見出し画像

加賀紫水の『土の香』に投稿している相良武雄は誰だろう?

 以下の記事で紹介して総目次も作成した加賀紫水雑誌『土の香』に相良武雄という人物が第1巻第6号に「南蛮傳末 カステラ」、第2巻第3号に「熊谷名物 五家宝の由来」が投稿している。

 この「相良武雄」は「さがらたけお」と読んで上記の調査趣味誌『深夜の調べ』第1号に投稿した『土の香』総目次の索引に載せたが、この読み方が誤りかもしれないことに先日気が付いた。山野博史・田熊渭津子「尾佐竹猛略年譜・著作目録」(『關西大學法學論集』第27巻第2号(1977年))によれば、犯罪や賭博・掏摸の研究者として知られている尾佐竹猛は様々なペンネームを使用していたが、その中のひとつに「相良武雄」があったようだ。この名前の読み方は「アイラブユー」であり、言うまでもなく「I love you」が由来である。この名前は小林いさむ『映画の倒影』(伊藤書房、1933年)のP78に芸名の付け方の例として紹介されているので、尾佐竹だけが使用していたといわけではなさそうである。(国会図書館デジコレで確認)

 そのため、『土の香』に投稿していた相良武雄が尾佐竹かどうかは分からない。私見を述べておくと、文章のひとつで尾佐竹は熊谷(埼玉)の名物である五家宝を紹介しているが、尾佐竹は熊谷に縁がないと思われるので『土の香』に投稿していた人物は尾佐竹である可能性は低いのではないだろうか。

 では、誰かというと私は以下の記事で言及した趣味人・池田文痴庵の可能性もあると考えている。池田はお菓子の歴史の研究者、ラブレターの蒐集家として知られており、相良武雄というペンネームを使ってお菓子についての記事を趣味人の間でも読まれていた『土の香』に投稿していてもあり得ない話ではないだろう。

よろしければサポートをよろしくお願いいたします。サポートは、研究や調査を進める際に必要な資料、書籍、論文の購入費用にさせていただきます。