「歌って踊れるエンターテイメント」は、いつから黒人のものでなく、韓国人のものになったのだろう?
どうも。
ここ最近、またKポップづいていたりします。理由がいくつかあって、ひとつは
アメリカの音楽団体NPRのウェブ・プログラム「Tiny Deskコンサート」にBTSが出演し、生パフォーマンスを披露しました。普段、どっちかというとインディ寄りのアーティストがでることの方が多いプログラムなのでびっくりしましたけど
いやあ、うまい!!
今回、得意のダンスもなく、自慢のラップもやや抑えめの歌中心のパフォーマンスだったんですけど、このヴォーカル・リレー、かなり高度ですよ!今、これ聞かせられる人、世界でもそういないんじゃないかな。しかもBTSの場合、ただ単にテクニカルにうまいだけじゃなく、声質がジョングク、ジミン、テヒョン、ジンで4人とも違いますからね。しかもジミンなんて、どうやってあの声出すんだろう。あの中性的な声だけは、他のどこでも聴いたことないですね。ジョングクはもちろんうまいんですけど声の通りが抜群だし、テヒョンも声低いのかと思いきや意外と音域あるし、ジンも地味だけど持ち味はあるし。本来はこれにあのラップとダンスが加わるわけですからね。やっぱり、ちょっと、これ、すごいですよ。
ただなあ〜、これだけの実力を持っているのに、
メディアが彼らの良さをうまく形容しきってない。
ここが最近、なんかすごく気になるんですよね。
BTSの成功の秘訣を、やれ「ARMYとの強固な結びつきが」とか「LGBTやメンタルヘルスへのメッセージが」とかで説明しようとする向きがあるんですけど、「そんなことだけで、本当に世界中のファン、魅了できるのかな・・」と思うんですよね。
なんか、「言いたくても、なかなか出てこない言葉」を言いあぐねている感じがして。
単刀直入に
歌って踊れる、卓越したエンターティナーだから!
この、当たり前すぎる事実でもっと押してもいいと思うんですよね。
これ、僕の推論なんですけど、多くの人に
「彼らの実力は本物なんだろうか?」の確証がもてない。
これが実はあるんじゃないかと思います。たとえば、「黒人だと、もっとすごいのがいるんじゃないか」とか、「昔のアイドルの方がすごいんじゃないか」とか、そういう例が具体的にわからず比較ができないものだから、はっきりと言えないのではないかと。
だったら、はっきり言いますね。
今も昔も、このレベルの「歌って踊れるエンターティナー」、そうはいないよ。
だって、これだけじゃないんですよね、Kポップ。
今週アルバムが出る、BTSの対抗馬、スーパーMもたいがいです。Kポップの盟主のSMエンターテイメントが、自社の抱えるEXO,NCT、SHINEEからヴォーカル、ラップ、ダンスの一番強いヤツを集めて作った、自社グループ内最強ユニットですからね。
まあ、だいたいから、EXO自体がヴォーカルだけに限っていえばBTSよりも上な実力ですからね。そこを増強してるわけですから、かなりのレベルです。
そして、もう1週すりゃ
BLACKPINKもアルバム出すわけでしょ。彼女たち、シンガーのロゼはそんなにうまいとは思わないんですけど、ただ、コーチェラの見る限りコンビネーションはいいし、ジェニーとリサのラップはやっぱりかなりうまいですよね。
こんな風に、世界的に期待の作品のリリースが控えているわけですけど、
こんなの、今、他にどこの世界にも存在しませんよ!
こんなに、「歌って踊れるエンターティナー」、今、どこの世界でも流行ってません。たとえば、僕の住んでるブラジルとか南米でも聞かないし、ヨーロッパとかでも聞かない。いや、むしろ、そういうものが存在したら「Kポップへの回答」みたいな感じで話題になってるはずですから。
で、前置き長くなったんですが、そこで思い出したことがふとあります。それは
そういえば、黒人はいつから、歌って踊るエンターティナーを刺さなくなったんだろう。
これはちょっとハッとしましたね。
おそらくは
たぶん、クリス・ブラウンとかNe-Yoが最後なんじゃないですかね。そんな彼らだって出てきたの、10年くらい前でしょ?Ne-Yoは音沙汰なくなりましたけど、クリス・ブラウンがあんなに素行最悪なのに、まだ人気があるというのは、やっぱ「歌って踊れること」に需要がじつはあるからじゃないか、などと思い始めていたりします。
ただ、この2人の時点でも、やっぱそういう路線、ちょっと下火のイメージ、あったんですよね。
やっぱアッシャーとか
デスティニーズ・チャイルドのイメージですよね。
アッシャーもいつの間にか音沙汰なくなって、もう、今となってはビヨンセがひとり、この「歌って踊れる美学」を継承しているようにさえ見えます。
まあ、これももとはといえば
やっぱ、マイケル・ジャクソン、ジャネット・ジャクソンの兄妹が世界的には広めた印象がありますよね。これも不思議と黒人で後継者があんまり目立った形で育たなかった感じが少ししますね。
あと、ダンスだけじゃなく、歌もなんですよねえ。
たとえば
さっきいったEXOですけど、こうやってヴォーカルのマイクリレーなんてやらせるとうまいんですけど、こういうのも聴いてると
ボーイズIIメンとか、ジョデシィとか、90sのR&Bグループ、思い出すんですよね。Kポップの場合は曲調的には、ジョデシィに近いかな。ジョデシィの方が低音部の効きが良い分、Kポップよりはどうしてもうまく聞こえはするんですけど、ただ、Kポップの場合、マッチョな売り方はしてないので、そこもそんなにウィークポイントにもなってなく。
・・・って感じで90sのR&B、歌って踊れるエンターティナー、いたんですけどねえ。
なんでしょうね。黒人の中でヒップホップの人気があがりすぎて、そこに特化しちゃったんでしょうかね。なんかもったいない気もしないではないんですけど。
だって、
「歌って踊れるエンターティナー」の需要が普遍的に強いことは、黒人アーティストが不在のあいだにKポップが証明しちゃったんだから。
そもそも、Kポップの三大事務所、SM、YG、JYPの創始者はいずれも90年代のアメリカのR&Bにあこがれてビジネスはじめたわけですからね。いわば、この時代のR&Bは彼らにとってのルーツ。ただ、そのルーツのはずの黒人たちがこういうエンターテイメントをやらなくなった代わりに、Kポップが独自に発展させ、そして今があるんじゃないかと思います。そして、それが高度なものだから、驚いて注目しはじめたところからKポップの世界的人気がはじまったような気がしてます。
なのでもっと、音楽的な実力で語っていいと思うんですよね、Kポップって。