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ST3年目までの方へ!誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアの知識

皆様、当ノートを閲覧していただき、ありがとうございます。
【誤嚥性肺炎を予防すること】に興味を持ってもらいとても嬉しいです。

本日はST3年目までの方に向けて「口腔ケア」のポイントについてお伝えしたいと思います。

誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアの評価ポイント

ではまず、初めての患者様/利用者様に口腔ケアを行う場合を想定してお話させていただきます。
主に3つのポイントを上げさせていただきました。

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順番に見ていきましょう。

◆汚染具合の確認

初めてお会いして、口の中を確認させていただきます。
ここでも見るべきポイントはたくさんありますね。その中でも3つのポイントを確認したいと思います。

また、アサヒグループ食品が提供している口腔アセスメントもぜひチェックしてみてください。

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→汚染場所
歯・唇・頬裏の粘膜部・舌・口蓋など見るべきポイントはたくさんあります。
特に口蓋や舌の汚染は要チェックですね。
口蓋に付着している場所によっては、普段のご飯の飲み込み具合が評価出来たり、そもそも汚れているということは嚥下能力の低下が危惧されます。

→乾燥の有無
口腔内が乾燥しているということは
1.唾液の分泌が不足
2.常時開口している
3.普段口を動かしていない
といった可能性があります。

そのどれなのかを評価し、アプローチへつなげる必要があります。

→痛みの有無
歯の痛みがある場合は歯科医との相談になると思います。
また、痛みがあることで口腔ケアを拒否したりする場合があるので「痛みの有無」に関して本人様の意見を聞く必要があります。

加えて、どこがいつどのように痛むのかの聴取を先にしておくことで、歯科医や多職種との連携がスムーズになります。

◆ご飯が食べられるかの確認

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口腔ケアを行うにあたって、ご飯が食べられるかどうか評価することも必要になります。

ポイントとしては
「理解面」
「口腔運動面」
「嚥下反射の有無」

になります。

「理解面」では
・覚醒面・注意面
・歯磨きの理解が出来ているか
・歯磨きに対して協力的かどうか
などを見ていきます。

覚醒が低い状態であれば、食事に対する反応が遅れてしまうため、食事の中止を視野にいれないといけません。
注意面では人が通るたびにそちらを向いているかどうかなどをチェックしていきます。
歯磨きに対して理解し、協力的であるかどうかも確認します。
声掛けに対して理解が乏しいのであれば文字や物品を用いたジェスチャーで理解を促すなどの配慮が必要かどうかもチェックです。

「口腔運動面」
では唇・頬・舌・顎の運動に加えて構音面での評価が鍵となります。
口腔体操にて唇・頬・舌・顎の運動を把握し、口腔ケア中の会話で構音や声の共鳴に対して問題がないか確かめます。
口腔運動面で頬や唇そして舌の動きが悪いと含嗽が出来るかどうか見極める指標になります。含嗽の可否は介護量の軽減につながるので要チェックです。

「嚥下反射の有無」
これが一番重要ですね。
口腔ケアをさせていただいている間、唾液の分泌が行われる可能性があります。
特に歯磨き粉(研磨剤)を使用している場合は特に唾液が多く分泌されます。
その間に
・嚥下反射があるのかどうか
・喉頭挙上が十分あるかどうか
・声が湿性になっていないかどうか
・反射がなく呼吸が速くなってきていないか etc
嚥下反射から様々なポイントを見ていく必要があります。

◆自力で口腔ケアが出来るか確認

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自力で口腔ケアが出来るかどうかの確認も初回のうちに行っておくと今後のリハビリに活かせる場合があります。
寝たきりでもベットのギャッジを上げて、物を用意しておけば自力で出来る場合はなるべく自力で歯磨きや義歯の清掃に取り組んでほしいと思います。

また、この部分で「含嗽」が出来るかどうかの確認が必要です。
含嗽が出来るかどうかで介護負担度は変わります。
そのため口腔運動面/嚥下反射そして余力があれば咳嗽面の評価を行った後、含嗽が出来るかどうかのチェックを行うと良いと思われます。

誤嚥性肺炎を予防するための口腔ケアの実施ポイント

◆姿勢

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●初回で覚醒レベルが低い場合
その場合は、嚥下がしやすいとされるベッドギャッジ30度頸部屈曲位での実施を推奨します。口腔ケア中に分泌される唾液による誤嚥は極力避けたいからです。ただ、可能であれば姿勢は起こした方が良いと思われます。

●覚醒レベルが高く、バイタルに問題が見られない場合
ベッドギャッジを起こし、意思疎通が取れる場合は可能な限り口腔ケアへの協力を仰ぎます。
姿勢を起こす理由として
①唾液が咽頭へ流れないように工夫しやすい。
②普段の歯磨きは上体を起こして実施されるため。
③自身で歯磨きをしてもらえるような声掛けがしやすいため。

認知症の方ではなおさら、上体を起こして物品を見せ、自力での歯磨きを促す方が無理やり口を開けてスポンジブラシで清掃するよりも効果的です。

●可能であれば洗面所へ移動
車椅子へ移乗が可能であれば洗面所での口腔ケアをお勧めします。
理由として
①認知症の方に理解しやすい
②口腔ケアへの受け入れを良くしやすい
などがあります。

◆清掃用具

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本人様の口腔内に合わせた用具を選定することが大事です。
本人様の口腔内に合わせるというのは
<1>多数歯
<2>少数歯
<3>無歯顎や粘膜部
<4>舌苔
です。

<1>多数歯の場合
多数の歯がある場合、用意する用具は
・歯ブラシ
・歯間ブラシ
・口腔用ジェル(口腔内乾燥していたら)
・歯磨き粉(欲しい人は)
・含嗽が出来ない場合はスポンジブラシや口腔ケア用のウェットティッシュ
などが必要であると思います。
ポイントは
【歯ブラシの毛先を歯に軽く当てて強すぎない力で小刻みに動かす】
のです。ベストなのは歯の1本1本裏表をしっかり10秒かけて磨くことです。

加えて「歯周病予防のブラッシング」は、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目を磨くことです。歯から見て45度ブラシを傾けて小刻みに動かしていきます。そうして磨いていき、含嗽やスポンジブラシなどで汚れを落としていきます。

<2>少数歯
少数の歯がある場合でも用意する用具は
・歯ブラシ
・歯間ブラシ
・口腔用ジェル(口腔内乾燥していたら)
・歯磨き粉(欲しい人は)
・含嗽が出来ない場合はスポンジブラシや口腔ケア用のウェットティッシュ
などが必要であると思います。

ポイントは歯と歯の間が微妙に開いている場合や歯並びが悪い場合です。

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歯と歯の間が微妙に開いている場合は、歯間ブラシを使っていきます。上記のような絵のタイプなら微妙に開いた間でも通すことが可能です。

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歯並びが悪い場合は歯ブラシの「つま先」と「かかと」を使うことで歯と歯のズレている部分にしっかりと毛先をあてていきます。

<3>無歯顎や粘膜部
無歯顎の場合や、粘膜部を清掃する際の用具は
・口腔粘膜ブラシ
・口腔用ジェル(口腔内乾燥していたら)
・含嗽が出来ない場合はスポンジブラシや口腔ケア用のウェットティッシュ
などが必要であると思います。
歯ブラシと似た形状で、毛先がとても柔らかいものを口腔粘膜用ブラシと呼びます。
これは口腔内の粘膜を傷つけないために作られたものです。時折硬いものがありますが、どちらが良いかなどはその人次第になるので歯科衛生士の先生などの専門家に尋ねてみると良いですね。

無歯顎でも歯があった部分(顎堤)のブラッシングは必要です。
そういう部分に口腔粘膜ブラシが活躍します。これは舌の汚れにも活用できます。

<4>舌苔
上記のとおり
・口腔粘膜ブラシ
・口腔用ジェル(舌が乾燥していたら)
・含嗽が出来ない場合はスポンジブラシや口腔ケア用のウェットティッシュ
などが必要であると思います。

舌苔は絶対に1度で落とそうとしてはいけません。
少しずつ取っていくのが理想です。
1日2回、口腔粘膜ブラシで10回前後のブラッシングで2週間かけるくらいがちょうどいいとのことです。

舌苔が乾燥している場合は口腔用ジェルを塗布し、ふやけたところを除去していきます。頑固な乾燥も3~5分すればある程度硬さが取れてきてブラッシングしやすいようになるはずです。

まとめ

ここまでご覧いただき誠にありがとうございます。

口腔ケアに入る前と直後のアセスメント、そして口腔ケアの実施についてお話しました。
高齢者の方は歯が少なく、無歯顎であることが多いですね。
口腔内を見させてもらい、痰や汚れが固まって口蓋に付着している場面が多いのではないでしょうか。

口腔ジェルを塗布し、ふやかして取る間に、頬の口腔粘膜や、顎堤のブラッシングもしているとより誤嚥性肺炎の予防につながると思います。

この考え方を基に、本を読みながらブラッシュアップしていき、日々の臨床に役立てていただけると幸いです!
それでは。



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