「家畜受精卵移植師」取得への道〜講習編〜
前回の執筆からしばらく期間が空いてしまいましたが、「家畜受精卵移植師」取得について続きを記していきます。
受講理由と受講に至る過程は以下のリンクをご参照ください。
いざ会場へ!
2022年10月17日から11月2日まで実施された「牛に関わる家畜体内受精卵移植に関わる講習会」へ参加するため、北海道の清水町にある一般社団法人ジェネティクス北海道繁殖技術研修センターにいきました。自宅から現地まで3時間半かかりましたが、午後から講習開始だったため午前中に出発しても余裕で間に合いました。
北は稚内(会場まで6時間かかるらしい!)東は根室まで、総勢29人の参加者が会場に集まっていました。
どんな人たちが来るのかな
ペーパー人工授精師歴の長かった私は、他の参加者がどんなベテランの人たちかと怯えていましたが、キャリアはまちまちで、人工授精師免許を取得して1年以下の人もいれば数年経っている人までさまざまでした。
年齢層も20代から30代前半の若い参加者が大半でした。
同じ人工授精師でも、牧場に所属している人の他、組織に所属している人など色々な働き方があることを知りました。所属を大別すると下の図のようになります。
(付録)授精師・移植師の所属について
将来、授精師・移植師になりたい!という人も見てくれるかもしれないので、所属についてもう少し特徴をまとめておきます。自分がどんな環境で働きたいか決める一助になればと思います。(参考としてご覧ください)
牧場 所属
特定の牧場に従業員として勤務する。大きい牧場なら繁殖業務にのみ従事するが、小さい牧場だと搾乳など他の業務も兼務することが多い。
農協 所属
地域の農業協同組合職員として勤務する。基本的に繁殖業務のみに従事する。授精業務に従事したくても全く別の部署に異動になることもある。地域のさまざまな牧場を訪問して業務にあたる。
家畜診療所 所属
地域の家畜診療所職員として勤務する。基本的に繁殖業務のみに従事する。地域のさまざまな牧場を訪問して業務にあたる。授精師・移植師を募集していない地域も多い(基本的に獣医が所属する場所であるため)。
開業授精所 所属
授精所職員として勤務する。基本的に繁殖業務のみに従事する。地域のさまざまな牧場を訪問して業務にあたる。お金がある授精所では最新技術や機器を導入しているイメージがある。
どんな勉強をするの?
講習会は9:00-19:00までの日程で行われました(大体17時には終わってました)。普段は朝5時から勤務しているので、久々に余裕のある生活が送れました笑。
講習会は大きく分けて「座学」と「実習」の2つが行われました。スケジュールは下の図のような感じです。
座学では以下のテキストを使って「法律」や「牛の体」、「受精卵の仕組みと働き」、「受精卵の取り扱いと保存」について学びました。
実習では顕微鏡を使って受精卵を観察と操作をおこないました。
顕微鏡下でとても小さい受精卵をストローに吸ったり出したりしましたが、受精卵を紛失してしまう人が多数出ました笑
他にも実際の牛を相手に受精卵移植の手順を確認しました。牛がなるべく嫌がらないように優しく接することや、生殖器の中に汚れを持ち込まないように隠部を丁寧に清拭することに神経を使いました。
講習会で講師を担当してくださった職員の方々に対しては、専門性が高い話をわかりやすく伝えてくれる、気さくな方が多く質問に対しても丁寧に答えてくれる良い講師陣という印象を受けました。
講習を通しての感想
講習では受精卵移植技術に関する知識技術を体系的に学ぶことができました。日々の業務内でもそれらについて先輩に聞くことはありましたが、断片的な知識や技術のレクチャーであったこと、他の業務に気を取られるなどして聞き流してしまうことなど、すんなり覚えられる状況ではありませんでした。
一方、講習会では専門性の高い講師陣の下で受精卵移植講習の内容にのみに集中できる状況であったこと、座学で学んだことをすぐに実習で実践できる状況でした。このような理由から受精卵移植技術に関する知識技術を体系的に学ぶことができたと思っています。
個人的に受精卵移植師講習会の満足度は高かったです!
家畜受精卵移植師に興味のある方、繁殖業務の知識、技術を高めたい方には、本講習の受講をオススメします!