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We are always running late
時計を見ると5時をすぎたところだった。
ヤバイ。
ベッドから跳ね起きると、「起床したら夕方」と「昨夜から変わっていない散らかっている部屋」という事実に心が折れそうになる。
ぐるぐる回転する自分の脳とは裏腹に、窓からは沈みかけた夕日の光と、帰宅途中であろうキッズたちの声が聞こえてくる。
昨日からほぼ24時間履いているジーパンを脱ぎ捨てると、シャワーを浴びる。
なんで昨日帰ってすぐ入らなかったんだろうといつも後悔する。
仕事では遅れないのに、プライベートでは遅刻常習犯の自分の甘えん坊加減と、こういう時に限って走りにくい革靴をチョイスしてしまう自分に呆れながら駅に走る。
コンクリートに革靴のソールが叩きつけられる音が住宅街に響きわたる。
いきなりの運動に足ではなく先に肺が驚いて、どんどん締め付けられるようになっていく。
もうすでに汗だくになりかけている必死な自分のことを考えると、笑いが止まらなくなってくる。
普段から常に周りとの競争状態に置かれている私たちにとっては、駅への全力ダッシュは自分以外との競争状態から解き放たれる瞬間じゃないだろうか。
自分は駅を目指すだけ、その単純でシンプルな目的に向かって必死になっている自分にちょっとした感動を感じるのは酷使された肺の送り出す酸素が脳まで到達していない証拠だろうか。
改札をくぐり抜け、エスカレーターを駆け降りると、ちょうど目の前で電車の扉が閉じる。
猛烈な悔しさの後すぐに気まずさが押し寄せてくる。
周りの冷ややかな目線を感じながら、すぐさま自分に語りかける。
「お前はよくやった」と。
また遅れたの、と言われることは予想できるけど、酸欠状態の脳がそれに対する妙案を思いついてくれるわけもなく、気分だけは完走したマラソンランナーで、ホームのベンチに座り込むのだった。
K
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