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ケース面接対策①〜新聞社編〜

目安時間:6分

当記事は、ビジネスや就活で役立つコンテンツを5分程度で読めて、直ぐに実践できるをコンセプトにTHE Professional運営メンバーが執筆したものです。

こんにちは。ザプロの樋口です。
今回は、みんなが悩むケースワークについて、
「とある新聞社 A社」
を例に挙げながら解説をしてきたいと思います。

今回の問題はこちら。

『とある新聞社のA社の紙新聞の売上高を上げる施策を考えてください。』
<背景>
紙新聞業界全体として売上は減少気味です。A社は本誌を一種類のみ販売しています。
今、あなたはA社の経営者とのミーティングの中で、マネージャーから上記の様なことをお題を言われ、考え始めています。

最初に考えるべきは、もちろん
「売上を上げるための構成要素をブレイクダウンする」
ことです。

⑴値段を上げる
⑵数量を上げる
⑶客単価を上げる

この三要素であれば、漏れなく被りなくMECEに「売上向上」を分解できています。

これをA社に当てはめます。すると、

⑴購読者数の増加
⑵新聞の値段の増加
⑶客単価の増加

に分けることができます。

まずはこの三要素について、どの要素を深掘っていけば効果的な打ち手が考えられそうかを検討していきましょう。

⑴購読者数の増加
購読者数の増加に関しては、今現在他紙を購読している人の取り込みや、まだどの新聞社での購読もしていない新規のターゲット層にもアプローチが可能なので、打ち手の考えやすいものと考えることができます。

⑵新聞の値段の増加
新聞1つの単価を上げたとしても、既存あるいは新規の購読者がそれ以降も定期購読をしてくれるためには、A社の新聞自体に他紙とは違う特質的な魅力があるかどうか、もしくは、A社が新聞市場をほぼ独占しているかの2つのパターンがあります。
しかし、一般的な新聞社には上記の2つのパターンは考えにくいのが現状です。
なのでこの「新聞の値段の増加」に対して深掘りして打ち手を考えることは難しいのではないかという予想がつきます。

⑶客単価の増加
現状作っている新聞が本誌一種類なので1人の顧客に同じ新聞をいくつも買ってもらうのは現実的ではありません。
しかし、スポーツや芸術やバラエティなどのある分野に特化した新聞を作り、新聞のラインナップを増やしていくのは、戦略としてありなのかもしれません。


以上の3つの検討を大体つけたので、⑴と⑶についてそれぞれについて見ていきます。

⑴購読者の増加

まずは我々の考えるべき ”購読者” とは、どんな人たちがいるのかを分解します。

前提として、この場合の購読者は、「既存顧客」と「新規顧客」の2つに分けたときの「新規顧客」の方です。

既存顧客を扱わない理由は、既にA社の新聞を購読している人が、こちらの頑張りによって分裂して2人になったりはしないからです。w

つまり今回は、ターゲットとなる ”購読者” は、
「他紙をすでに定期購読している人」

「今まで新聞を購読してこなかった人」
の二種類です。

わかりやすくすると、今回は
ア)他紙購読者層
イ)新規未購読者層
の2つの層にアプローチをかける必要があります。

ここで、現状の新聞会社の特徴と打ち手について、
”4P分析” を使って考えていきたいと思います。

4P分析とは、マーケティング領域における企業分析のフレークワークで、以下の4つの要素で企業を分析します。
①Product(商品)
②Price(価格)
③Promotion(宣伝・広告)
④Place(販売チャネル)

4P分析について詳しく知りたい方はこちら。

それぞれの要素をしっかり可視化した上で、
ア)他紙購読者層 イ)新規未購読者層
のそれぞれに対するアプローチ策を考えます。

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(今の頭の中のイメージはこの様な感じです。)

さて4P分析ですが、今回の場合新聞社なので、それに沿って分析して見ます。

①Product(商品)
新聞の特徴として、各社特筆すべき特徴はなく、全国紙になればなるほど特徴が薄れていく傾向があります。政治・社会欄に加え、スポーツ、芸能に関してはあまり特徴的な部分はなく、社説は若干の色を出しますが、大半の新聞の読者は、忙しい中情報収集のために読んでおり、社説を読む人はほとんどいないでしょう。


②Price(価格・値段)
新聞の値段は、どこも変わらず各社間で常に均衡を保っています。値段を下げて競合に勝つことは考えられますが、それはその値段低下よりも購読者数の増加が上回っていなければなりません。
しかし、おそらく均衡状態にある寡占市場の場合は、ビール・発泡酒業界がそうだった様に、一社の値段の下落に合わせて他社はそれに追随して値段を下げる形をとることが多いです。
しかし、ここでは打ち手として2つが考えられます。

長期購読に対するクーポン(割引)

を行うのはアリです。既存の購読者のグリップを図りつつ、新規での購読者の長期的な顧客化を実現できそうです。
そして2つ目は、

他社乗り換え割引

大手携帯通信会社でも、「他社乗り換えのキャンペーン」など同じ様な取り組みが行われていますが、イ)新規未購読者に対して、他社とは違う利点を示すことができます。しかし、これは新聞社間での顧客のスイッチが頻繁に行われる場合を考えているので、打ち手の評価としては微妙かもしれませんね。


③Promotion(宣伝・広告)
Promotionは既存の購読者よりも新規の購読者をメインとして考えていった方が自然です。

新聞社各社は、新聞それぞれに独特な強みが少ないため、今まではセールスにおいてかなりの泥臭いパワーセールスを行なってきました。(今はそこまでないのかな。)

今は2つの販売方法を行なっています。
1つは、今まで通り個別宅への直接セールス
もう1つは、インターネットでの申し込み
です。基本的にはインターネットでの申し込みが増えていると考えられますね。

ここでも打ち手は2つ考えられ、
1つの打ち手としては、この直接セールスにさらに拍車をかけていく方法。
2つ目は、もうコピーライティングなどのマーケティングを駆使してネット販売を促進していく方法。

1つ目に関しては、言うまでもなく現実的ではありません(むしろ煙たがれて会社の印象を落とすかもしれません)。
2つ目に関しては、現在はデジタル新聞も流行ってきており、ネットから紙新聞への新規の申し込みをこれ以上増加させるのは、打ち手のインパクトにかけそうですし、正直ネットが入り口だとデジタル新聞に流れる人が多い気はします。

④Place(販売チャネル)
現在の新聞社の紙新聞の販売チャネルは、主に2つ。
個別宅への直接配達と郵送です。
新規未購読者で、定期購読に興味はないが、読みたいときに立ち寄ってふらっと読める様に、コンビニや駅に置く様な打ち手も考えることができます。


⑵新聞の値段の増加

これはすでに打ち手として考えないことにしたので省きます。


⑶客単価の増加

すでに打ち手の候補として

新聞のラインナップを増やしてはどうか

と言うものが挙げられていますのでそれについて考えていきます。

先ほど⑴では、ターゲット層を「新規顧客層」に限定しましたが、
これに関しては、既存顧客層と新規顧客層の両方との兼ね合いを見ながら考察する必要があります。

まず新聞の新たなラインナップで言えば、夕刊などを上げることができます。夕刊は朝刊よりも単価は安いですが、新規顧客に朝刊とセットで買ってもらえば一人当たりの客単価は増えるはずです。

さらに、芸能エンタメ・スポーツ・経済・政治・科学・芸術・ファッションなどの各ジャンルごとに紙面を割くのもアリです。各分野の専門誌は一般の新聞に比べて割高な傾向があります。
本誌に加えて、こうしたジャンルごとの記事をオプションとして加えていくことで、既存顧客の一人当たりの客単価を上げることができる可能性があります。
仮にそれぞれのジャンルのオプション料金が1ジャンルあたり20円だとしたら、5ジャンルで100円の売上増に繋げることができます。



まとめ

ここまで、「新聞社A社の売上高を上げてください」に対する施策を考えてきました。

ケース面接は、突拍子も無い発想力は必要ありません。
現状をきちんと整理して、考える手順を頭に入れた上で、
単語や事象の因果関係や内包関係に沿って分解していくのが大事なのです。

是非頑張ってください。

この記事はビジネスの基礎力を身に着ける、外コン/外銀/ベンチャー/企業を目指す若者向けのコミュニティ、The Professional運営が書いたものです。
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執筆担当 樋口
THE Professional 運営
福岡出身。趣味は釣りとバスケとカラオケ。
EC領域での採用業務経験あり。将来的には都会の喧騒から抜け出し、田舎で小洒落なカフェを開いて隠居したい若者。