コロナ前のヨーロッパが僕をカメラマンにした (1)
2019年秋、僕はヨーロッパにいた。
大学時代に留学していたシカゴで出会ったフランス人の親友に会いに行くためだ。
彼の住んでいるパリに行く予定だったが、せっかくだからとロンドンにいる知り合いのビデオグラファーの方のところで数日過ごし、それから南下しパリに向かい、その後これもたまたま大学時代に知り合ったイタリア人の靴職人カップルのいるミラノに向かうルートを決行した。
どれも初めて訪れる国で、大学時代もファッションにのめり込んでいた自分にとっては、どの国も憧れの場所だった。
写真には興味はあったが、今ままで自分のカメラを持っていなかった僕は、新調したNikonのデジタル一眼とネットで買ったフィルムカメラと数本のフィルムを手にロンドンへ向かった。
現地に到着し、知り合いの方の製作の手伝いがてら写真を撮った。
一仕事終えて入ったpubで"Are you guys are photographer?”と喋りかけてきた男がいた。
彼も写真家らしく、話しているうちに彼の友人たちが集まるパーティへ行くことなった。
マジでこれやばいことされないだろうか、、とか思いつつ、二人とも好奇心が先行してついて行ったみた。
着いたのはもともと倉庫だったところを改造した、ごちゃごちゃしたカオスな彼らの家だった。
そこには手作りのセットの前に立つDJ、あちらこちらで談笑したり踊ったりたのしんでいる人たちがいた。
お酒と、タバコと、汗と、あまり嗅ぎなれないニンゲンの匂いにまみれて、その日はぐっすり眠れた。
僕は意外な形で、ロンドンという街に歓迎された気がしたのだった。
続く
K
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