果てしなき空の上:気球での挑戦
いつの時代も人間の好奇心とは尽きないもので、やれ未開のジャングルに突撃してみたり、やれ海の一番深いところまで潜ってみたり。空への挑戦も例外ではないだろう。
人間が初めて空を飛んだのは今から約250年前くらいの1783年、フランス人のモンゴルフィエ兄弟によってなされたらしい。
なんでも彼らは煙の立ち登る様子から空を飛ぶことを思いついたとか。
飛行機にはわりかし慣れている僕だったが、それ以外で空との関わりを持つことはこれまでの人生で特になかった。
たまたまあいたGW後半。空を飛ぶことを生業としている人たちに出会う機会があった。
昔からの友人が気球をやっている、というのでその大会にメンバーとして参加させてもらうことになったのだ。
モンゴルフィエ兄弟たちが発明した、人類で初めて空を飛ぶ手段になった気球の大会だ。
まず、前提として僕は気球に「大会」があり、競技として成立しているなんてことなんてこれぽっちも知らなかった。
ルールは日程ごとに「タスク」が用意されており、各チームそのタスクの条件にどれだけ沿ったパフォーマンスができるかといったところだ。
基本的には、目的地にどれだけ正確に近づけるか、ということになる。そこから、地上に用意された的に向かってマーカーを投げたり、GPSによる位置計測によってポイントを稼いでいく。
各チーム、決められた位置から気球を立ち上げ、離陸して決められた場所を目指す。
基本的にはパイロットは一人で、他のメンバーは地上での風や気象の情報の提供や、着地点で待ち構えて、次の地点へのサポートをする。
空中での孤独なパイロットを、周りのメンバーが支えるような感じだ。
気球は方向転換ができないため、風に乗るしか進む方法がない。逆に言えば、ある方向に行きたくてもそちらに風が吹かないとそっちには行けない。
そのため、空に存在している気圧や風の層を見極めることが非常に重要な要素となってくる。
今回はチームのメンバーの一員として参加したので、気球の立ち上げから、片付けまでお手伝いしながらの撮影となった。
毎朝4時に起きて、比較的気温が低く気圧が安定している時間帯に競技は開始される。
時には気球の重い機材を運び、時には靴をどろんこにしながらチームの様子を撮った。
モンゴルフィエ兄弟が発明した気球に乗って初めて空を飛んだロジェという青年がいた。
兄弟が作った気球に乗り込み、彼は人類史上初めて空を飛んだ人間になった。
しかし、彼はその後の気球搭乗中の事故でなくなってしまう。
そんな彼らの時代から約2世紀。
我々は正確に航海できなかった空も様々な技術の発達で安心して移動できるようになった。
しかし、そのために大勢の人たちが協力して様々な工夫がなされていることを気づく機会は少ない。
気球の大会には、そんな大空を協力して攻略しようとする人々たちがいたのだった。
終わりがけ「次はスカイダイビング行きましょう!」と、普段はウインドスーツでダイビングやってるメンバーの方から言われて、
え、、楽しそう、、、、!
と思ってしまうあたり、今まで新たな世界を切り開いてきた先人の気持ちもわからないでもないような気がする。
もちろんそれはある程度の安全が保証されているからなのだが、、、
ごめんなさい、やっぱ頭が上がらねえっす、歴史上の先人の方々。
そんなことを考えながら、どろんこになった靴で、うとうとしながら連休最終日の新幹線にて東京の雑踏へと帰ったのだった。
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