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複数あるソリューションをどのように取捨選択するか?

組織に属していると、人付き合いや人間関係がいかに、成果をあげる上で大切かということに気づかされます。毎日、懸命に働き、足りないところは独自に勉強して、経験を積むことによって成果は徐々に上がってくるもの。ですがこのようなサクセスストーリーを歩むためには、周囲の理解や信頼、サポートが必要不可欠。組織は相互依存で成り立っています。生産性も業績も改革も、共同作業から生まれます。一人のがんばりだけでは成立しません。各自が進んで仲間と協力するかどうかによって、組織や個人のアウトプットの質は大きく変化します。

情けは人の為ならず

という言葉があります。人に対して情けをかけておけば、巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味。「落ち込んでいる人に情けをかけるのはその人にとってよくない」と誤った解釈をしていた私は先日、ちょっと恥ずかしい思いをしてしまったので急いでアップデートしました。人間関係を構築する際には、この「情けは人の為ならず」を常に意識して交流すべきでしょう。「あなたといると何か楽しい」という気持ちを相手に感じさせるだけでも十分。「ギブ」の工夫ができる人は、時間の経過とともに周囲からの信頼を獲得していけるでしょう。

ですが一方で、「なるべく相手を傷つけずに、うまく頼みを断る勇気と思いやりが不可欠」という考え方もあります。人は関係性に縛られた生き物。数千年前の狩猟採集時代には、仲間とのつながりが生死を分ける鍵でした。同調の必要性が弱まった現代でも、仲間に嫌われたくないという気持ちは私たちの心の奥底に強く根づいています。さりとて仕事は別、という考え方。判断を関係性から切り離し、直接的ではない表現を使って断ることも大切です。「ここでイエスといったら、自分は何を失うだろうか」「もしこれを選んだら、別のもっと価値あることができなくなる」 短期的な気まずさと引き換えに、相手の敬意を手に入れるためには、はっきりと断ることが欠かせないという考え方。みんなにいい顔をして自分の時間を安売りしない。ときに相手の機嫌を損ねても、きちんと上手にノーを言います。

人間関係に限らず、仕事や勉強、人生をよりよくしていくために私たちは日々学んでいます。ときに人づてに、ときに読書を通して、多くの情報を仕入れ、課題や問題を解決します。ですが上述したとおり、「とにかく受け入れる」と「うまく断る」といった感じで頻繁に、相対する主張に出くわします。一体どっちが正解なのか?科学的に信憑性が高いのはどちらなのか?突き詰めるためにさらなる情報収集に努めても答えが見つからないことが多々あります。

弁証法は、テーゼ(花は美しい)とアンチテーゼ(花は枯れる)と言う反対の命題に対して、ジンテーゼ(枯れた花は種子を残すので新しい花を楽しめる)という新たな価値観を導き出す方法。「あちらを立てればこちらが立たず」ではなく「いかにおいしいところだけを取れるか?」という考え方を可能にします。やり方は極めてシンプル。どちらのアイデアもとりあえず試してみて、うまくいった方を採用することです。ポイントは期限を設定して無理やり思考を働かせること。時間を短くすることで本質が見つかりやすくなります。

読書にも似たような側面があります。本の内容を自分の血肉に変えるためには、精読は絶対に必要ですが、短時間の読書は普段と違う脳の使い方をうながすので、いつもとは違う視点が生まれやすくなります。また、自分の解決法がいいか悪いかではなく、その解決策がいいと思った理由を事前に明らかにしたうえで試してみると「このアイデアが役立つポイント」を探す意識が働いて、感情よりも理論が優先されやすくなります。「良し悪し」と「好き嫌い」は全く別物。自分が好き嫌いでアイデアを取捨選択しているのか、良し悪しをみているのか?そんな視点も問題解決の際に持ち合わせておきたいものです。

久保大輔




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