「Lovecraft Country」 ”こんな世の中”だからこそ見たい、HBO新作ドラマ・シリーズ
どうも。
昨日はウィスコンシン州で起こった黒人差別に基づいた事件への抗議を書きましたが、本当はこのドラマについて書く予定でした。
それが
この「Lovecraft Country」。HBOで先々週からはじまっているホラー・ドラマです。
これはですね、
プロデューサーにJJエイブラムスとジョーダン・ピールの2人の大物がついたことでも放送前から高い注目を浴びていたこの夏の話題のドラマでした。僕もこれ、楽しみにしてましたが、幸いなことに放送、アメリカと同じタイミングでやってるので、最初の2話、見ることができました。
こんな感じです。
舞台となるのは1950年代のアメリカ。話はアティカス(ジョナサン・メジャーズ)が恋人のレティシア(ジャニー・スモレット)と叔父のジョージと3人で、行方不明になった父親を探しにロード・トリップをはじめるところからスタートします。
そこで彼らは
気味の悪い白人一族に出会います。彼らは屋敷を営んでおり、そこにアティカスの父が地下室に閉じ込められていたとのこと。その屋敷を営んでいるのはブレイスホワイト家で、怪しげな教団風の人たちです。
この旅館に宿泊中、アティカスたちには
奇妙な超常現象がふりかかり、やがてモンスターたちが彼らを襲うことになり
こんな巨大ダコにも襲われ・・・
・・・という感じです。
これ、元々は
2016年に発行されたこの原作小説が元になっています。このラヴクラフトというのは
存在としては、「アメリカの上田秋成」みたいな感じになるのかな。20世紀前半のアメリカを代表する元祖オカルト作家、HPラヴクラフトの世界観を投影したモンスターたちが姿を現すものとなっています。
ラヴクラフトの名前はロックでもたまに聞いてましたね。たしか”メタルの元祖”、ブルー・オイスター・カルトの命名も彼の小説からだったはずです。
ただ、やっぱりこれを見て思い出すのは
やっぱり「ゲット・アウト」ですね。ジョーダン・ピールが絡んでいる理由もまさにそこでしょうけど、黒人が気味の悪い白人に翻弄されるホラー、サスペンスという文脈においてですね。
こういう話になると、保守的な人たちは「また、黒人の被害妄想が・・」みたいなことを言い出しかねないと思います。ただ、残念なのは、「こういう話がいくら出てきても、こういう話を続けざるを得ない現実がこの世に実際に存在すること」です。しかもそれが、このドラマが放送された矢先に起こってしまった。まさに昨日ですよ。だからこそ、ますます気分が悪くなって書けなくなったのです。
しかも、これ、原作がすでにそうではあるのですが、時代設定が見事ですね。50年代って、公民権運動がちょうど起こり始める頃で、人種差別に黒人がたちあがりはじめる前夜。そこをサスペンスの舞台にしたこと。
そして、この50年代って
いわゆる「B Movie」と呼ばれる、低予算の特撮ホラー、ミステリー映画の全盛期なんですよね。これ、映像的に、こちらの方にも見事なまでにオマージュが捧げられてて。二重の意味でうまいと思いました。
これ、全10話のようですが、楽しんでみたいと思っています。