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動画で考える

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「動画で考える」とは、動画を撮影することを通して目の前の日常空間を観察し、それを手掛かりにものごとを考え、表現する、その手法のことです。
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#ビジュアルファシリテーション

8-4.怖い動画

『動画で考える』8.見えないものを撮る ひとの顔もジャガイモも岩の塊も、同じように動画で撮影してみよう。怖いこと、それは端的にいって「リアル」を見つめることだ。 ありのままの自分を見つめること、ありのままの他人を見つめること、ありのままの真実を見つめることは、勇気のいることであり、たいがいはそれをごまかそうという気持ちが働くものだ。 動画のもっとも独自の、優れている機能は「そのまま写し取る」という点にある。例えば、ひとの顔もジャガイモも岩の塊も、それぞれの特徴を持った塊

9-1.空間の音を撮る

『動画で考える』9.音を撮る 誰もいない大きな部屋で、その空間の音を撮影してみよう。 誰もいない教室や会議室のようなところで、動画を撮影してみよう。 そのような場所で一人で立ってみると、誰の話し声も聞こえてこないし、動き回る足音や机や椅子を動かす音もしない、窓も閉まっているので屋外の音も聞こえてこない、あなたはそこで「静かだな」という印象を持つに違いない。 しかしそのような場所で撮影した動画を再生してみると、予想外に様々な「音」が収録されていることに気が付くだろう。それ

9-2.音と映像のずれ

『動画で考える』9.音を撮る 2箇所の異なる場所で収録した映像と音を組み合わせて視聴してみよう。2箇所のまったく異なる場所で撮影された動画の、音声だけを分離させて互いに付け替えてみる。 それぞれの場所が似通った住宅地や公園だった場合は、動画の視聴者はその付け替えにまったく気が付かないだろう。動画が収録するのは、完全に固有な場所であり、その場所を構成する固有のディテールの集合体なので、正確に分析すれば判別可能かも知れないが、私たちは動画をそういった精緻なレベルで視聴している