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ビートルズとの比較も、もはや笑い事では・・・。BTSの今回の破格のチャート・アクションがこれまで以上に重要な理由

どうも。

この数週間、何度この話題をしたんだろうと、自分でも驚いているんですけど、今日もこの話題です。

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はい。BTSです。今日、というか日付上では昨日なのかな、アルバムからのシングル「Black Swan」のMVが発表されましたけど、今日はその話題ではなく、ここ最近ずっと話している

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アルバム「Map Of The Soul 7」の凄まじいまでの世界的成功の話の続きです。今日、この話をするために、昨日の全米チャート、わざと話を薄めにしてました。

まず、今日までにナンバーワンを記録した国を挙げていくと、以下のようになります。

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、オランダ、エストニア、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、リトアニア、ニュージーランド、韓国、スペイン、イギリス、アメリカ

しめて16カ国で1位ですよ。

それに加えて

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音楽界の世界5大マーケットと呼ばれる「アメリカ、イギリス、日本、ドイツ、フランス」。この5カ国で同時に1位を記録したのは過去にマイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、マドンナ、レッドホット・チリ・ペッパーズ、リンキン・パーク、そしてレディ・ガガの6組しかいない。今回、そこにBTSが並んだわけです。

さらに

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発売1週間での世界のアルバムの売上でも、500万枚を記録し、アデルの「25」が2015年に作った600万枚についで史上2位です。

そしてさらに

ここで遂にはビートルズの名前も出てくるんですが、彼らはアメリカにおいて、四枚のアルバムを1年半の短期間で1位にした、そのことで1966年7月から1968年1月にビートルズが作った四枚のアルバムの1位の最短記録に並んだ、というわけです。なんか、こうなってきたら、すごいでしょ。

で、ビートルズの名前、出てきましたけど、彼ら今、というか数年前からですけど、メディアやSNSで結構な頻度で「現代のビートルズ」「韓国のビートルズ」と呼ばれています。

実際、去年

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アメリカの、レイトナイトショーに出た時、ビートルズのパロディ、やりましたからね。

今年に入っても、あまりに周りがビートルズ、ビートルズと言うので彼ら「現在のビートルズじゃなく、現在のBTSでありたい」と発言するにまで至っていたりもします。

まあ、このビートルズ云々に関して言えば、僕はこれ

「まあ、熱狂的な人気に支えられた世界的アイドルという意味でね」

くらいにしか思っていませんでした。

が!

今回、このアルバムを聴いた時に

でも、まんざら、そんなに馬鹿げた比較や比喩ではないぞ、これ!

と思うようになってきました・・・。

もちろん、一緒にはなりませんよ。BTSはビートルズみたいに、一から全部自分で曲を書くわけでもないし、楽器を持つわけでもない。そこのところは僕も決して忘れるわけではありません。

でも、BTSはBTSなりに、今の時代に、既存価値観を打ち破ることをどんどん提示してきている。そこは決して見逃せないと思うんですよね。そして、そうした中に、僕もなんとなくのビートルズとの共通点も見いだすことができます!

では、それが何なのか。ちょっと説明していこうと思います。

①ボーイバンドのフォーマットを、「ヴォーカル、ラップ、ダンスによる、新しいアートフォーム」に変えてしまった


これ、こないだも言いましたけど、ここが一番でかいと思います。

ここ1ヶ月くらい、この20年くらいのKポップ、ずっと聞いてて思ったことなんですけど、あの国では、製作者も少年、少女たちも、「グループ・アイドル」のフォーマットを競っているうちに、本当に高められるところまで高めてしまったと思うんですよね。彼らは最初は、バックストリート・ボーイズやインシンク、あるいは日本のアイドルみたいな感じにしたかったのかもしれない。でも、憧れてきた国のボーイバンドたちが、例えばアメリカやイギリスでは廃れたり、日本では歌やパフォーマンスの実力を抜きに「親しみやすさ」のアピールに走る中、韓国だけが歌も、ラップも、ダンスも高めるだけ高めて、それらを総合した一種のアートフォームにまで高めてしまっている。それを感じるんですよね。

例えば白人のボーイバンドって、黒人のR&Bやダンスを雰囲気だけ真似てたじゃないですか。日本に至っては、ジャニーズなんて何を目指したいのかも具体的にわからない。だけど韓国に至っては、ラップもプロフェッショナルに本物のラッパー並みに上手くなり、ダンスもコンテストに出れそうな競技レベルのうまさになり、ヴォーカルにしても「高音をどこまで自然に出せるか」の競争を自分のグループ内でしてるかのような歌唱バトルになってる場合さえ出てきてます。

その始まりは多分、Big Bangだと思うんですけど、それがSHINeeとかEXOを通じてそういう「ボーイバンド格闘技」みたいなガチな総合テクニカル志向が強まった上でのBTSです。彼らの場合、ラッパー3人で、ラップだけで曲が完結するものもあるくらい本格的なんですけど、3人中2人、RMとシュガが元はアンダーグラウンドで鍛え上げたラッパー。ヴォーカリストはメインのジョングクが、EXOやSHINeeのヴォーカルほどテクニカルなうまさはないかもしれないけど、でも、KPopの世界では屈指のセクシーさを表現できる声で、ジミンをはじめとした他のシンガーもうまい。そしてダンス!JHopeはストリートダンスの世界では予てから名が知られていた人で、そしてジミン。この人のダンスは単なるストリート・ダンスの域を超えて、バレエとか伝統舞踊とか、そっちの方に突き抜けた優雅さがあるんですよね。


この新曲MVの合間合間に出てくる、ジミンのソロのダンス、まあ、凄いですから、とにかく見てください。

こういう、「かつて憧れていた国の音楽が発展を終えたところから、自分たちが別の解釈で新しく別のものに発展させた」というプロセス、これ、実はビートルズも1960年代の初めにやったことなんですよね。ビートルズ、というか、この当時のイギリスのバンドは、アメリカのロックンロールやR&Bに憧れていました。でも、彼らがそれをプレイし始める頃には、アメリカではそれが廃れていた。そこにビートルズをはじめとしたイギリスの若者は自分たちの感覚でそれらをべつの新しい音楽として発展させた。それになんとなく、似たものを感じさせるんですよね。

②他のグループを刺激し、追随者も多く生み、「見知らぬ国の音楽シーン」を一躍世界的に有名にした。

Kpopって、そうでなくても競争が激しい世界だったのに、BTSの登場で、それがさらに刺激されてしまった。しかも今や、マーケットが韓国やアジアだけでなく、欧米圏にも広がってしまった。そうなると必然的に「自分らも負けてたまるか!」の闘争心も他の人たちに生まれてきます。

とりわけBTSの場合、韓国でそれまで「BIG3」と呼ばれていたエージェンシー(SM、YG、JYP)じゃなく、そういう事務所から見たら新参者の「Bighit」というエージェンシーのアーティスト。そこも「海外進出しようとしてたのは自分たちの方が先なのに!」と、妬みと悔しさに火をつけます。

そこもなんか、「リバプール」という、イギリスで一番じゃない地域のアーティストだったビートルズに先に成功を奪われ、それに対抗して湯水のように対抗馬や新しい才能、ストーンズでもヤードバーズでも、キンクスでも、ザ・フーでもいいですが、そうした存在を生み出してきたロンドンを思い出させます。

そして、そのBTSでの海外進出の追随はもうはじまっています!そして、それは、偶然にも「Map Of The Soul 7」の発売前後に起こっていたりもします!


MOTS7の前の週には、モンスタXが一足お先にアルバム「All About Luv」で全米5位のヒットを記録していました。


そして今週の金曜には、韓国のKPopの最大手、SMエンターテイメントの伸び盛りの若手ですね、NCT127がアルバム「Neo Zone」を出してきます。彼らも、すでにアメリカ市場でかなり種まきを行っているので、全米トップ10級の成功がほぼ間違い無いと思われます。


そして、女の子の方も、来週だったかな。ITZYというグループがアルバム出します。彼女たちは今、韓国んのガールグループで屈指の人気のTWICEの妹分です。TWICEの方もユニバーサル系のメジャーとの契約がつい先日、決まったばかりなので、アメリカ進出、時間の問題です。

ね?もう、これから、アメリカのヒット・チャートもKPop、かなり目立ってきそうでしょう?MOTS7の大成功は、BTS自身のみの成功に終わらない、母国韓国のシーンにまで波及効果を及ぼしそうだったから、僕はどうしてもきになるんです。

これって、まさに、ビートルズが1964年に成し遂げた自身の記録的成功、そしてその波及効果としてのブリティッシュ・インヴェージョンと同様のことなんですが、このままいくとBTSも、本格的なコリアン・インヴェージョンを呼び込んでしまいそうな気がしています。

そのためには、ここのポイントの克服がカギだと思っています。

この記事でも書かれているように、今回のBTSのアルバムの記録的な世界的成功、アメリカで曲がラジオでかかってないのに達成された意味でも前代未聞の快挙です。そして、それだからこそ、まだまだBTSって固定ファンのもので、シングルが一般にヒットしているイメージがないから、まだ快挙にピンと来ていない人が多い。BTSに課題があるとしたら、今度は「誰でも知ってるヒット曲を作る」。もう、それだけですね。それができたら、その時はもう、ヒットチャートは韓国のアーティストでだいぶ埋まることにもなるでしょうね。

そのためのタイミングもいいんですよ。今、アメリカのヒットチャートって、ラップ人気がいきすぎちゃって、だいぶメロディや歌がないがしろにされたところがあるでしょ?そこに行くとKPopって、「今の時代に、ここまで力いっぱい歌い上げるんだ!」ってところがあるし、メロディもすごく大事にされてる。「KPopに失われかけた何かを見る」という人たちも少なくないと思うんですよね。

そして、もう一ついきましょう。

③実は硬派なのに、表向きにチャーミングな良い子に見える

ここもBTS、ビートルズにすごく似てるんですよ。

先週、アメリカでは今やおなじみ、ジェイムス・コーデンのレイトショーの人気コーナー「Carpool Karaoke」に出たんですけど、ここでの応対がもう、ユーモアのセンスたっぷりで芸達者で、女性の母性本能くすぐるんですよ、これが!それって、まんま初期ビートルズなんですよね。

彼らってすごくタフなラップもできたりするのに、でも、見た目はすごくソフトで、アメリカのヒップホップにありがちなタフでマッチョなイメージとは全く対極でしょ?そこも、本当はかなり激しくロックンロールできるのに、マッシュルーム・カットにいい子ちゃんイメージで出てきたビートルズみたい。。ここが一番、わかりやすく発見されやすい共通点なんじゃないかな。

事実、ツイッターで「Beatles BTS」で検索かけると、欧米だとBTSファンの10代の女の子のおばあちゃんがリアルタイムでビートルズのファンで、そのおばあちゃんが今やBTSにも夢中になってる、なんて話も結構僕は読みましたよ。なんかこう、本能的にくすぐるものがあるんじゃないんですかね。

・・・というわけで、僕もなんか、今のBTSの成功にはすごく背中がゾクゾクするんですよね。そして、今のKPopに夢中になる10代の子の気持ちもわかります。僕も中学生の時に「第2次ブリティッシュ・インヴェージョン」っってブームがあったんですけど、「新しいグループが毎日のように出てくる」って感覚、子供心には一番ワクワクしますもん。それこそ、今のロックに一番欠けてるものです。しかもさっきも言ったように、今って、そういうグループたちが、技能競い合うように高めてる段階でしょ。そういうグループたちの細かい違いを見つけたりするのって、楽しかったりするんですよね。

ツイッターの欧米の若い子の反応見てても「誰が一番、歌がうまいか」「誰が一番ラップできるか」「誰が一番踊れるか」なんてことを言い合ったりしてるんですよね。そこでBTSとEXOのライバル心、かき立てたりしてたりして、見てて面白いです。

あと、この先に期待することとしては、今はKPopッて、サウンドそのものが「アメリカからの借り物」になってるので、時間かかってもいいから、「KPopから先端のサウンドが生まれる」みたいな展開になったらいいなと思います。

それから世知辛いことですけど、韓国って、まだ徴兵あるので、その問題をクリアもして欲しいです。韓国の場合、スポーツの世界的選手は免除とかになってるんですけど、音楽の世界で、上に書いたような成績あげた人って、世界的にも歴史的にもいないから免除してやれよと思うんですけどね。そこで法律が変わるようなことでも起きれば、さらなる奇跡だと思うんですけどね。





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