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老舗たる所以

つい先日、
滋賀県の安土城までドライブに行ってきました。
安土城は織田信長が天下統一に向けて
築いた城として知られています。

資料館などを見学して
お昼は近江牛の焼肉ランチをいただきました。
次はデザートだ!ということで焼肉屋を出ると、
隣に小さなお茶屋さんがありました。
店先にかき氷のタペストリーが掛かっていたので、
なんとなくお店に入りました。

店内には決して広くありません。
棚にはほうじ茶や玉露など
たくさんの種類のお茶っ葉が並んでいて、
その一角にイートインスペースがありました。
優しそうなご主人が注文を聞いてくれて、
しばらくすると山盛りの宇治金時が出てきました。
甘すぎず、好みの味です。
美味しく食べていると、
今度は女将さんでしょうか
「シロップは足りていますか?」と
追いシロップを持ってきてくれました。
かき氷の専門店でも
追いシロップを出してくれるところは
そう無いように思います。
「気が利くなぁ…」と感心している最中にも、
地元の常連さんが出入りします。
「このご時世、お茶だけで商売が成り立つのかな」
などと(余計なお世話ですが)思いつつ、
なんとなく接客を眺めていたら
あることに気づきました。

こちらのご夫婦、
人の心に染み入るような、
包み込むような、とても素敵な接客をされるのです。
そんな中でも
私が食べ終わるタイミングを見ていたのでしょう。
かき氷の締めに絶妙のタイミングで
温かい梅昆布茶を淹れてくれました。
なんとも心地よいおもてなしです。

ここでようやく
「ここは普通のお茶屋さんではないのでは…」
と思った私は、
いただいたお茶をすすりながら
Googleマップを検索をしてみました。
投稿数は多くはありませんが
口コミは満点の5つ星です。
さらにお店のHPを見てみると
「創業文久三年」とありました。
「文久?」あまり馴染みがありません。
調べてみると西暦1863年のことで
今年創業160年の老舗ということがわかりました。

私たちよりも先輩です。
「すごい!!」と純粋に心を打たれました。
そして感動を覚えました。
わずか1,000円に満たないような商いでも、
ここまで人の心を動かすことが出来るのですね。
こちらのお茶屋さん、
お名前は「ますきち」といいます。
初代が「桝屋吉兵衛」で
「ますきち」さんだそうです。
どこかの桶屋さんとそっくりです。

よく考えてみればここは滋賀県、
日本が世界に誇る
「三方善し」でおなじみ近江商人の
ホームタウンでした。
そういえばランチを頂いた
隣の焼肉屋さんの接客も素晴らしいものでした。

私たちも、地域の皆様から愛され、
応援され、願わくば地元の誇りと
思っていただけるような…
そんな会社でありたいものです。
企業の不祥事には事欠かない今日このごろですが、
地味で目立たなくても素晴らしい商いは
世の中に確実に存在していることを
教えていただけた一日でした。

今日私たちが接するお客様にも、
私がここで感じたような、
心に染み入るような、優しく包み込まれるような…
そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです。
ますきちさん、
近くに行かれたらぜひ立ち寄ってみてくださいね。
近江鉄道の八日市駅前にあります。
10年後でも、20年後でも、
そこにはきっと
変わらない人のあたたかさがあるでしょう。

今週も幸せの種を蒔きましょう。
私たちの周りにいてくれる大切な人が
幸せであり続けますように。