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レゴってどう組み立てる?【スタッズとチューブ編】

 レゴのブロックは無数の組み合わせパターンがあり、「2 x 4ブリックを、たった6つ用意した場合でさえ、その組み合わせは1億通り以上になる」という、レゴ創作の可能性を示唆する意味でのキャッチコピーにもなっている、有名なファクトがあります。

 実はこの話には続きがあります。近年になって、改めて計算の前提が見直された結果「1億通りは間違いだ!」という恐るべき指摘を受けてしまったのです。本当の数は…なんと、9億通り以上!この結果は、レゴの魅力を更に飛躍させる結果となりました。

「6つのブロックで9億を超える組み合わせ方」

さて今回は、そうしたレゴ創作幅の広さの源泉である、「パーツの組み合わせ方法」について、あらためて振り返ろうと思います。

様々な接続の仕方を理解しておくことにより、自分が作品づくりで行き詰まったときに「そういえば、あのやり方ならイケるかも」と、ブレークスルーがあったり、作り方のワザを広げることができるかもしれません。


ブロック接続 9つの方法

 レゴのブロックにはデュプロ、システム、テクニック、そして最近のDotsなどいくつかの体系がありますが、パーツどうしはお互いに互換性があります。

それらの接続方法は整理してみると、9通りに集約することができます。中には読者みなさまにはお馴染みのものもあると思いますが、注意事項も含めて、今後シリーズとして一つづつ振り返っていきましょう。今回は基本中の基本である「スタッズ+チューブ」について考察していきたいと思います。

スタッズとチューブをつなぐ

■ 接続方法の概要
「何をいまさら?」と思われるかもしれませんが、超基本の組み立て方です。レゴシステムのブロックには必ずスタッズ(ポッチ)と呼ばれる突起があり、これを裏側の凹み穴(チューブ)にはめ込む事によって接続されます。

最も基本の、スタッズ+チューブの接続方法

スタッズやチューブがあるピースはレゴシステム系のブリック、プレートだけではありません。ミニフィグの持ち物や、テクニック系のパーツにもついていることがあります。手持ちのパーツをよく観察してみると、意外なことろにスタッズ/チューブが見つかったりします

代表的な「スタッズ/チューブ付きパーツ」たち。
左からミニフィグアクセサリー、テクニック系パーツ、柵などに使われるバー。

こうした"意外なパーツ”は、バーハンドルと組み合わさっていることもあるため、次回の記事で説明する接続方法と組み合わせれば、[オープンスタッズ/クリップ]+[バーハンドル]+[スタッズ]…と、接続点を変換していき、まるでしりとりのように、様々なパーツをくっつけていくことができます。

スタッズ付きパーツによるSNOT技(スタッズを横向きに出す技術)の例示。
横向きスタッズと、横向きチューブとができた。(活用法は分からないが…)

スタッズ+チューブのテクニック

ここからは実際にこの「スタッズ+チューブ」の接続方法を使った応用的なビルドのテクニックを紹介します。

【ワザ1】 パーツの厚さを活かした積み方をする:

レゴのパーツには共通のサイズ体系があり、タテ向き・ヨコ向きが互いに組み合わさるようにできています。その代表的な特性を説明します。
(文章が分かりづらい方は画像を参照ください)

  1. プレート3枚とブリック1つは同じ高さ(厚み)を持っています。そのため、プレートを3枚の倍数で利用するとブリックと高さが揃った位置で互いを留めることができます。

  2. ブリック1スタッド分の幅はプレート2.5枚分の高さ(厚み)と同じです。少数だと使いにくいとすれば、ブリック2スタッズ分の幅 = プレート5枚の幅ということになります。プレート5枚の幅は前項でプレート2枚+ブリック1つ分の高さとわかっていますから、整理すると…
    プレート5枚の厚さ = ブリック1つ+プレート2枚分の高さ = スタッズ2つ分の幅、という関係性が成り立ちます。こちらも、お互いを留めるためには、この関係性の倍数で組んでいけばよいと覚えておきましょう。

  3. 上述の2つの要素を組み合わせれば、1ブリックの高さ(厚み) = ブリックの幅(2.5プレート)+1/2プレートということになります。「1/2プレート」という厚さのパーツは少ないですが横向きにブロックを接続するときに使える特性です。

ブリックとプレートの大きさの関係性

様々なパーツの大きさついてはいずれ別の記事で紹介できればと思いますが、ここではひとまずブリックとプレート高さには互換性がある、ということについて覚えておいていただければと思います。

【ワザ2】同じ大きさのパーツ同士は重ねない:

全く同じ大きさのパーツを垂直に積み重ねていくときには注意が必要です。その理由として、①強度が弱くなることと、②壊すときに分解しにくくなることの2つが挙げられます。

① 強度が弱くなる:
同じ大きさのパーツを同じ位置に重ねていくと接続点が少なくなるため、どうしても構造がもろくなり、作品が壊れやすくなります。飾るために持ち運んだり、お子さんの手で触ったりするケースを考えると強度は高めておいたほうが良いでしょう。

そのためにはブロックを組むときには互い違いに、下の層のパーツどうしをまたぐようにパーツを積み上げていくことが原則となります。

(左)ただ積み重ねただけ vs (右)互い違いにブロックを組んだ場合。
左のほうが強度は弱く、壊れやすい。

② 分解しにくくなる:
レゴは何度でも組み立てて、バラせるのをウリにした商品ではありますが、同じ大きさのパーツ同士をくっつけてしまうと、剥がすための手がかりがなくなるので分解が困難になります。

組立ての際に間違った位置にブロックをつけてしまったり、あるいは一度完成した作品をバラしてもとのパーツに戻そうとするときに困ります。こうした場合には、頑張って爪をかけるとか、お子さんなら歯でガリッと剥がそうとすると思いますが、こうした外し方は間違いなくブロックを傷つけます。

1x2プレート同士、1x1プレートと丸プレート、カーブスロープどうし、紐パーツ。
これらを素手で剥がすのは、まずムリでしょう。

特に上の図に挙げた組み合わせは、レゴの中では「最悪のコンビネーション」と呼ばれ、素手・爪で外すことはおろか、公式のブロック剥がしも役に立たないことがあります。旧式のブロックはずしや、3rdパーティ製のブロック用ペンチを使うことで解決できる可能性はありますが、最悪の場合はカッターなどを使うことになり、その場合はブロックを傷つけてしまいます。

このような問題から、よほどの理由がない限り、同じ形のパーツを同じ位置にくっつけるというのは避けましょう

【ワザ3】求める強度に応じて、固定する箇所を増やす:

接続する構成要素の面が大きい場合に、スタッズとチューブをくっつける箇所が1ヶ所だけだと、接続が不安定になります。これにより、少し作品を動かしただけで簡単に外れやすくなったり、パーツにズレが生じるため見た目も美しくありません。

ここから2ヶ所、3ヶ所…と接続点を増やしていけば、接続したい部分同士がしっかりとハマるので、作品の構造がより頑丈なものになります。目安として10数センチ以内の部分を接続するのであれば、3ヶ所〜4ヶ所程度のスタッズ接続点があれば十分でしょう。

「ヘッドライト」(左)と4方向スタッズのブリック(右)でそれぞれ構成した6面キューブ。
左の方式の場合に、接続できるスタッズが1ヶ所なので、上にプレートを被せたときに、
画像のようにズレが生じる場合がある。右の方式では4ヶ所で止まっているため安定する。

一方で、接続点を増やしていくと頑丈になるということは、逆に外ししたいときに外しにくくなるということでもあります。作った動物やキャラクターを自由に動かしたり、変形するロボットなど、作品が動的な遊び方・魅せ方をする場合には意図的に接続点を少なくするということも必要です。

BrickHeadzシリーズの土台では、キャラクターの足の面積に関わらず、
接続点は両足で1スタッズづつのみとなっている。接続しやすく、また取り外しやすい。
(画像はスクルージとヒューイ・デューイ・ルーイ(40477)より)

こうした特性から、作品を作っていて、異なるカタマリどうしを接続したい場合には、求める強度によって必要な接続点の数を考慮することが重要になります。

【ワザ4】グリッドから逸れた向きを取り入れる:

ブリックやプレートは四角いパーツが中心になっているため、レゴのブロックで作品を作ると、パーツが方眼紙の目の様に、格子状のグリッドに整列された配置ができやすいです。

一方で、接続するスタッズが1つだけであれば、そこに接続するパーツの向きを自由に設定できるという特徴もあります。公式のセットの中にもこの特徴を利用して、接続するブロック角度にひねりを加え、デザインの自由度を表現しているものがあります。

(左)リヴェンデル(10316)と、(右)モスアイズリー・カンティーナ(75290)
左のセットでは柱の向きと屋根瓦が、右セットでは天井の梁が、
それぞれ標準のスタッズの角度に対して傾けられている。

またこうした装飾的な意図だけでなく、構造そのものに角度をつけるということも可能です。これは1x1スタッズを複数ヶ所用意し、それらを橋渡しするというもので、高度なテクニックですが実際の公式セットでも採用されているものがあります。

ブティックホテル(10297)より。
床面に1 x 1スタッズを敷き詰めておき、それを斜めのプレートでつなぐ高度なテクニック。

この場合、橋渡しする距離がちょうどプレートのチューブの位置と一致しなければならないので、橋渡しのパターンは限られます。(難しい言い方をすれば、距離が整数値を取らなければなりません。)

しかしきちんと設計しておけば、こうした「斜めに組む」という構築も、やれないことはありません。(斜め組みの詳しい方法は、いずれ別の記事で紹介しようと思います。)

レゴをやっていると「ブロックは四角く、グリッド状に組むもの」という先入観がありますが、こうしたグリッドから外れるテクニックや発想を知っていれば、皆さんの作品でのデザインの幅がぐっと広がるでしょう。

【ワザ5】デュプロ・ブロックを取り入れる

レゴにはシステム系と呼ばれる4才以上を対象にしたパーツと、デュプロと呼ばれる1〜3歳児を対象とした、よりスタッズの大きなブロックシリーズがあります。

デュプロとレゴの互換性(画像はJangbricks.comより)

このデュプロのパーツは、レゴのパーツと互換性があり、デュプロのスタッズ1つ分が、レゴスタッズ4つ分になります。ちなみにデュプロは標準のレゴブロックよりも縦・横2倍大きいことから「DUPLO(2倍という意味)」という名称がそうです。

レゴと互換性があるブロックで、なおかつパーツが一つづつ大きいということは、大型の作品を制作するときにレゴの代替品として使えば、ブロックを節約しながら、強度のある構造を作れるということになります。

デュプロで制作した岩場。(画像はJangbricks.comより)
裏側を見ると実は骨組みの大半はデュプロの大型ピースで構成されている。

他の作例としては、認定プロビルダーの三井氏は丸の内ビルディングマインクラフトのディスプレイを制作する際に、このデュプロ+レゴ混合による骨組み構造を採用していました。

ある程度の大きさのある作品を作るときに限られますが、軽量かつ頑丈な構造を実現する方法としてレゴにデュプロを併用するということも検討できそうです。


今回はレゴの組立方法のうち、もっとも基本である「スタッズ+チューブ」の組み合わせについて、様々な応用的なテクニックも含めて紹介しました。みなさんの作品づくりに少しでも取り入れていただけたら幸いです。

次回以降も続きとして、残りの8つの組み立て方法について順番にご紹介していきます。おたのしみに。

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