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宙ぶらりんの夏

今年も夏が終わった。

去年は海に行ったりとはしゃいだりなんやかんやしていたのだが、今年は雨もあって海には行けなかった。

また縁日も花火大会もない夏だった。

夏の終わりが寂しくなるのは、夏のあの独特の雰囲気に後ろ髪を引かれるからだろうと思っていたのだが、今年も寂しい。

9月ももう後半に差しかかろうとしているが、僕の心ははまだここに到着していないといった感じで、どんどん涼しくなる夜にも戸惑いを隠せない。

なんだか、いるわけでもない想い人のことを考えてしまっているようでタチが悪い。

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手に入れていないものはなくすことができないというけれど、あったかもしれないと期待していたものがなくなってしまった喪失感もそう気持ちのいいものではない。

始まったけど終わっていないのだ。

宙ぶらりんのまま、僕の夏はまだ進行中だ。


台所の奥の棚にこっそりしまってある、買ったはいいが使われることのなかった花火セットを見て、季節外れと言われても小さな反抗を起こしてやろうか、という気にもなるのである。

K





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The Naked Writer
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