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コーヒーにまつわる本 Vol.04

coyote No.31 October 2008

森の国、グアテマラへ コーヒーベルトを行く[前編]

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一時、coyoteという雑誌を集めていました。コーヒー豆の自家焙煎を始めたのと同時期に、本棚に眠っていたこのcoyoteを読み返しました。その中にグアテマラをテーマにした回があったのです。ちょうどグアテマラ産の豆を焙煎したところでした。ここでも過去から現在へのつながり発見。今やっていることも未来から振り返れば全てつながっているんだと思います。それでは、ピンときた箇所を抜粋しておきます。

<グアテマラについての小噺>
中米メソアメリカのナワトル語で「森の国」を意味するのがグアテマラ。
1953年、チェゲバラがエルサルバドルからグアテマラに入国した。

※ゲバラもコーヒーを愛した一人。ゲバラがボリビアで亡くなる死の一週間ほど前、日記にこう記している。「コーヒーを淹れた。油が浮いた鍋と水で作ったにもかかわらず、このうえない美味しさだった」

ブエノスアイレスを出発し、南米を横断したゲバラはユカタン半島でマヤ文明に出会う。日本人と同じモンゴロイドの系譜のマヤの人々。高度なマヤ文明がヨーロッパ文化と出会う場となったのが、コーヒー農園だった。

イエズス会の司祭によってもたらされたコーヒーの実が、手先が器用なマヤの末裔たちによって摘まれ、高品質のコーヒーとなっていく。エチオピアに端を発したコーヒーが、多様な気候、一定の降雨、火山性の土壌に育まれたグアテマラに伝わった。

<グアテマラについて>
・平均気温は20度前後。大変過ごしやすい高原性の気候。
・古くはスペイン人、19世紀に移民したドイツ人たちがここをコーヒー栽培に最適の地と見定めた。
・先住民族のマヤ民族にはコーヒーを口にする習慣はなく、もっぱらコーヒー豆は輸出へと向けられた。

<Anacafe(Association National del Cafe グアテマラ全国コーヒー協会)について>
・グアテマラの農園は広大なプランテーション式ではなくて、小〜中規模の個人経営。しかし、品質や栽培方法はバラバラだった。そこで1969年にAnacafe(Association National del Cafe グアテマラ全国コーヒー協会)が設立され安定化された。

・7万5千軒の栽培農家がある。

・Anacafeが認めている産地は7地域(アンティグア、アティトラン、コバン、フライハーネス、ウエウエ、オリエンテ、サンマルコス)
 アンティグア→グアテマラでもっとも古く有名なコーヒー栽培地域。グアテマラにはじめてコーヒーの木が植えられたのも、ここだという説がある。
 アティトラン→アティトラン火口湖の湖岸を見下ろす火山の斜面に沿って小規模のコーヒー園がある。オーガニックコーヒーを栽培している農園が多い。
 ウエウエ→グアテマラのコーヒー栽培地域の中でももっとも高地にある。メキシコに隣接している。
 コバン→年間を通して曇りや雨が多い地域。
 フライハーネス→水はけのよい火山性の土壌が特徴。
 オリエンテ→コバンと似ていて雨が多いことが特徴の地域。
 サンマルコス→他の6つの地域より気温が高い。コーヒーの花の開花が最も早い地域。

・Anacafeのマスターカッパーは品質を7つの項目(芳香、風味、酸味、バランス、全体(形)、コク、後味)に分けている。

<グアテマラでのコーヒー豆の収穫事情>
・グアテマラでは水洗式の精製が主流。

・収穫されたコーヒーの果実は、一度すべて水槽に投入→やがて完全に熟した重い実だけが底に沈む(浮いた豆は取り除かれる)→残った完熟果実は除肉機械にかけられ果肉は除去→内果皮(パーチメント)が現れる→パーチメントのぬめりを水のはった発酵槽につける→水洗される→パーチメントを天日干しで約2週間乾かす。1日に数回ならす→パーチメントを脱穀機にかけ、シルバースキンを除去→焙煎前のグリーンビーンズの出来上がり→品質選別→一袋69kgのジュードバッグに詰められて出荷。

<サン・セバスチャン農園>
・世界でも最高峰のコーヒー農園「サン・セバスチャン農園」がグアテマラにはある。ここでは、アラビカ種のひとつであるブルボン種が栽培されている(アンティグア・コーヒーというブランド名になっている)。

・マヤ人労働者が手摘みでスクリーン作業を行う。

・シェード・ツリーにグラビレアを植えている。

<グアテマラのコーヒーの歴史>
・イエズス会派の司祭が1750年代にキューバからコーヒーを持ち込んだ。礼拝堂の中庭に最初の木を植えて19世紀を迎えると、コーヒーの栽培がグアテマラで本格化した。
・1850年ごろからスペイン人とドイツ移民によって栽培が着手。その時100袋にも満たなかった輸出量は、現在では400万袋を超える。

<Anacafeマーケティング・ディレクターのビリー・ヘンプステッドさんの言葉>
・グアテマラで栽培している主な豆の種類は「アラビカ」「ブルボン」「カトゥーラ」。新しい品種ではない。一番大事なのは生産量を高めるよりも、より良い産品をつくること
・グアテマラのコーヒー栽培は日本の稲作に似ている。森と里山という組み合わせ。
田畑の周りにはインゲンなどのマメ科の食物を植える→土壌が酸性になるのを防ぐ。
・Anacafeの代々の総裁はドイツ系移民。
・水洗式は大量の水を使うので、汚水をどう処理するのかが、森と関わる大切な要素。

<シェード・ツリー>
・グアテマラのコーヒーノキは98%が日陰で栽培されている。その役割を担うのがシェード・ツリー。シェード・ツリーによって、過度の日差しを避け、呼吸や光合成を調整、風除け、雨よけにもなっている。
・グアテマラで主として植えられているシェード・ツリーは「インガ」。他には「グラビレア」がある。※このインガを調べて見ると、別名アイスクリームビーン。マメ科の植物は根の根粒から窒素を取り入れて肥沃な土壌をつくるらしいのです。

<コーヒーベルトについて>
・赤道を中心に、北緯25度〜南緯25度のあいだ。そこにあるすべての場所でコーヒーが生産できるわけではない。

・コーヒーとワインは切っても切れない関係がある。コーヒーの語源はアラビア語の「カフワ」だという説がある。このカフワという言葉は「ワイン」も意味する。コーヒーがワインに似た覚醒作用をもっていたために、そう呼ばれたらしい。

・コーヒーベルトをぐるりと囲むようにしてワインベルトがある。

<その他>
・グアテマラは世界一 認証コーヒーが多い国。
・コーヒーの生産量は、1位がブラジル、2位がベトナム、3位がコロンビア
・世界一のコーヒー輸入国はアメリカ。他には、ドイツ、日本、イタリア、フランスが多い。
・高級コーヒー豆が多いのは、中米・カリブ海地域。


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