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大正・吉原私記

前回に続き近現代の吉原遊廓を書いた本を紹介します。『大正・吉原私記』です。著者は吉原で生まれ育った波木井皓三(はきい こうぞう)です。

波木井皓三は1907年、吉原遊廓に生まれ、実家は吉原で大規模を誇る妓楼・大文字楼で角海老楼に次ぐ格式のある大店でした。その長男として育った波木井は家業に嫌悪を抱き吉原を飛び出し様々な経験を得て、戦後は舞台制作に取り組み大学の講師を務め、1992年に亡くなります。

波木井の本を図書館から借りて読みました。経営者側の一族に育ったため独り善がりなところがありますが『吉原はこんな所でございました』とは違い吉原を批判的に述べているのがわかります。家族のために遊廓に売られ遊女として身体を切り売りする様子を見てきたため家業を恥じいていることをしたためています。

また体調が悪く休んでいたにも関わらず無理やり花魁道中に出されたのを苦に救世軍に助けを求め自由廃業した白縫(しらぬい)のエピソードが掲載されています。


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