戦前の「趣味誌」の射程について
戦前の「趣味誌」の範囲について考えている。戦前の趣味誌は現在のように特定のジャンル(車、カメラ、将棋など)を取り上げている雑誌ではなく、コレクターや同好者が発行して効果し合う現在でいうところの同人誌やZINEに近い物であった。やなぎ様の以下の投稿によれば、趣味誌は広義の「趣味誌」は狭義の「趣味誌」と地方誌に分けられ、前者は「蒐集趣味誌」と「特殊研究雑誌」に分類されるという。
これ以外にもジャンルごとに様々な趣味誌が出ていたようだ。たとえば、以下の記事で紹介したような大阪の医者・片桐理一郎が発行していた食の趣味誌『猟味』、『土の香』を発行していた加賀紫水の近所に住んでいた松岡一男が発行した歌舞伎趣味誌『梨園』がある。
また、戦前の『キネマ旬報』の読者投稿欄にも映画についての個人誌の発行や交換のお知らせが多く掲載されている。さらに生物趣味の『アミーバ』という雑誌が国会図書館デジコレで閲覧できる。
私が戦前の趣味誌と考えていたのは上述の蒐集趣味誌、特殊研究雑誌、文藝誌であったが、ジャンル別の個人誌もあって「趣味誌」の範囲は想像よりもはるかに広そうである。
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