみる事にしました。

ギルドから除名されていると思ったのですが、まだギルドには所属しており、メンバーリストを見てみると、いつもインしているラビニさんがオフラインでした。
最終ログイン日を確認してみると、ラビニさんは
ここ数日間ログインしておらず、最後にインしていたのは俺が配信をしたあの日でした。

”よかったらフォローしてね”と、インスタとTwitterのアカウントを教えてもらったまま放置していることを思い出したので、覗きに行きました。

インスタはリアル、Twitterはゲーム関連で使い分けているらしくどちらも高頻度で更新していました。

しかし、そのどちらも最近の投稿は一切ありませんでした


こうして俺とラビニさんの関係は終わります。

彼がどうなったかは知る由もありませんが、
これが俺のMMO人生で起きた最初の思い出でした。



余談

イカロスオンラインは今年の8/31にサービスを終了します。
この知らせを見た時に、真っ先に思い出したのはラビニさんとの事でした。
そして最近PCを新調したのですが、その時に昔使っていたHDDを整頓していた所、懐かしいSSや動画が大量に出てきました。
その中に例の会話があり、せっかくだから思い出として記録しておこうと思い、今回noteに書かせて頂きました。
ご愛読ありがとうございました。



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