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あれこれやらなくて済むように、あれこれ考える

人に何かを頼まれたとき、あなたはどう対応しますか?認められたい、嫌われたくない一心で、何もかも笑顔で受ける。自分の時間を「喜んで与える」か「安売りしないか」あなたはどっち派でしょうか?

個人的には「戦略的」に「最初のうちは」ギバーであるべきだと思っています。つまり「与える」こと、頼まれたらできるかぎり対応する方がベター。返報性の法則がその重要性を証明しています。与えられた人は必ず脳内に、その事実が残り続けることが数多くの論文で報告されています。

与えるプロセスによって他者からの信頼を獲得できれば、その後の仕事はスムーズになります。ところがその姿勢を続けていると逆に苦しくなることも多くの研究で実証済み。「GIVE & TAKE 与える人こそ成功する時代」では、ギバー、テイカー、マッチャーのうち、ギバーが一番幸せになる一方、一番不幸になる人もギバーだったと記されています。周りからの信頼を得れば、それ以降は「自分の時間を安売りしない」ことが大切。ときには相手の機嫌を損ねても、きちんと上手にモノを言うべきでしょう。

でも断るってちょっと難しいですよね。テクニックとして紹介されているものがありますので並べてみました。

・とりあえず黙る
・代替え案を出す
・予定を確認して折り返す

いったん時間をおいて考えると、断ることが容易になるそうです。では「相手」が関係ない場合はどうでしょうか?相手が関係ない場合とは例えば、「自分自身」のこと。ずっと続けているルーチンや習い事なんかがあって、一向に成果が出ないし、ちょっと辛いけど、今まで費やしてきた時間やお金のことが気になってやめられない(自分の考えを断れない

サンクコストとは、過去に払ってしまい、もはや取り戻すことができない費用のこと。埋没費用と訳されたりもしますが、サンクコストにとらわれずにダメな行動をすっぱりと切り捨てることで、大切な時間に余裕ができて、本当に注力すべき仕事に時間を費やすことができます。

心理学の研究によると、人はすでに持っているものを実際よりも高く評価する傾向があるといいます。「もしもこれを持っていなかったとしたら、今からお金を出して買うだろうか」去年一度も着なかったコートがクローゼットにあったりませんか?そんなときは、この質問を自分自身にしてみてください。結構な割合で、不要なものを捨てる決心がつくはず。身軽になればなるほど、人生が楽になって豊かになっていくはずです。

ウォーレンバフェット氏は、少量の投資先だけを相手にして、一度買ったら長い間持ち続けるという方針を貫くことで巨万の富を築きました。本質的な少数のものだけを選び取り、その他多くのチャンスを捨てています。多くをやらなくてすむように、多くの時間を吟味に当てる。トレードオフを無視すると損失が待っています。成功する人はすべからく、相手を傷つけない思いやりと、断る勇気を持ち合わせているようです。

イラッとする出来事があれば、それが「境界線」のヒント。時間やエネルギーを吸い取られないように、頑丈な壁を立てましょう。私たちの生きる世界はどんどん余裕がなくなっています。車間距離5センチで、100キロを維持して走り続けるような世界。仕事や人生において、どんなリスクがあるか。最悪の場合は何が起きるか。周囲への影響は。リスクが及ぼす経済的負担は。リスクを減らすために何に投資すべきか。

作業にかかる時間を短く見積りすぎる傾向のことを「計画錯誤」といいますが、安請け合いをする前に、じっくりと考える時間を設けてみるべきではないでしょうか。

久保大輔




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